わんくっしょん
・ご本人様には関係がございません。
・オメガバースです
・α黄×Ω紫
・少しでも無理だと思った方はブラウザバック推奨。
side紫
「みことー、首輪」
出かける準備をしてから、そうみことを呼ぶ。
付き合って、同棲しててもまだ番ってない俺は出かける度に首輪を着けなきゃない。けど、比較的平等になってきたとはいえ未だにΩは大人しくて小柄で可愛い、なんて偏見が付き纏う世の中的にΩらしくない見た目の俺がわかりやすい首輪を着けてると視線もウザいから、チョーカーに近い首輪を何個か買って、コーデに合わせて変えてた。元からアクセサリーとかは好きな方だし。
まぁそんな訳で、俺は出かける前に毎回首輪を着けてのを見たみことが、理由は知らんが“おれが首輪つける!”って言いだしてからずっと習慣になってる。
「いるませんせぇどこ行くん?」
俺が選んだ首輪をみことに渡して、前で留めるタイプのそれを着けやすいように顔を上げると、首輪を俺の首に回しながらみことがそう聞いてきた。
「んー、事務所。企画をスタッフさんと調整して、あぁあと、らんも事務所行くらしいからもし時間あったら次の配信の話詰めてくるわ」
「はぇ、大変やなぁ…、ん、できたで!」
「ん、さんきゅー」
みことの指が触れた所為でぞわぞわする違和感を誤魔化すように首輪の向きを調整して、荷物を持った。
「じゃ、いってくるわ」
「ん!いってらっしゃい!」
side紫
「ただいまー」
「ぅおかえり!!」
扉の音で気づいたのか、大して大きな声で挨拶したわけでも無いのにみことがぱたぱたと走ってきて出迎えてくれる。犬みたいなその行動に、思わず頬が緩む。
「……なぁいるまくん」
いつもならおかえりだけ言うと先にリビングか部屋に戻ってるのに、今日は俺が手を洗ってリビングに行くまで、ずっと着いてくる。そんなみことに珍しいな、なんて思ってるとリビングに入った瞬間、そう言いながら首輪と首の間に指を入れられて、首輪を引っぱられた。
「ぅおっ!?みこと?」
突然首輪を引っぱられたた所為で体勢を崩して、転びかけたところでみことに支えられた。支えられて距離が近くなったところで、みことが俺の首筋に顔を埋めてきて困惑する。
「やっぱり。なぁいるまくん、なんで他のα引っかけてきてんの?」
「え?α?」
普段とは打って変わって、冷え切った声で尋ねてくるみことに背筋が冷える。当然浮気なんてするつもりもした事も無いし、全く身に覚えが無い。
「スタッフさんはβやし、らんらんはΩやろ?どこでこんなにフェロモン付けてきたん?」
「……………………」
全くもって、身に覚えも無ければ検討も付かない。
「浮気?」
「っまて、みこと」
フェロモンで威圧してくるみことに、慌ててそう喋る。
「じゃあなんなん?」
「悪いマジで心当たりが、あ、なつ!」
みことにそう返しながらも脳内で今日の行動を思い返していた途中に心当たりに気付いて思わず口に出る。
「何?なっちゃんと浮気したん?」
「や、違う浮気してねぇって。事務所行ったらなつも居て、なつと話したから付いたなら多分そん時」
事務所出てからは真っ直ぐ帰ってきたし、VOISINGはどのグループにもαもΩもいるからスタッフさんは全員βだし、スタッフさん以外は今日話したのもみことらんなつだけだし。
「なっちゃんと何話したん?」
「雑談?歌みたの進捗と、メンバー全員で遊びに行きたいよなって話と、編集の話」
ひとまず付いてたらしいフェロモンがなつのだということには納得したらしく、まだ怒ってる様子ではあるが俺の首輪を外しはじめた。
「じゃあいるまくん、お風呂行こ」
「……わぁったよ」
まだ夕方なのに、とは思ったが俺もみことに余所のΩのフェロモン付いてたらそうなるなと思って特に逆らうこと無く風呂に向かった。
side紫
「いった……」
半分寝たまま身じろぎをして、その時の筋肉痛にも寝違えたときにも似てる腰の痛さと違和感に意識が覚醒して思わず声が出る。
「んゅ、…いるまくん、?」
「ん…、はよ」
俺の身じろぎの所為か声の所為か、まだぽやぽやしてるものの起きたらしいみことの声が上から降ってくる。昨夜のみことの所為で気怠さが残ってるからか眠くて、うとうとしながらみことにそう返す。
「んふ、いるまくん声ガッサガサやなぁ」
「お前の所為でな」
きゃらきゃら笑う、昨夜と同一人物とは思えないみことになんとなく腹が立ってそう言い返す。まだ眠くて頭はぼんやりとしているが、少し目は覚めた。
「んえぇ…?でもいるまくんももっとって言ったし」
「ッ…、うるせぇよ」
不満げに零されたみことの言葉に、昨夜の記憶が脳を過って顔が熱くなる。確かに強請った覚えがあるだけに一際羞恥が襲い来る。
「んふふ、いるまくん顔真っ赤やなぁ」
「うるせぇ、どけ」
くふくふ笑うみことに余計恥ずかしくなって、みことの言うとおりがさがさの声でずっと俺を抱きしめてくるみことにそう言う。
「んぇ、もう起きるん?」
「腹減った。みことは?まだ寝てる?」
あと絶対みことには言わないけどはずい。無理。なんて思いながらもそもそ動いて腕を緩めたみことの腕の中から這い出る。
「んー、いるまくん起きるなら起きる」
「じゃあお前が飯作れよ」
「おけ!」
八つ当たりと照れ隠しと面倒くささを足して3で割ったくらいの頼み…でもないものだったけど思ったよりもあっさり了承されて拍子抜けする。まぁ作ってくれんなら任せるけど。
そんな事を考えながらベッドから降りると、みことに頬にキスを落とされる。
「ん!おはようのちゅー!…いるまくんは?」
「…やらねぇわ」
恥ずかしげも無くにこにこ笑みを浮かべてるみことにこっちの方が恥ずかしくなりながら当たり前の様にされた催促にそう返す。
「んぇ!?んぅ……してくれへんかったら俺朝ご飯作らへんよ」
驚いた顔をしたみことが、わかりやすく拗ねた顔で唇を尖らせながらそう言い出す。迷って出てくる交換条件の割に随分しょぼ…良く言えば平和的。
「…しゃーなしな」
俺もみことの頬にキスを落とせば、一気にみことの顔がぱぁっと明るくなる。
ほんとに昨日の夜のギラついてた目をした奴と同一人物かと思うくらい甘い表情をしてる。
けどまぁ、別にこんな甘ったるい朝もたまには悪くないと思う。……絶対みことには言わないけど。言ったら最後、にっこにこでうざったいくらい喜ぶに決まってる。
コメント
2件
ほんとにこれまじすきです
怒ってるみこちゃんイイ!✨✨