いきなり思いつきました。
思いつきでかいたので意味わかりません。
ハッピーエンドなのかは知りません。
途中で諦めたので締めくくり下手!
正午、暖かな光りが地面を照らしている時。
今日は海辺に来ていた。
心地よい風がふんわりと吹き、頬を撫でるようにして、そのまま去っていく。
いい気持ち、そんなことを考えていると遠くに何かがあることに気がついた。
人間?いや、違うのか、?
わからない、人間っぽいけどなんか違う。
歩いていた足を早めてそこまで急いで行ってみる。だが途中でその気持ちも薄れてきた。
きらきらと光を反射させているそれは…
「え、」
そう、そこにいたのは
「人魚、?」
綺麗な薄い青色をした尾鰭をぐんと伸ばしたそれは苦しそうに浅い呼吸を繰り返していた。
そっか、鰓呼吸だしな。
呑気にそんなことを考えているとヒレ耳がかすかに動いた。そして乾いた目をこちらに向けるときゅう、と小さく鳴いた。
「え、どうすりゃ、」
いやこれ海に返した方がいいのか、?
そりゃそうか、よし、
俺よりも少し身長?まあ少し高いであろう体を抱きかかえて、きらきら光る海に近づく。
水面に着く直前、腕の中にいる彼はそれを拒んで、バタバタと暴れる。
いやいや、なんでだよ。俺もう帰りたいんだけど。
「きゅう、きゅ、」
悲しそうに鳴きながら動くとこちらをじっとみてきた。
“つれてかえって”
そんなことを言っている、ような気がする。
「無理だってぇ、」
海の潮の匂いが鼻をくすぐる。綺麗な波がこちらに近づいてきて、彼を連れて行こうとしているように見える。
それでも腕の中で騒ぐ彼は海に近づくたび、嫌そうに体を捻る。
どうすればいいのかわからないまま砂浜をうろうろと歩くたびに、置いて行きたい、そんな気持ちがたくさん出てくる。
…どうするかな、
「きゅぅ!きゅーぅ!!」
ぱちゃぱちゃと水が周りに跳ねる。俺の周りにはもう水たまりしかなくて正直困ってる。こりゃ後で大掃除だな…。
人魚は、…結局家に連れて帰った。
何故か人が全然いない時間帯に帰ることができてさ。誰にも目撃されてない、はず。
でも、生憎俺の家には成人男性が入るような水槽は流石にない。しょうがないから出来る限り満帆に水を張った浴槽で我慢してもらっている。
「…なあ、」
きゅ?と水遊びをしていた手を止めてきゅるんとした目で見つめてくる。不思議そうに首を傾ける仕草はまあ、かわいい。
「名前、ある?」
「きゅう、ぴきゅ!」
返ってきたのは未知の言語。海の世界ではそれが通じるのだろうが俺には伝わるはずもない。
うーん、と今度はこちらが首を捻った。
「じゃあ、…俺は牛沢。」
「ぅ、?」
「そう。うしざわ」
「きゅ、あ、ぅ、し、ざぁ、わあ!」
すげ、こんなすぐに言えるもの?
