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👑「ねぇボビー、催眠かかってみない?」
👾「は?」
暑い夏、ラフな格好で編集をおこなう2人。毎年夏になると自身の家で居候を開始する彼は今年も我が家のインターホンを躊躇なく押している。自身は居候開始の合図の音が頭から離れる事が出来なかった。ただ居候するだけなら良いんだ、自身が彼に好意を向けていなければこんなに悩む事なんてなかったのに。同業依然に彼は男、男同士なわけであって交際なんて以ての外。同性愛を否定するつもりは此方微塵もないのだが彼はどうなんだろうか。想いを伝えてしまったら気持ちが悪い、なんて言われてしまい距離を取られ仕事にも影響してしまう。そもそもの話彼の恋愛対象は女で自身なんて蚊帳の外。そう、叶わぬ恋なのだこれは。そんな事で葛藤している毎日を過ごす中とある日彼から催眠、というワードが彼の声帯の震えを通じて聞こえてくる。彼はなんと言った?暑さで頭がおかしくなってしまったのかと相方の状態を心配している、はたまた唯単になんやねんコイツと呆れの返答をぶつけて。
👑「いやだから催眠だって。ほらこういうの。」
そう言っては動画サイトから引っ張ってきた催眠術の動画を見せてくる。内容は手が開かなくなったり急に眠りについたり味覚を変えたり。相手の暗示に従ってもらえたり。興味を引く内容からかけられたくない内容までビッシリ詰まっていた。正直催眠術には全くと言って良いほど興味が無く彼からの質問にはNOと答えるつもりだったがせっかくだし動画のネタになりそうなのでYESと返していた。一応彼からの許可を取り撮影開始をして。
👾「あーこういうのな?・・え、誰がかけるんこれ。なぁ、お前だとか言うなよ?」
👑「ん?俺がかけるに決まってんじゃん、任せて俺催眠術かけるの定評があるからさ。」
👾「そんな定評聞いた事ないんですけど。」
👑「まーまー大丈夫だって絶対かかるから!永遠に眠らせる自信あるし。」
👾「頼むから一時的に眠らせてくれへん?お前催眠向いてねぇって。」
あーだこーだ言い合っているうちに結局ニキが俺に催眠術をかける事が決定事項になっていた。適当なイスに座らされ次の要項を説明されて。
👑「えーーーとまず催眠術のプロセスを確認します。STEP1催眠に興味を持ってもらう!興味を持って貰わないと催眠が効かないんだって、ボビー今すぐ興味示して。」
👾「無茶振りレベル100?まぁ興味はあるから平気やろそこ。次。」
興味はある、と流れるように嘘を吐いては次のプロセスを急かして。
👑「STEP2!信頼関係を結ぶーーだけど此処も平気か。STEP3はー・・実際に催眠かけてんじゃん。じゃあやるかー、それじゃいくよ?とりあえず目閉じて、ボビー。」
落ち着いたトーンで話す彼の命令に背く理由も無くて素直に目を瞑る。彼はどんな催眠をかけるのか、眠らせるのか、手が開かなくなるのか、それ以上にヤバいものか。
👑「じゃあゆっくり深呼吸して。・・これ成功するか不安なんだけど。失敗しても許して!ww」
今更になって成功云々を話す彼に腹立ちを覚えつつも深呼吸をしてやる。息を吸って、息を吐いて。当たり前の動作だ。彼に好意を伝えるのも呼吸と同然の動作になれば良いのに。
👑「んと、自分がリラックスしている想像をしてもらう・・?息を吸うたびに良い気持ちになり、息を吐くたびに身体の疲れが抜けていきます。深い呼吸をするほど穏やかで気持ちが良くなりますー・・。」
教科書に綴ってあるような言葉を選択しては声に出す彼。そんな言葉通りになっていくのが自身でも分かってる、力が抜けて、和らいでいく。
👑「よし。準備出来たよボビー、じゃあ早速催眠かけてくわ。・・俺が良いって言うまで喋れなくなります。・・どう?効いてる?」
これで一般人は喋れなくなるんやな、と悟る自身。そう、催眠にかからなかったのだ。素直に催眠にかからなかったと言うのも良いのだがせっかくなので効いてるフリをしてみた。無言で頷いては彼の反応を見て楽しもうとしよう。
👑「え、マジで効いてるじゃん!俺才能あったりしちゃう?我催眠術師向いてる?YouTubeと催眠術師掛け持ちしようかな。」
👑「・・えーじゃあ貴方はだんだん眠くなーる、眠くなって放送禁止ワードをバンバン言っちゃう〜。まぁ後半のはかからなくていいケドね。」
巫山戯た事を言い放つ彼にツッコもうとするが今は喋れない設定な事を思い出す、ビシッとツッこめない事にもやもやしながらも2つ目の催眠にかかったフリをしようとコックリ、コックリと首を上下に振って眠りに落ちた演技をかまして。
👑「嘘でしょこんな簡単に催眠かかるの?ここまでいくとボビー心配なんだけど。・・最後の暗示ね、これはかからなくても良いから。」
彼にしては珍しい弱音だ、と吃驚しながら彼からの暗示を待った。数十秒経った後右手に人の温もりを感じた。誰の手?なんて聞けるはずもなくそもそも聞かなくても分かる問題。恋人繋ぎをされながらも彼はこう述べた。
👑「目覚めたら、俺の事が好きになります。なんて。」
そう暗示された瞬間繋がれた右手の力を強めて、一つの暗示なんて気にせずにこう答えた。
👾「目覚めんくても俺はお前が好きや。つか暗示しなくても良いモンだすなよ。」
👑「え、ぼ、ボビーなんで!?つかお前好きって、は、催眠は!?」
👾「あんな催眠に俺がかかるわけないやろ、ずーーっと虚無だったわ。」
👾「じゃあ俺もお前に催眠仕掛けちゃいましょうかねぇ?えーー、次の質問にお前はYESと答える。」
👾「ニキ、お前がずっと好きだった。付き合ってくれ。」
こんな一世一代のチャンスを逃すまい。数年間の想いを20数文字に纏めて述べた。
彼の解答は ______ 。