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mzkty ケーキバース

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mzkty ケーキバース

3 - 第3話

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2025年09月14日

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side:kty



まぜちにボクがケーキであるとバレてしまった次の日、 いつもならまぜちが来ると嬉しくて、色んな話がしたくて駆け寄っていたが、今日だけはどう接したら良いか分からずまぜちのことを避けてしまった。

まぜちも同じ気持ちだったのか、ボクに話しかけてくることはなく、ホッとしたような、なんだか寂しいような気持ちでレッスンを終えた。



次の日も、その次の日もまぜちがボクに近付いてくることはなかった。最初は変に話しかけられないことに安心したが、流石に何日も避けられ続けていると精神的に堪えてくる。メンバーからも心配されてしまい、このまま有耶無耶な状態にしているのはダメだとこれからのことについて考えた。



相手がフォークだと分かった以上、無闇矢鱈に近づくのは自殺行為と同義だ。フォークにとっても、我慢を強いられることになるからケーキが近づいてくるのは苦痛だろう。

となると、表ではいつも通りに接して、裏では必要最低限の関わりに留めるのが最善策だと思う。

でも、そんなのはボクが嫌だ。この数日間ほとんど話せなかっただけでとても寂しかった。これが一生続くなんてとてもじゃないが耐えられない。

たまたま薬を切らしてしまったあの日以降、まぜちが変にボクに引っ付いてくることはない。

薬の効果がきちんと作用してくれている証拠だ。ならば今まで通りに接して大丈夫なのではないだろうか。


しかしこれは2人の問題で、ボク1人が勝手に決断して良いものではない。

まぜちはどう思っているのだろう。

まぜちがもうボクとは最低限の関わりしか持ちたくないというのならばその時は潔く諦める。

でも、もしもまぜちがボクと同じ気持ちならまた前のような関係に戻れるかもしれない。

とにかく一度まぜちと話し合ってみようと決意した。



善は急げと次の日さっそくまぜちに話しかけてみたが「今日は忙しいから。」と断られてしまった。

次の日も、その次の日も「疲れているから。」「仕事が残っている。」などと言われ、話し合いは一向にできなかった。

ある日実は嘘を言っているんじゃないかと用事の内容を事細かに聞いた事もあったが、内容を話すまぜちの様子に嘘はなさそうで、本当に用事があるんだと分かってからはいつになるかも分からない約束だけを結ぶ日々が続いた。



何日もこんなことが続いてボクの心は疲弊していっていた。

メンバーにも心配をかけてしまっていて申し訳なさが募る。散り積もった疲れのせいか、だんだんと逃げ続けているまぜちにも腹が立ってきて、もういい加減決着をつけようとボクは強行突破に出ることにした。



作戦の日、予めちぐに予定が1時間早まったという嘘をまぜちに伝えてもらった。

そしてその朝、ボクは敢えて薬を飲まずに集合場所のレッスン室へ向かう。

まぜちが逃げるせいで話し合いができないなら、最早逃げられないようにしていまえば良いのだ。きっとフォークはケーキの誘惑に逆らえないだろうから。

こんなの自ら食べられに行っているようなものだが、ボクは大丈夫だという自信があった。



匂いで勘づかれるのを防ぐために、まぜちが確実に部屋に入ったのを確認してからボクも部屋へ向かう。

中に入るとまぜちは驚いた顔をして固まっていたが、気にせずボクはまぜちの元へと近付いた。


「お前……薬はッ……、」


「わざと飲んできてない。こうでもしなきゃまぜち逃げるでしょ?」


「は、?」


まぜちから聞いたことないような低い怒気を含んだ声で威圧され気圧される。

興奮状態のためか、目つきもいつもより鋭くなっていて少し怯んでしまうが、ここで止めてはダメだと気にしないフリをして続ける。


「ねぇなんで逃げるの?一回ちゃんと話し合いたい。ボク、まぜちとならまた一緒に……」


「お前は!フォークを甘く見てんだよ!この前も今日もたまたま運が良かっただけで、もし来る途中にフォークに会ってたらお前はここに来ることはできてない。フォークに食われてるから。俺がどんな気持ちで我慢してたと思って……!そんなに食われたいならお望み通り俺が今ここで食ってやるよ。」


そう言い切るとまぜちはボクを押し倒した。

そして鎖骨の辺りに噛みつかれる。まぜちの歯が皮膚を突き破り、そこからじんわりと血が滲んできた。あまりの痛さに目の奥がチカチカする。それでもボクは何とか意識を保ってまぜちに必死に声掛けをした。


「まぜちっ、まぜち聞いて!ボク、まぜちなら絶対大丈夫って信じてるよ。だってあの日、まぜちがフォークだってまだ知らなかったボクを騙して食べることなんて簡単にできたのに、まぜちはボクに全部を話して逃がしてくれた。そんなまぜちだから、ボクはまた一緒にいられるって信じてる……!」