俺はあっちのこと全くわかんないのに…
「な、まえ、なまえ!」
そう、そうと頷くと何かを考えたように少し黙り込む。そして口をぱくぱくと動かすと嬉しそうに頷いた。
「きぃ、よ!なま、え!」
きゅ!と1つ大きく鳴くと体をこちらに伸ばしてきた。
「きよ?キヨって言うんだ。」
「きぃー、よ!!」
ぎゅ、と濡れた体を俺に絡めてきた。水に浸っていたはずなのに、とんでもなくあったかい。
「ふ、かわいー、」
「!かわぃ!うし、ざわ!かわぁい!」
どんどん覚えていく言葉に何故かいるはずもない我が息子の成長に重ねてしまう。
にしても、かわいい。
動物は好きだし、こんなに素直でかわいいものだったらもっと嬉しいくらい。
びしゃびしゃになっていくズボンをぼんやりと見つめて、もう一度、俺を上目遣いで俺を見つめるキヨの顔を見てみる。
大きく、くりくりとした金色の目。茶髪に少し伸びた赤色の毛先、そして襟足。青がかったヒレ。
おとぎ話に出てきそうなほど綺麗な人魚。
あり得るはずのない存在は今前にいる。信じがたいもののいるもんはいるんだから、信じるしかない。
「すぅ、き!うしざぁ!すき!」
にこにこ。ぽかぽかした笑顔が俺を見つめる。
「俺も好きだよ、キヨ」
困ったように笑う俺に嬉しそうに頷き、俺から離れると自分の尾鰭についている鱗を、1枚剥がしとった。
「なにして、」
「うしざわ、たべる!おれのなかま!」
誇らしげに自分を指差してもう一度水を揺らした。濡れた髪から水滴が滑り落ちてより大きな水たまりがつくられていく。
「仲間?俺も人魚になれって?」
「!そぅ!うっしぃ!なる!」
いきなりのあだ名に驚きながらも首を横に振る。
「ごめんな、俺は人魚にはなれねぇわ。」
「なん、で?」
「俺はちゃんと陸を歩きたい。人間として生まれてきたならそうやって生きていきたいんだわ。だから、な?」
目を見開きキヨが自身の足である尾鰭をじっと見つめる。パタパタと動かすとそれはひとつの足として動いた。
悲しそうに目尻を下げるとかちゃり、と硬い音をたてて鱗を置いた。
ばっ!と両手を広げると目でこちらに指示をしてくる
“ぎゅーして”
わかった、と呟くと膝を地面についている自分が不思議でたまらない。
言いなりのようだ。だけどあの声を聞くと、どうでも良くなって、なんだか、よくわからなくなる。
「うっしー、すき、だーぁいすき」
ふと、抱きしめられた感覚で思い出した。
昔、結婚しようと誓った幼馴染がいたこと。彼はいつも俺のことを大好きだった言ってくれてて、ハグをした時はいつも暖かかった。
同時に、あの時の言葉も思い出した。
ーもし俺がしんでもさ、また人魚になってうっしーにあいにいくよ
ーなんで人魚?
ーステキじゃん!だいすきな人には綺麗な姿で会いたいの
ーそっか。俺は◼︎◼︎のことずっと大好きだよ。
ー嬉しいや。じゃあ他の人と付き合うのもダメだよ!これから先俺がいなくなっても!
ー大丈夫!約束、守るよ!
そんな会話。
他愛のない、いつものヒビ。
でも、あの日、あの時、いつものように分かれ道で手を振るとそれぞれの道を進んで行った。お前は、居眠り運転をしていた車に撥ねられてしまった。
血だらけになった体に安らかな顔。忘れない、忘れるはずのないあの時、俺は全て失った。
でもその代わり、というように約束だけはずっと守ってきた。
と、思い出に馳せていると温かい彼は俺を抱きしめる力を徐々に強くしていく。
いたい、そう伝えようとすると、目が合う。
「うっし、こっち、みる」
「ん、」
ぐっと近づいた距離。
嬉しそうな、目に光がない顔。
赤く色づいた頬に両手を添える。
もうわかったのか、キヨは両目を瞑った。
綺麗な金色が消えて、残念に思う。
触れた唇は、熱いくらい。好きだと言う気持ちが溢れ出したように、ぎゅっと、体を抱きしめる。
と、相手の口が開かれた。
ああ、いっか。もう。
入れ込むと容赦なく尖った歯が俺の舌を突き刺した。
驚いて距離を取ろうと、離れようとするとがっちりと固定された手は動く気配がしない。
指を絡められる。
温かい、と言うより火傷するくらいに熱くて、痛い。
ぢゅう、と滲み出てきた血を吸うと、惜しみなさそうに唇が離れた。
「ね、言ったでしょ」
「帰ってきたよ。」
謎の物語。
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