テラーノベル
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吉田:…何から話す?笑
佐野:仁人、俺、、、
全部、思い出した。あの日、2人で2階に上がっている時、霊なんかじゃない物音が聞こえた。そして
吉田:勇斗、!逃げろ!!早く!!
仁人は、男に押し倒され跨られていた。髪の毛を捕まれ、首の近くに既に血がついている刃物を向けられている。その男はどう見ても異常で、服にも誰のか分からない血痕が飛び散っているのが見えた
佐野:仁人、嫌だっ、、
殺人犯:そこのお前も、早くこっちに来い。何もしないからさぁ
吉田:いいから、、頼む、、俺は大丈夫だから、、
どう見たって、大丈夫じゃない。俺が、俺が助けないと。あの時、約束したじゃん。仁人と、柔太朗の前で、絶対守るって…
佐野:嫌だ、、
殺人犯:早く来い!!
男が声を出す度に、仁人の首元に刃物が近付く。髪を握る力も強くなっているのか、仁人は苦しそうに歯を食いしばってる
吉田:来んなっ!!
殺人犯:お前は黙ってろ!!
男は仁人の頭を床に叩きつける。仁人は唸り声を上げた後、動かなくなった。頭から、血が流れていた
佐野:今、助けるから
声が震える。怖い、のか。いや、そんなこと思ってる場合じゃない。古い家屋の匂いとともに血の匂いが広がる。冷や汗が止まらない。どうしよう。どうすれば。話し合い、?いや、それだと
そんなことを考えている間に、仁人の白い首筋からも血が流れているのが見え始めた
やばい。こんなこと考えてる暇はない。ジリジリと俺は男と仁人に近寄る。なにも計画はない。けど、仁人さえ、助かれば
吉田:俺、お前のそういうところ大っ嫌い
佐野:…え
さっきまで動かなかった口元が微かに動き、俺が想像していなかった言葉が聞こえた。仁人はそのままの体制で、目だけ俺の方を見ている。何かを決意したかのような、でも、今までに見たことがないくらい、冷たい表情だった
吉田:笑い方も、表情も、見捨てれないところも、何もかも、全部大っ嫌い
無表情のままだが、声は震えている。だけど、目の奥では、何かを俺に訴えている気がした
佐野:仁人、何言って
吉田:…もう、顔なんて見たくもない、お前もそうだろ?こんなこと言うやつの顔なんて見たくねぇだろ!?…お前は邪魔なんだよ!さっさと、ここから消えろよ…
無我夢中で走った。どこを走ってるのかなんて分からなかった
なんで、俺は仁人を残して逃げたんだ。俺、何をしてんだ。なんで、俺、今、生きてるんだ…
逃げ場のない苦しみと、自分自身に対する嫌悪感と共に、仁人の悲しそうな目だけが、ずっとこびり付いて、離れない
佐野:はぁ、、はぁ、、もう、、嫌だ、なんなんだこれ、夢、、夢だよな、、
気が付いたら病院のベットで寝ていた。なんでここにいるのか、何をしていたのか、全て分からなかった。柔太朗が来て、何かを俺に問い詰めていたけど、それも意味が分からなかった。ただ、泣き続ける柔太朗の背中をさすることしか出来なかった
吉田:あのチャンネル続けてたらいつか来そうだと思ってたけど、まさか本当に来るなんてね
佐野:……
吉田:相変わらず霊と話すコーナーはやってんの?
佐野:……
吉田:ほんとに勇斗って霊見えるんだ笑ちょっと疑ってたからさ
佐野:…っ
吉田:…勇斗、久々にちゃんと会えたんだから、そんなに泣くな
もう涙で前が見えない。色々な感情が溢れ出すが、喉の奥が締め付けられて、上手く声が出ない
佐野:…ごめん本当に、、守るって、約束、したのに
吉田:あの時はしょうがないよ、俺の足が遅かっただけ
佐野:違うっ!!俺が、変われば、、良かったんだ、
吉田:…そういう運命だったんだよ、きっと
仁人は、フッと鼻で笑いながら答える。仁人は俺とは対照的でずっと穏やかだ
佐野:…ごめん、ずっと忘れてて…ごめん、
吉田:あぁ、やっぱ忘れてたんだ笑、先週会った時、どう見ても初対面だったもんね
佐野:俺 、、
吉田:あのさ
仁人の声が響く
吉田:俺からも、ごめん
佐野:…え、?
吉田:最後、あんな酷いこと言って
仁人を見ると、穏やかな表情から一変して、あの時と同じ悲しい目をしていた
吉田:あの時、勇斗だけは逃げて欲しくて。だって、2人とも殺されたら柔太朗が一人ぼっちになるでしょ。それは嫌で。でも、何言っても勇斗は動かないし、なんなら助けに来ようとしてたし
佐野:……
吉田:…だから、俺、思ってもないこと言って、勇斗を傷つけた。本当は大っ嫌いじゃないよ。ごめんな
佐野:仁人、、
吉田:あぁ、スッキリした!これで俺も無事成仏できる気がする笑、ずっと心残りでさ、よかったわ、まじで、
あぁ、そんなことで、仁人はずっと成仏できずにいたんだ。こんなに暗くて霊ばっかいる所に、一人、寂しく、1年間もいたんだ、
佐野:…俺が記憶を失ったのは、俺が、戦うのが怖くて、俺の弱さのせいで仁人を守れなかったっていう後ろめたさがあったから、だよ
ちゃんと、伝えたい。仁人が、後悔しないように。早く、こんなところから消えることが出来るように
佐野:だから、仁人が言った大っ嫌いとか、そういう言葉は全然傷付いてない。ちゃんと、俺を逃がすためだって、分かってる
吉田:…そっか
仁人から少し安心したような空気感を感じる
佐野:…俺を逃がしてくれてありがとう
吉田:ようやくごめん以外の言葉聞けたわ
ニコッと笑う仁人。俺から見ると本当に生きてそうだけど、痛々しい傷はそのまま残ってるから、霊なんだなって実感させられる
吉田:あ!そうだ。忘れるところだった、ちょいこっち来てくんね
佐野:え、分かった
そう言って案内されたのは、最後に俺が生きてる仁人を見た場所だった
吉田:えっとねぇ、、あっ、あった!!
