テラーノベル
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ドーヴァーの通り、ある一人の捨て子が居た。
その子は周りから邪険にされており、食べ物を盗みながら生きていくほか術はなかった。
「気持ち悪い」だの「不細工」だの、数々の言葉を投げつけられても、ぴくりともしない子は、いつしかもう何も感じなくなっていった。
もう死んでしまおうか。
だが、そこで兄の存在があった。
兄は、僕が死んで唯一人悲しんでくれるお人だ。
たくさん泣いた夜も、あの人はいつも私と共に寝てくれた。
決して楽なわけではないけれど、あの人がいるだけで僕の生活が微かに色づいた。
その幸福が、いつまで続くのか知らずに、終わりを迎えた。
神とは、無慈悲なものだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜
櫆は兄を探して、もう様々な所を出歩いた。
近くの公園、兄が好きなコンビニ。
たくさんゞ歩いた。
一日中歩き回ると、流石に元気な櫆の体でもそれは厳しかった。
「は……は……」
もうへとへとになると、櫆はもう寝ようと思った。
明日さがせばいい。
明日だったら見つかる。
そう思って意識が遠のいた頃、ある一つの声が聞こえた。
「いッッてぇ!!」
「…?兄さん?」
それは間違いなく兄の声であった。
その方向に向かって歩いていくと、三人の人影が見えた。
〜〜〜〜〜〜〜
「おいッッてめぇなにぶつかってきてんだよ‼︎」
「捨て子のくせによおぉ!」
「ッッ‼︎黙れ‼︎」
そう兄さんが言うと、兄さんは殴られ地面に転がった。
「おらっ!」
「ははっ!」
「ッッ…」
兄は静かに耐えて、隙を狙った。
だが、一人のいじめっ子が蹴ったところが悪かったのか、兄は苦しそうに微かな叫び声を上げ、そのまま気絶した。
「は…?おいッッ!」
「なんだよ!よわっちいなぁ!」
「飽きた〜。もう行くぞ〜」
「そうだな。どうせ明日には起きるしな!」
いじめっ子達が帰ると、櫆はすぐさま兄の元へ駆け寄った。
「兄さん!兄さん!」
いつのまにか涙が出ていたようで、兄の顔を濡らす。
「…ッッてぇ…あ゛櫆じゃん…
ごめ、今日はちょっともうねみいわ…」
「ゔ…わかった。、おやすみ。」
「おやす……」
其の儘兄は、眠るように亡くなった。
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その夜は、兄の黒髪と、僕のプラチナブランドの髪が美しかった。
ーーーーーーーーー
「なぁ、俺らのご主人見せてあげよか?」
そう暗鬱は煙草を片手に言った。
「まぁ、そりゃ見てみたいけど。」
「ん〜…じゃあちょっとだけなぁ」
そう言い返すと、暗鬱はポケットからなにか通信機器の様なものを取り出し、誰かと通話している。
「来てくれるって〜」
「え‼︎あんちゃん!ご主人様来てくれんの⁉︎」
「そうやよ〜」
「俺もゆっくり話したかったー…」
「残念www」
「死ね‼︎‼︎」
(あんくんのご主人様…ちょっと気になるかも…?)
いきなり煙が出てきて、思わずレイと櫆は身構えた。
「ねぇあんちゃん。急に呼び出すなんて普通だったら背後から刺されてもおかしくないよ?僕今嵡さんとお喋りしてたのに…」
その人物は、服のフードを被っていた。
小柄で、フードの中の口から八重歯が見える。
それが妙に妖艶的で、思わず見入ってしまう。
だが、それ以上に気にしたいのは足。
地面に付いておらず、ふよふよと浮かんでいる。
「…?何処かで見た様な?」
「ちょっとだけでいいならもうお暇するけど?」
「ええ、ありがとうございます。」
「ご主人様〜!帰ったら褒めてねぇー‼︎」
「うん〜。頑張って〜(棒)」
「おっしゃ〜‼︎やる気湧いてキタァ‼︎」
「おわッッ⁉︎おい!なんだなんだ!」
嬭は急激な自分に向けられた殺意に嫌悪感を示した。
「やりすぎないでね〜」
コメント
3件
うわあ……第7話、めちゃくちゃ苦しい回でしたね。櫆が兄を想う純粋な愛情と、無惨に奪われてしまう無力感が胸に刺さりました。特に「その夜は、兄の黒髪とプラチナブロンドの髪が美しかった」という一文、静かでありながら絶望の美しさがあって、思わず声が出ました。 そして暗鬱のご主人様登場! 浮いてるし煙の中からだし、八重歯の妖艶さが不気味で魅力的。櫆の「何処かで見た様な?」という違和感も気になります。次が待ち遠しいです。