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「ねぇ早く来てよー!!」
そう言って君は僕に向かって腕をブンブン振ってくる。この仕草が可愛くてたまらない。子供みたいで可愛い。そんなことを考えてると君が怒って言う。
「ねぇ。聞いてるー?」
「聞いてるよ。寒くないの?海に入って」
「いーの。最後なんだから」
最後、という言葉にどうしても反応してしまう。ああ、もう終わってしまうんだなぁ。この楽しい時間も。嫌だなぁ。自分のせいでこんなにも優しくて美しい人を殺してしまうのだから。
「ほんとにやるの?…入水」
「なになに怖気付いちゃった…?」
「君が死ぬのは違うなぁって。僕だけでいいじゃん。心中しようって言ったのは冗談でッ…」
「いーの。僕がそうしたいの。僕の最後の恋は君がいい。癌に苦しんで死んでいく君なんか死んでも見たくない。だからここで君と一緒に死ぬ。それだけだよ?怖くなんかないよ。大丈夫」
大丈夫なんかじゃないだろ。気づかれてないとでも思ってるのかなぁ。目、腫れてるよ。鼻も若干赤いし…笑。僕のために泣いてくれたの?僕が癌なんかになったからだね。ごめんねぇ。僕だってなりたくなかったよ。君ともっと楽しい思い出作りたかったよ。嫌だなぁ。死んで欲しくないなぁ。…いや死にたくないな。まだまだいきたい。死にたくない。嫌だ嫌だ嫌だ
僕の様子がおかしいことに気づいたのか君はこう言ってくれた。
「あんまり長いとあれだし。もう行く?」
「…そうだね。そうしようか」
「ねぇ?最後にキス…してもいい?」
君らしいなと思いながらも嬉しいと思う
「いーよ」
「ねぇ。大好き。世界で1番愛してる」
「僕も。来世でもよろしくね」
そういうと君は悲しそうな顔をしながら
「…うん!」
そう返してくれた。
そんな会話をしているうちに僕達の体はどんどん海に呑まれていく。冷たい。寒い。怖い。
君が 抱きしめてくれる。ああ。暖かい。
僕たちは冷たい海に呑まれていった。