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雨音と、筆の匂い。
不思議な夢だった。
スーサ教のエーベ様?
それは誰もが知るスーサリア平和経典の作者。
400年前の聖人。
何が確実につながっている。
王子としての自覚のないタクヤだったが、メリルが言っていたとおり「これは戯れごとではない」のだ。
王宮の歴史と神秘、そこに自分は関わろうとしている……いや、すでに、関わっている。
夜明けの空を見ながら、彼はそれを心深く実感した。
そして身震いとともに、新しい「悲しみ」も感じた。
その「悲しみ」は、なんなのだろう?
考えても、今はまだわからなかった。
ただ、それがとてつもなく強い「悲しみ」であることはわかった。
人生を変えてしまうほどの。
あるいは、これが母の記憶のなごりなのだろうか……しかし、おそらくそうではない……