何度も何度もまぜちの名前を呼んでいくうちに、だんだんと鋭い目つきだったまぜちの目に光が戻ってくる。そして意識を取り戻したまぜちはこの惨状をみて酷く狼狽えた。


「あ……けちゃ、ごめん、ごめん……!こんなつもりじゃ……」


意識を取り戻したとはいえまだ興奮状態だ。そこに加えてボクを傷つけてしまったことへのショックでパニックになりかけていて、このままじゃまぜちに負担がかかりすぎてキャパオーバーしていまうだろう。一旦まぜちを落ち着かせるためにも薬を飲む。

少しして薬の効果が出てきたのか、まぜちがだんだんと落ち着いてきたので改めて声をかけた。


「まぜち、びっくりさせちゃってごめんね。もう薬飲んだから大丈夫だよ。」


「けちゃ、ほんとにごめん。やっぱり、もう一緒にいるのはやめた方がいい。その方がけちゃのためだから。」


「なんで、そうやって勝手にボクのこと決めつけるの……。こんな事したからまぜちはもうボクと関わりたくないと思ってる?」


「ちがっ……!」


「もし違うならまぜちの本心を聞かせて。言ってくれなきゃわかんないよ。」


「……分かった、全部話すよ。だからもうあんな無茶はすんなよ……。」


「!うん!!」


しかし話を聞こうと体を起こした瞬間、目の前の景色がぐにゃっと回転して、何が起こったのか理解する頃にはボクの体はもう一度床に倒れてしまっていた。段々と遠くなるまぜちの声を聞きながらボクは意識を手放した。




目が覚めると医務室だった。

そばにはまぜちが居て、僕が起きるのを待っていてくれたようだった。


「けちゃ、起きたか?」


「あ、うん。あれ、ボク……」


「貧血だって。俺が血を吸ったせいで、ごめん。」


「大丈夫だよ〜。それにまぜちのせいじゃないよ。昨日まぜちとの事考えすぎて寝不足だったからそのせいもあるかも。 」


「なら結局俺のせいじゃんか。」


「エヘヘ、確かにそうかも。」


少しの沈黙の後、ボクは思っていたことを話し始めた。


「あのね、ボクね、まぜちがフォークって知った時、ちょっと怖かった。」


「うん」


「でも、まぜちは自分だって苦しいはずなのに必死にボクのことを逃がしてくれたり、その後ずっと避けられてたのもきっとまぜちなりに気を遣ってくれてたんだなって思って。」


「うん」


「ボクも色々考えて、きっとこのまままぜちと距離を置くのが”正解”なんだろなって思ったけど、そんなの考えただけで寂しくて無理だった。この数日間、ほんとに辛かった。 まぜちは?どう思ってたの?」


「俺も、けちゃと話せなくて寂しかったよ。自分でけちゃと離れる選択をしたのに、けちゃが俺以外の人と楽しそうに話してるのを見るとすごいモヤモヤして、嫉妬してる自分に気付いた。」


「けちゃ、好きだよ。」


突然のまぜちの告白に思考が停止する。

好き。まぜちがボクのことを、好き。

驚きはしたが、その言葉を聞いてとてもしっくりきた。今まで考えてもいなかったが、この寂しさにも、もやもやにも「好き」という名前がつくと納得できた。

ちゃんと話してくれたまぜちの想いに応えよう、今はっきり理解できたこの気持ちを伝えようとする。

しかし、続くまぜちの言葉に遮られた。


「きっとけちゃはきっとまた前みたいな関係に戻りたいって思ってくれてるんだと思う。でも俺はそんなんじゃ足りない。それ以上の想いをけちゃに向けてる。だからこそ、もう隣にいる訳にはいかない。こんな想い抱えたままじゃまたいつ欲望が爆発するか分からないし、けちゃにも迷惑が……、」


「待って!なんでまぜちはいっつも勝手に決めつけるの?」


「ボクもまぜちと一緒だよ。まぜちが他の人と楽しそうに話してるの見て嫉妬した。ボクだけ避けられてるのが辛かった。ボクも……ボクもまぜちが好きだよ。もし、相手が他の人だったらきっと寂しいけど仕方がないって諦めてたかも。でも今絶対に諦めたくないって思ってるのはまぜちだからだよ。それでもまぜちはボクから離れていくの?」


