テラーノベル
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G side
カノンはルイのもの。
ずっとそう思ってた。
カノンは、同じグループメンバーだ。
トレーニーの時、志を共にする仲間、だった。
同い年なのに、そう思えないくらいしっかりしていて、周りもよく見えている。
パフォーマンスだって、いつも安定していた。
尊敬してた。
でも、オーディションの時に二人で語り合ったあの夜から、少しずつカノンのことが気になりだした。
いつの間にか、目で追うようになっていた。
“好きだ”
そう自覚した時にはもう遅すぎた。
むしろ、最初から間に合っていなかったかもしれない。
だって、カノンにはルイの存在があったから。
この二人が過ごした時間は、長くて、想像出来ないくらい濃かった。
ルイのカノンへの距離の近さもそれを物語っていた。カノンもそれを喜んで受け入れているように見えるし…。
俺の入る隙なんて全然ない。
K「ゴイチ?どうした?」
G「ん?何でもない。続きやろうぜ」
危ない。こんな所でぼーっと考えてしまった。
今日はカノンの家に遊びに来ている。
同年代で話しやすくてノリも合うから、時々カノンの家に遊びに行く。
俺の場合は、それだけの理由じゃない。
カノンとの時間を重ねていけば、ワンチャンどうにかなるかも…と思っている自分がいるのかもしれない。
G「っあ!やべ…待って!」
K「っはは!待たないー 」
ゲームの対戦中、時々肩が触れ合う。
それだけで胸がきゅっとなる。
意識もカノンの方へ逸れる。
簡単すぎるな、俺って…。
G「てか、さっきから何飲んでんの?怪しい匂いしてんだけど」
K「え?酒。明日オフだし」
にまにまとカノンが笑う。
G「えーずる…」
K「いや、君まだ未成年でしょ」
カノンが俺の肩をポンポンと叩く。
G「うるさっ、すぐ追い付くし!」
カノンはむきになる俺を見て、ふっと笑う。
そしてまた、グラスに口を付けた。
G「そうだ…今日のリハで上手くいかなかったとこあってさ…」
K「ん?」
急に思い出した。
きっとカノンが相談しやすい相手だからだと思う。
カノンが俺に視線を移す。
そして、じっと見つめられた。
何…無理なんだけど…。
G「…はっ…、カノンどした?」
慌てて笑って誤魔化す。
危うく照れてしまう所だった。
K「その話、今度にしよう。ゴイチ疲れてるでしょ」
G「え?」
疲れてないけど、と言おうとして言葉を飲み込む。
言われてみればいつもより身体が重い。
何で、カノンには分かったのだろう。
K「大丈夫だから、次のリハで話そ」
カノンが柔らかく微笑む。
優しさをただ受け入れたらいい。
なのに、酷く切なくなった。
この表情も全てルイのものなんだ…って頭を過ったから。
G「…なんでそんな優しいんだよ…」
ポツリと呟く。
K「ん?」
G「や、なんでもない…」
カノンへの気持ちが、いよいよ溢れそうだった。
最近、カノンのことを考えると胸が苦しくなる。
疲れてる、だけじゃないのかもな…。
K「やば…酒の回り早いかも…」
カノンが眉間に手を当て、ため息を付いた。
K「俺も疲れてるわ」
自嘲気味に笑い、立ち上がる。
その瞬間、カノン足元がふらついた。
横にいた俺の方に身体が傾く。
K「…うわっ…!!」
俺は胸でカノンを受け止め、床に倒れ込んだ。
G「あっ…ぶね…」
K「ご、ごめん…っ」
カノンの身体が一瞬で離れていく。
もう少し寄りかかってくれていても良かったのに…。
身体には、カノンの感触がわずかに残っている。
G「もう水にしとけ」
少しだけ鼓動が強くなったのがわかった。
上体を起こしながら、カノンに視線を移す。
K「うん…ごめん……」
カノンが背中を向けながら、もう一度謝った。
その姿はやけに静かで。
G「?」
急にどうしたのだろう。
よく見ると、耳が赤いような気がする。
G「……カノン……?」
少し近付いて、顔を覗き込む。
G「…っ…」
一瞬、思考が止まった。
横から見たカノンの頬が、真っ赤だったから。
きっと酒のせいじゃない。
さっきまで、顔色は変わらなかった。
頬を染める理由が一つだけ浮かぶ。
でも、何で…。
だって、カノンはルイのことーーー。
少し混乱しながらも、距離を詰める。
G「…痛いとこでもあんの…?」
1ミリもそんなこと思ってないくせに。
ただ、カノンに近寄る理由が欲しかっただけ。
肩に軽く手を乗せる。
K「だ、大丈夫…!」
カノンが慌ててこちらに振り向く。
G「…っ…」
目が合った途端、カノンの視線が泳ぐ。
赤く染まった頬。潤んだ瞳。
こんな表情のカノンは、初めてだった。
G「…全然、大丈夫そうじゃないけど…」
K「………」
カノンは気まずそうに視線を落とす。
そして、きゅっと唇を噛んだ。
カノンの姿から目を逸らせない。
もっと。
もっと、近くで見たい。
カノンの方へ身体を寄せる。
もし、カノンが嫌がる素振りを見せたら、冗談だって笑えばいい。
この甘い雰囲気はなかったことにすればいい。
元の二人に戻ればいい。
すごく簡単な事だ。
もう少しだけ近付く。
カノンは、まだ引かない。
じゃあ、あとちょっとだけ…。
K「…ゴ…イチ……?」
カノンがほんの少し顔を上げた。
視線が合う。
今度は逸らさない。
賑やかだったテレビの音は、いつの間にか聞こえなくなってた。
少しずつ、近付く距離。
お互いの吐息が微かに感じられる。
鼻先がくっつきそう…。
もう…さすがに近すぎる。
…本当に…いいの?
