今回はリクエスト頂いた葛葉です
久しぶりすぎて書き方忘れました
目を開ける.
そこは暗い闇の中.
見慣れた景色の中で一つ、輝く何かがあった.
「…叶……?」
それは俺の方を向いて、こう言った
?「………お前なんか─────」
『消えてしまえばいい』
「ッ…!!」
目を開ける
そこは俺の部屋だった
「……夢…?」
やけに息が荒い
冷や汗もかいていて、気持ち悪い
叶「あ、くーちゃんおはよ〜」
「おは───────」
『消えてしまえばいい』
「…っ」
叶「葛葉…?」
叶が近づいてくる.
叶「大丈夫、?顔色悪いよ」
ハッとして顔を上げる
叶は心配そうな顔をしていた
「あ、嗚呼…大丈夫だ」
叶「そう?無理しないでね」
「無理なんか、するかよ」
叶「前にしかけたことあったじゃんか」
「それと今は違うだろ」
「それはそうとお前、なんでここいるんだよ」
叶「オールしてそのまま」
「納得」
「んじゃ今日はエペやってくか〜!」
画面の向こうのリスナーに語りかけるように話す
ゲーム画面を開いて起動する
いつもは叶とやってるけど、さっき帰らせたばっかりだから来ないだろうなと思いながらいつもしているように対戦ゲームをプレイする
叶「一戦だけいい?」
ゲームを始めてしばらくすると、叶の声が聞こえてきた。
「いいよ」
そう返事をしてマッチングして叶と同じチームになる
叶「そこに2人いるよ」
「了解」
叶と話しながら次々と敵を倒していく
「ごめん!死んだ!」
叶「大丈夫、任せて」
叶「あ〜…僕も死んじゃった」
「わりぃ、俺がしくじった」
叶「大丈夫だって」
叶「今日はありがとね、じゃあまた明日」
「おう」
リスナー「あぁ〜死んじゃったか〜」
リスナー「もっと見たかった…」
リスナー「相手強かったね」
「マジで後で叶には謝っとかないとなぁ」
リスナー「ちゃんと謝りなよ」
リスナー「葛葉のせいで負けた。叶可哀想」
リスナー「流石に無いわ」
「…今日はこれくらいで終わるわ〜じゃな〜」
「…はぁ」
いちいち部外者がうるさいな。
そんなに言うなら見んじゃねぇよ
いつもは浮かばない感情が、自然と浮かぶ
「叶…」
関係のない叶にさえ、嫌な感情が向いてしまう
そんな気持ちを消すため、電話をかけた
叶「もしもし?どうしたの」
「さっきはマジでごめんな〜!俺しくったわ〜」
いつものように軽く声を上げる
叶「大丈夫だよ、そんなの.」
少し笑ったような声でそう答えた.
「…なぁ、叶」
無意識、だった
俺自身、そんな言葉が出ると思わなかった
「俺、何の為にVやってんだろうな…w」
叶「え…?」
叶の声で、ハッとした
俺は今、何を言った?
叶「くーちゃん、どうしたの、」
「ごめん、なんでもない」
叶「なんでもなくないでしょ.言って」
「なんでもないって」
叶「我慢しないで、言って」
「なんでもねぇって言ってんだろッッ!」
つい、出てしまった
本当の気持ちが.
言ってはいけない、俺の、汚い一面が.
止められなかった.
「そりゃあお前はいいよな.
いっつも色んな人に応援されて、
さっきだってお前はヒーローみたいな扱いで!
それに比べて俺はなんだよ.
確かに俺は死んだよ.
しくじったよ.
だけどそんなことでわざわざいらねぇ事言ってくんなよッ!
消えろとか、可哀想とか、うんざりなんだよッッ
いつもいつも、俺のことなんて誰も見やしない.
自分の思い通りに行かなかったから?
俺を責めるのか?なぁッ!?
訳わかんねぇよ…
いつも、俺だけだろッ…」
「俺は、こんな事のために生きてきたんじゃない」
もう、耐えられなかった.
いつも応援される叶と
いつも非難される俺.
なんでだよ.
なんでいつも俺だけなんだよ.
なんで、誰も俺のことを見てくれないんだよ
叶「葛葉」
そう、優しく俺の名前を呼ぶ声に視線を上げた
叶「僕は、ヒーローなんかじゃないよ.」
何を言ってるんだと思った
叶「今、こんなに近くで苦しんで、辛い思いしてた葛葉を助けてあげられなかった.
気づいてあげられなかった.
ヒーローは遅れてやってくると言うけど、
間に合わなかったら、ヒーローじゃない.
僕は、葛葉が自分の気持ちを叫ぶまで、
何もわかっていなかった.
そんなこと、思ってることも知らなかった.
だから僕はヒーローじゃない.」
「…」
叶「意外だった?でも、本当だよ.」
クスッと笑って、叶は言った.
叶「僕もローレンもイブちゃんもふわっちも、
笹木も椎名もりりむもばねさんもひまちゃんも
もちろん、もちさんや他のみんなだってそう.
どこにも、ヒーローなんかいないんだよ」
ヒーローがいない、そんなの知ってる.
でも、お前はヒーローみたいな存在なんだよ.
どうやっても、俺には届かない.
叶「でもね」
温かい声で叶は言葉を続けた
叶「みんな、予知や人の心を読んだりは出来ないけど
話を聞いて、理解して、気持ちを楽にさせてあげる事ならできるよ.
葛葉の傍にいて、慰めたり元気づけたりする事なら、
僕やみんなにもできるよ.」
ふと、目が覚めたような気がした.
叶が、気づかせてくれた.
そうだ、そうだっただろ.
みんな、そうやって今まで生きてきただろ.
どんなに自分が大変でも、人の話を聞いて、解決しようとしてくれるだろ.
叶も、その存在と同じなんだ.
俺だって、きっとそうなんだ.
叶「だからね、もう、抱え込まなくてもいいよ.
全部、吐き出していいよ.
辛くならなくていい、我慢しなくていい.
頑張らなくていい.泣いてもいいよ.
好きなだけ吐き出して、泣いて.
そしたらきっと、いつもみたいに前を向ける.
ちゃんと周りが見えるようになる.
それでまた、挑戦したり、何かを頑張ったり
誰かと話してみたりしたらいい.
その相手が、僕でもいいよ.
だから頼って.心から信頼できる人を頼って、もう辛いのもしんどいのも全部吐き出して.
受け止めるから.」
自然と目から水滴が溢れていた.
心につっかえていたものが無くなっていた。
そうだ、叶は昔からこうやって、
俺を元気づけてくれた.
俺に生きる希望をくれた
俺に人としての生き方を教えてもらった
「っ…」
やっぱり、叶には敵わないなぁ…w
第5話
人物:葛葉
『ヒーローのような存在』
終
コメント
8件
待って、最高すぎる、