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鷹槻れん

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夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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情報を得た組員に詳しい話を聞いていく昴。
そもそもの始まりは、想汰が背負った借金だった。
様々な金融会社から金を借りては返済するという暮らしを送り、最終的に返済出来なくなった想汰は取り立てから逃げる為に姿をくらました。
けれど、想汰の元へ取り立てに来た男はそう簡単に逃げ切れる相手では無かった。
その男は人の弱みを握り意のままに操ることを何より好む人間で、顔だけは人並み以上に整っていた想汰は女を誘い出す役には最適だと思っていた。
そして、軽い興味本位で身辺を調べさせた結果、送られてきた写真を見た瞬間、男の目の色が変わった。
「……これはいい」
想汰の妹の羽衣子は男の好みで、その瞬間から男の中でどうにかして彼女を手に入れたいと思っていた。
その思いから想汰を捜し出し、見つかった想汰は地面に額を擦りつける勢いで懇願した。
「頼む……! 命だけは助けてくれ!」
その様子を見下ろしていた男は愉快そうに口角を上げて命じたのだ。
「命が惜しけりゃ妹と接触しろ」
その命令に想汰は逆らうことも出来ず、どうにか接触する為に手紙を送り、長く途絶えていた兄妹は再会を果たした。
そして、想汰に命令をしていた男こそ高遠だったのだ。
全てを聞き終えた瞬間部屋の空気が凍りつき、昴の拳は強く握り締められていた。
「……ふざけやがって」
低く押し殺した声には隠しきれない怒気が滲んでいて、その表情はこれまで見たことがないくらいに険しかった。
「羽衣子が、高遠の好みの女…………最悪だ」
高遠が過去に女を傍に置いていたこともあったが、すぐに飽きる性格から用済みになれば金の為に売られていくという噂を耳にしたことがある。
「アイツにとって所詮、男も女も自分の欲を満たす為だけの道具に過ぎない……そんな奴の標的に羽衣子が……」
その瞬間、居ても立ってもいられなくなった昴は立ち上がると、急いで事務所を出て行った。
その頃、羽衣子は幼稚園から帰宅した希海と自宅の庭でボール遊びをしていた。
勿論、組員が常に側に控えている。
「ういちゃーん、いくよー!」
希海が元気良くボールを蹴り上げたその時、
「吾妻さん、希海くん、そろそろ中へ入って下さい」
どこか慌てた様子の皐月が二人に声を掛ける。
「えー、やだ! まだあそぶ!」
希海が駄々をこねるのも仕方がない。
二人が外で遊び始めてからまだ十分程しか経っていないのだから。
「何か、あったんですか?」
直感でそう感じた羽衣子が皐月に問い掛けるも、
「いえ、その、何かあった訳では無いんですけど、何かあってはいけないので……」
どこか言葉を濁すだけ。
それでも、理由があってのことだと理解している羽衣子は不貞腐れている希海に向き直ると、
「希海くん、お外で遊ぶのはまた後でにして、私とお菓子作りしない? この前絵本で読んだみたいに、お菓子パーティーしよう! ね?」
希海がボール遊びよりも興味を持ちそうなことを引き合いに出して説得にあたる。
すると、
「おかしパーティーする!!」
すっかり機嫌が戻った希海はボールを片付けると、羽衣子と共に家の中へ入って行った。
それから皐月も混じえて三人でお菓子作りを始めていると、玄関のドアが開く音が聞こえるや否やすぐに廊下を駆けて来る音が聞こえて来て、
「羽衣子!」
その声と共に勢い良くリビングのドアが開いたことで、希海と羽衣子は酷く驚いた様子でその場に立ち止まる。
「昴……さん?」
「パパ?」
普段ならまだ帰宅する時間では無いこともあって、突然の帰宅に驚く二人。
「皐月、希海を頼む。羽衣子、ちょっと来てくれ、話がある」
そして、皐月に希海を任せた昴は羽衣子の手を引くと、そのままリビングを出て二階へ上がり、
「お前の部屋で構わないか?」
「あ、はい……どうぞ」
寝室は希海が来るかもしれないこと、書斎では狭くて落ち着いて話が出来ないことを考慮し、羽衣子の部屋で話をすることになった。
「……あの、昴さん、何かあったんでしょうか?」
部屋に入り、昴はドレッサーの椅子に座り羽衣子はベッドの上に腰掛ける。
ただならぬ様子に恐る恐る羽衣子が問い掛けると、昴は拳を握り締めたまま、先程事務所で知った話を羽衣子にも共有した。
コメント
1件
おお……ここで一気に高遠の思惑が明かされましたね。想汰が妹のために動いていたというのも胸が痛むし、何より高遠が羽衣子を「好みの女」として狙っていると知った昴の怒りが拳の描写からひしひしと伝わってきました。家に帰ってからの皐月の慌てた様子や、希海を喜ばせるために優しくお菓子パーティーを持ち出す羽衣子の健気さが対照的で、余計にこの先が気になります。昴がどこまで羽衣子に話すのか、そして羽衣子がどう受け止めるのか……次が待ち遠しいです!