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第1話:「再会」
えりと斗真は、昔から何かと張り合う犬猿の仲だった。小学校の頃から、ことあるごとに口喧嘩を繰り広げてきた二人だったが、最近は同じクラスにならず、自然と顔を合わせる機会も減っていた。そんなある日、放課後の静かな図書室で、えりは本を探している最中に、偶然斗真と出くわしてしまう。
「お前が図書室にいるなんて珍しいな、えり。」
斗真は本棚の陰から顔を出し、皮肉めいた口調で笑った。
「何よ、その言い方。あんたに言われたくないわよ。どうせ漫画コーナーでも探してたんでしょ?」
えりも負けじと返す。
斗真は本を一冊持ち上げて見せる。「残念でした。俺、ちゃんと読書するタイプなんだよ。これ、数学の参考書。」
「へえ、意外ね。でもどうせ、成績上げるためじゃなくて、ただの見栄でしょ?」
えりの鋭い一言に、斗真は一瞬言葉に詰まる。しかしすぐに表情を取り繕い、にやりと笑った。
「見栄だっていいだろ。どうせお前、勉強なんてしないんだろ?」
二人のやりとりを聞いていた隣の席の友達、あかりが声をあげる。「二人とも、いい加減仲良くすれば?ほんと、毎回こんなんで疲れない?」
「疲れるのは私のほうでしょ!」
「いやいや、俺の方がえりに迷惑かけられてるんだって!」
二人は同時に反論し、また口論が始まりそうだった。
しかし、その時、図書室の司書である大城先生が厳しい声で注意をした。「静かにしなさい。ここは勉強する場所です。」
二人は仕方なく黙ったものの、睨み合いは止まらない。
結局、えりが先に席を立った。「あんたみたいなやつと一緒にいると、頭悪くなりそう。」
斗真も負けじと返す。「お互い様だろ」
「あーえり?ちょっと待ってよぉお」
あかりがえりを追いかけてく。
この再会が物語の幕を開けたのだった