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この前のノート事件から5日が経った。
あの日からなんとなく、飛彩には避けられている気がする。
この頃学校には一人で先に行くし、ノートだって他の友だちに頼み続けている。
今までの私なら、これで良かった”はずだった”。
でも私は本当に”ヨナ”の何も知らない。
ヨナにはどれほどのファンが居るのか、どれほどの苦労をしてきたのか、今もどれほどの苦労をしているのか。
飛彩が自分のすぐそばにずっと居てくれることに安心して、何も素人出来なかった。
こんな事を過去の私に言うと怒られそうだ。
だれよりもヨナの、飛彩の役に立ちたいと必死だった私は、何処かに行ってしまったようだ。
役に立ちたいとは今も思っている。だが、あの頃とは何かが違い、何かを失った気がする、。
「どした?今日は元気無いじゃん。」
「え、そう?」
「はい、菜奈もそう思います。」
きーちゃんと菜奈がお互いの方を見て、同時に頷いた。
私も分かっている。
今日の私は変だ。
数学の授業中には、何故か理科の問題をして、きーちゃん達と此処、学食に来るまでの道でも、間違えて3年生のクラスに入りかけた。
本当に、どうかしている。
「で、どしたべ今日は、。」
「いや、この前までは彼奴がとう思ってるかなんて、どうでも良かったんだよ?」
「彼奴。とは、ヨナさんですか?」
みかんゼリーを口いっぱいにむさぼろうとしている菜奈が言う。
「そー。」
私も焼きプリンを頬張りながら答える。
そこにさっきの私の発言に自販機で買ったいろやすを飲むきーちゃんが付け加える。
「良かったけど?」
「良かったけどー、今は彼奴が何考えてるのかちょっとだけ気になってきた。」
そんな事を言いながらも、私も菜奈が食べているみかんゼリーを食べたくなって、どこにあるのか菜奈に聞こうと頭を上げた時、私は凄いものを見てしまった。
菜奈ときーちゃんが今にも目が落ちそうなぐらい目を開きながら驚いて私の方を見ている。
「どした?」
「あのー、それはですねー、幼馴染くんの事が知りたい、ということですか?」
「うー、そうなんのかな? てか、なんで敬語?」
え?
「ちょ、菜奈?どうしたの、急に大声だしちゃって。皆の注目集めてるよ!」
「え、そんなに菜奈が可愛いですか?」
「いや、違う。」
菜奈が発したふざけ言葉にきーちゃんがスントした顔でツッコむ。
ちょっと菜奈が悲しそう。
「ところでさ、凪沙が知りたいのは、ヨナくんのことで合ってる?」
「それ以外に?」
きーちゃんの言葉に私はきょとんとしてしまった。
「私、彼奴のこと以外喋った?」
「いや、なんか、ね?」
きーちゃんは時々語彙力のなくなるが、私にとってまずいんじゃないかと思ったときにこうなっていく。
「凪沙?後ろ、見てください。」
?
菜奈やきーちゃんがなぜそんなに焦っているのかも分からずに私は後ろを向くと、そこには
バカみたいに不機嫌の飛彩が居た。
この顔はもう自分がよなとして学校に来ていることを忘れているな。
15年間一緒に居る私には分かる。
並木くんが後ろで丸くなって居るときは、やばい時だ。
にげよ。
ー幼馴染?ー
凪沙と飛彩(ヨナ)は、出会ってから15年ずっと一緒に居る。
でも、2人は同時進行系でいま高校2年生だ。
なぜかと言うと、飛彩(ヨナ)と凪沙が出会ったのは、この街に飛彩が両親の仕事上引っ越してきてからなのだ。
だから、二人が出会うまでの間には、2年の隙間がある。
コメント
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