顔を少し傾ける。
その瞬間、カノンが瞼を閉じた。
唇と唇が合わさる。
嘘…だろ…。
柔らかくて、ほんのりと温かい。
ゆっくりと唇を離す。
そっと吐いた息が震えていた。
してしまった。
カノンと…キス。
ごくりと喉が鳴った。
自分から仕掛けたことなのに、頭の中が真っ白だ。
そっとカノンの顔を見る。
熱っぽい瞳が、下から覗き込むように見つめていた。
こんな顔…ずるい。
喉の奥が熱くなる。
G「…ルイのこと…」
K「…え…ルイ……?」
G「ルイが好きなんじゃねぇの?」
K「は?!」
ずっと抱えていたことを、思わず口にしてしまった。
カノンは驚いて、ポカンと口を開けている。
さっきのキスは何だったのか。
甘い雰囲気が一気に解けた。
K「好きだけど…恋愛感情とかじゃない…」
状況を掴めていないカノンが、戸惑いながら答える。
G「そ…、そっか…」
ルイとの距離が近いのも、受け入れてる姿も友情だったってことか…?
肩の力が少し抜ける。
K「ゴイチは?」
G「へ?」
K「なんで…俺に……キスしたの…」
そんなの…。
G「好きだからに決まってんじゃん」
もう、即答だ。
それ以外に何があんの?
落ち着いていたカノンの頬が、みるみる赤くなっていく。
K「もぉー…無理…恥ずかし…」
そして、両手で顔を覆ってしまった。
何この反応。
可愛すぎる。
さっきまで、わちゃわちゃ喋ってゲームしてた相手とは思えない。
カノンの正面に座り直す。
G「嫌じゃなかった?…キス」
少しの間を置いて、カノンがこくこくと頷く。
G「もう一回…したい」
K「……うん……」
顔を覆っているカノンの手をそっとはがす。
汗が滲んでいる手をそのまま握った。
形の良い唇に、吸い込まれるように近付く。
K「あ…ちょっと待って」
G「?」
ビー玉のような光を帯びた瞳が、真っ直ぐ俺を見上げる。
綺麗で、目が離せない。
K「ゴイチ…あのさ…」
G「…うん…」
K「俺も…好き…」
そう言われた途端、胸がきゅっと締まる。
G「っ…うん…嬉しい…」
俯き、カノンからの “好き”を噛み締める。
ずっと、カノンはルイのものって思ってた。
こんな日が来るなんて、全く想像してなかった。
今度は、俺の方が顔を上げられない。
この告白が思った以上に効いてしまっている。
K「…ゴイチ?」
G「あー…ごめん…」
K「平気?」
G「いや…嬉しすぎて無理…」
緩んだ顔を上げられない。
カノンがふっと笑う。
K「キスは?」
そう言われて、はっと顔を上げる。
G「お前…さっきまで顔赤くさせてたやつが何言ってんの…」
カノンが急にギアを上げてきたから、狼狽えてしまう。
G「カノンって魔性?」
K「…ふっ…何それ」
目を細めるカノンの唇が、チュッと俺の唇の先に触れた。
G「…っ…」
身体が熱くなる。
俺、ちゃんと止まれるよな…。
結ばれた想いを大事にしたい。
これから二人の時間を重ねていきたい。
だから、今日は我慢する。
そっと、唇を重ねた。
これで終わりにするつもりだったのに。
…チュッ…ッ…
カノンが音を立てて、唇を吸ってきた。
G「っ!ちょ…っ…」
生まれた熱がドクンと脈を打つ。
動揺した俺の視界に、酒の入ったグラスが目に入った。
そうだ…。
カノン、飲んでたんだ…。
K「ゴイチ?」
カノンが催促するように、唇を差し出してくる。
G「…待って、一旦終わり…っ」
誘惑に負けそうになりながら、カノンを抱き締める。
カノンも背中に腕を回してきた。
G「…まさか、酒の勢いで…とかじゃねーよな」
K「ないない、だって1杯も飲み終えてない」
カノンがくすりと笑う。
G「明日になって、覚えてないとかやめろよ」
K「いや…忘れる方が無理…」
カノンの腕がきゅっと、締まる。
K「本当におしまい?」
G「うん…だって大事にしたいから…」
そう言ってカノンの首元に顔を埋める。
いつもは、ふんわりと感じていただけのカノンの匂いが、すごく近い。
やばい…。
幸せが、急にやって来てしまった。
sssss!!
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コメント
3件
かのごい!!るいかのもいいけどかのごいもいい!!!更新ありがとうございます🙇♀️
## 💬 美月ゆめか からの感想 ちょっと待ってなにこれめっちゃ良すぎるんだけど!!😭💕💕 ゴイチの「ずっとカノンはルイのもの」って思い込みが切なくて、でもキスしてからのカノンの反応がもう…!「もぉー無理恥ずかし」って顔覆うとこ、想像しただけできゅんが止まらん…!!しかも自分から「好き」って言ってからのギア上げ、最高すぎるよさちこ先生…! お酒でほろ酔いカノンに迫られて「大事にしたいから」って自制するとこ、ゴイチの誠実さが滲み出てて尊い。最後の「幸せが急にやって来た」で終わる余韻が良すぎてしばらく放心した〜〜〜〜💫 続き…というかこの後の二人をもっと読みたいです!🌸