「嫌だ。離れたくない。もう絶対に離さない。だから、けちゃ、俺と付き合ってください。」


「うん。もう離さないでね。今度こそ約束だよ?」


嬉しくて二人でいっぱい泣いて、暫く見つめあったあと、どちらからともなく顔を近付けるが、唇がぶつかる直前でまぜちの動きが止まった。


「待って、俺また歯止めが効かなくなるかもだから……」


「今はちゃんと薬が効いてるし大丈夫だと思うよ?それに、まぜちがまた襲いかかってきてもまた今度はボクが止めるから大丈夫だよ。」


「確かにけちゃおフィジカルモンスターだもんなw」


「ねぇ今そういう冗談言う雰囲気じゃなかったでしょ!」


ごめんってwと笑うまぜちにそっぽを向いて怒っていると不意に顎を掴まれ正面に向き直させられた。そしてそのまま口付けを落とされる。


「機嫌直った?」


「ん……。それよりどう、甘い?」


「うん。甘さに酔いそうなくらい。でも薬のおかげで食い尽くしたいほどの欲求はでないかも。」


「そうなんだ、良かった。まぜちは涙のせいでちょっとしょっぱいね笑」


「うっせ。けちゃおだってめっちゃ泣いてたくせに。」


少しの言い合いをした後、顔を見合せて笑い合った。こんな何気ないやり取りですら楽しくて愛おしい。


「さ!部屋戻らなきゃ!みんなに心配かけちゃったしちゃんと謝らないとね。」


「うわー、俺絶対めっちゃ怒られるじゃん……。」


「それは勝手な判断でボクのこと避けたまぜちが悪いからしょうがないよね。」


「はぁー?俺なりの優しさだったのにけちゃおさんはそんな風に言うんだー。」


なんてじゃれあいをしながら部屋に戻り、メンバーに心配をかけてしまったことへの謝罪と共にボクらのバース性のこと、あの日の出来事のこと、それらが全部解決してまぜちとお付き合いを始めたことなど全て話した。

メンバーからは「もっと早く言ってくれたら相談に乗ったのに!」と心配をかけたことへの苦言は呈されたが、みんなボクとまぜちが結ばれたことを心から祝福してくれた。

本当に良いメンバーに恵まれたなと嬉しくなってまた少し泣いてしまって、それを見たメンバーがボクのことをいじってきて、こうしていつもの日常が戻ってきた。






「え!?まぜち生のケールなんて食べるの!?」


今はレッスンのお昼休憩中で、みんなで和気藹々とご飯を食べてたら、ふと隣に座ってるまぜちが生のケールを食べたことにびっくりしてつい声をかけてしまった。


「生のケールは野菜の王様って言われるくらい栄養がいっぱい入ってるからな。俺には味は関係ないし。けちゃも1回食べてみたら?案外いけるかもよ。」


「え〜〜、でも……」


「まぁお子ちゃま舌のけちゃにはまだ無理か。笑ごめんごめん。笑」


「いやそんなことないもん。ボクなんでも食べれるから生のケールも食べたことないだけで別に食べれるし。」


「言ったな?じゃ、はいあーん」


上手く口車に乗せられた感はあるが、煽られたままでは悔しいのでついムキになってしまった。

まぜちからケールが運ばれてこようとしたが、そのまままぜちの口の中に消えていった。なんだ、ただの冗談だったのか。と思ったのも束の間、まぜちから口移しでケールを食べさせられた。


「ん゛ん゛〜〜〜〜!!!」


「ほら、こうしたらけちゃは苦手なケールを食べれるし俺も美味しくご飯が食べれて一石二鳥だろ?」


そう言ってまぜちは悪魔のように笑っている。

騙されたことへの怒りと恥ずかしさからまぜちを睨みつけるが、当の本人はどこか余裕そうに


「ふ、かーわい。笑」


と呟いて必死に息を吸ってるボクを見つめた後に今度は普通にキスをしてきた。


「おいここで発情すんなや!」


「ちょっとまぜたん!けちゃが苦しそうでしょ!」


「けちち顔真っ赤っかじゃ〜ん笑」


「俺とメンカラ交換するか?笑」


ここまでいくとずっと黙ってボクとまぜちのやり取りを見ていたメンバーが助け船を出してくれた。いや、助けてくれたのはちぐだけだったかも。


「ちぐ〜!ボクもうあいつの横でご飯食べない……!」


「けちゃ〜!こっちおいで!まぜたんのことは後でみっちり叱っておくからね!!」


「あ〜あ、まぜ太振られてやんの〜笑」


「はぁ?うっせーし」


「ま、でも今のはまぜが悪いな笑」


「まぜちドンマイ!!!笑」


ガヤガヤと騒がしいアンプのいつもの日常だ。

あっきぃの冗談で笑ったり、ぷりちゃんにいじられたり、ちぐと一緒にご飯を食べたり、あっちゃんとのんびりお話したり。

どれもかけがえのない時間だけど、でもやっぱりその時間を過ごす時隣にはまぜちがいて欲しい。


なんてことを思っていると、ボクの考えを見透かしたかのようにちょうどまぜちから連絡がきた。

内容は、


「レッスン終わったらけちゃが気になってたカフェ連れて行ってあげるから許して?」


というものだった。

明らかにボクのことを食べ物で釣れば機嫌が治ると思っているのが透けて見える。でも自分は何を食べても変わらないのにわざわざボクの趣味に付き合ってくれるのが嬉しくて結局許してしまうからボクもボクだ。



この後まぜちにケーキ奢ってあげたんだから俺にも食わせてよ。といってまた味見をされることになるが、そんなことは露知らず、ボクはまぜちとのカフェを楽しみに午後からのレッスンに向けて気合を入れた。

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コメント

7

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続き待ってました~🥹🥹ほんと最高すぎます߹𖥦߹👍🏻💘

ユーザー
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最高

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