佐野:…なにが?
吉田:俺さ、もう霊だから力弱くて、あの床に落ちてるネックレス取ってくんない?
佐野:あ、うん
俺は仁人が指さした方向にあったネックレスを拾い上げた
佐野:…これって
吉田:あ、覚えてる?抵抗してた時にぶんっってふっ飛んだんよね
埃被っているが、絶対そうだ。それは、仁人がよく付けていたネックレスだった
佐野:懐かしい…いつも仁人これ付けてたわ
吉田:…もう、この俺は付けれないからさ、勇斗が付けてよ
佐野:…え、いいの?
吉田:お守りだと思ってさ笑、俺、感覚だともうすぐ消える気がするし、だから、
佐野:そっか、うん。大事に付ける
吉田:ありがとよ。これ付けてれば、俺の事、もう忘れないよな笑
仁人は照れ笑いをしていて、生前とその仕草は変わらない。なのに、霊が見える俺ですらも、仁人の姿が薄く、見えずらくなってる。本当に、もうすぐ、
佐野:仁人のこと、触れないもんな
吉田:そうだね、貫通するだけだと思う
佐野:…それでもいいから、最後にハグさせて
吉田:…いいよ
おそるおそる、もう消えてしまいそうな仁人を抱きしめる
佐野:え、
吉田:…こんなこと無かったんだけどな
佐野:今、触れてる、?
吉田:うん。なんか、懐かしいな。この抱きしめられてる感覚。勇斗ってやっぱ温かいな
仁人の匂いがする。声の振動を感じる。本当に、懐かしい感覚。この感覚を思い出させるなんて、神様も残酷だ。いなくなった後、より悲しくなるじゃん。なのに、これが仁人を感じることができる最後の時間だと思うと…俺は仁人の首に顔をうずめる
吉田:勇斗、くすぐったいよ笑
佐野:……俺、まじでずっと好きだから
吉田:…うん。知ってる
佐野:俺が死んだら、迎えに来てね
吉田:そういうシステムだったら行くわ笑
佐野:…柔太朗になんか一言ある?笑
吉田:えぇ、、編集の時姿勢悪いから直せって言っといて
佐野:まさかのそこ?
吉田:冗談だよ。勇斗のこと頼むわって伝えて
佐野:過保護だなぁ
吉田:そうか?
思わず顔を見合せて笑い合う。あぁ、この時間が一生続けばいいのに、なんて願いが叶う事はなく、少しずつ触れている感覚も段々消えてきていた
吉田:…もう、さよならの時間だな
仁人も悟っているようで、ポツリと呟く
佐野:…そうだな
それしか、返す言葉は無かった
吉田:…最後だから、言ってやるか
佐野:え、なに、?
吉田:ちゃんと、聞けよ
佐野:うん、分かった
俺は全神経を集中させた。仁人を全身で感じることができるように
すると、僅かに、ギュッと抱きしめられる感覚がした
そして息を吸う音が耳元で聞こえる
吉田:俺も
「ずっと好きだ」
その言葉と共に仁人の姿は消えていた
佐野:なんだよそれ
辺りを見渡すと、月明かりに照らされて舞う埃も、乱雑に置かれた家具も、霊も、今まで通り見える
なのに、今までそこにいたはずの、仁人の姿だけは、もう何も、見えなかった
佐野:ほんっとに、、あいつ、ツンデレ、なんだ、っ、、から、、、
俺は手元に残ったネックレスを握りしめながら、泣き続けた
佐野:やっほー!今日はこちらのトンネルに来ています!やばいねぇ怖いねぇ
塩﨑:そんな、ビビらせんといて!!
曽野:あ!だから、だいちゃん画角からはみ出すぎ!!!
あの日、帰ってから柔太朗に仁人と会ったことを話した。そして2人で号泣した。柔太朗は仁人のことを黙っててごめんと謝ってきたけど、それはそれで正しい考えだと思うし、俺も忘れててごめんって感じで、平和に終わった
そして、
曽野:そのネックレス、似合ってるね
塩﨑:あ!俺もそれ思った!勇斗にしては珍しい色だけど
佐野:…だろ?
もう、忘れないからな
END
最後まで読んで頂きありがとうございました!
それでは!
コメント
6件
こんな神作に出会えて幸せ🥰
泣きましたまじでほんとに

陰ながら全部読んでいたものです…! 冗談抜きで号泣しました… 本当に素敵な話をありがとうございました😭😭