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話し終わった拓馬くんは、どこか考え込むような仕草をしていた。私はホッとした気持を押し殺して、拓馬くんに聞いた。
「拓馬くん、夜桜さんに婚約者がいるの知ってる?」
私は心の中で祈った。
(知らないって言って…)
でも、拓馬くんからは望みどおりの答えは返ってこなかった。それどころか、絶望的な言葉だけだった。
「知ってるよ。」
拓馬くんはその後に何か言ってるようだったけど、頭に入ってこなかった。ただ、拓馬くんが夜桜さんをもてあそんでいる…そんなふうにしか見えないこの状況。そして、それを悪びれもなく言う拓馬くんが信じられなかった。私はなんでもやもやしてるのか…そんな気持ちで埋め尽くされた自分を振り切るように、鋭く叫んでいた。
「最低っ…!」
走り出した私を追いかけてくれる…そんな漫画のようなことは起こらず、ただただ私は泣くこともできずにその場から立ち去った。