『美春…!』「…ね、ぇちゃん……?」
気づくと真っ白な場所で姉らしき人物に呼ばれていた。
『美春、ダメ。まだ早いの。』
「な、んで…!なんで俺をこんな目に遭わすんだよ!」
俺は姉が憎くてたまらない。なぜこんなに辛い思いをしなきゃいけないのか。
涙を流しながら大声で叫ぶ俺を”美晴”は優しく抱きしめた。
『ごめんね…ごめん……。』
『……私ね、みゆちゃんが好きだったの。』
姉は少し間をおいてぽつりぽつりと話し始めた。
『みゆちゃんはね、すごく優しくてこんな私でも仲良くしてくれたの。』
『……でも周りの子は違った。』
『⎯⎯⎯⎯うわ見ろよアイツらまた一緒にいるぜ。』
『⎯⎯⎯⎯うわぁ!キモキモ菌が移っちゃう!!』
『だから…みゆちゃんと2人でね、来世で幸せになろうって約束したの。』
「…は、?」
『裕二くん、仲良いでしょ。』
「な、なんで裕二のこと…?」
『裕二くんはね、みゆちゃんの弟なの。』
『そして、みゆちゃんの生まれ変わりみたいなもの。』
「何言って…、」
『美春も私の生まれ変わりみたいなもの。』
『2人は出会うべくして出会ったんだよ。』
そう言うと姉は俺を抱きしめていた手を離した。
「姉ちゃん…?」
『…ごめんね、また裕二くんにも話すから。まだここに来ないで。』
『美春!!!!』
「っ…!?」
慌てて飛び起きると、俺は病院のベッドに居た。
「ぁ、あれ…、生きてる…。」
『美春…良かった…良かった……。』
隣を見ると裕二が大粒の涙を流している。
「ゆ、ゆうじ…ごめん…。」
『俺の方こそ、ごめん…。』
「なんでお前が謝るんだよ…?」
『おれ、さ…』
『みはるがすきなんだ…。』
裕二の声は震えていて、今にも倒れてしまいそうなぐらい顔色が悪かった。
「……それ、ほんと?アイツらに言われたとかじゃなくて…?」
『っ、じゃない!!!』
「ばっ、ここ、病院!シーッ!」
『ぁ、ご、ごめん…。』
裕二が本気で言ってるなら、俺も好きだと言いたい。
でも、これが違ったら?俺は絶対すごく死にたくなる。
『⎯⎯⎯⎯2人は出会うべくして出会ったんだよ。』
姉ちゃん、嘘だったらそっこー会いに行くからな。そんで、すぐ蹴り飛ばしてやる。
『み、はる…?』
「好きだ。」
『…え、俺が…?』
「うん。裕二が、すごく好きだ。大好きだ。」
『ま、まって、まって…。』
裕二は赤く頬を染め、顔を手で隠してしまう。
『すごく…恥ずかしい……。』
「可愛い、そんな裕二も好きだ。」
『わ、分かったから!』
照れる裕二が愛おしくて、その日は暫く裕二をからかっていた。