コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第2話:「家族ぐるみの迷惑」
えりと斗真の犬猿の仲は、学校だけでなく日常生活にも広がりつつあった。ある日、えりがリビングでくつろいでいると、姉の紗希が帰ってきた。紗希は、明るくて誰にでも優しい性格で、えりとは正反対。
「えり、今日は斗真くんのお兄さんと一緒に夕飯食べるから。」
「は?何それ?」えりは顔をしかめる。「なんであの男の兄なんかがここに来るのよ。」
「斗真くんのお兄さん、悠真と私、付き合ってるのよ。前に言ったじゃない。」
「聞いたけど!!家に上がらせていいとは言ってない!!」
えりがぶつぶつ文句を言っている間に、悠真が家に到着した。ドアを開けて入ってきた彼は、斗真とは違い、落ち着いた雰囲気の爽やかな青年だった。
…私、このタイプ超苦手。なんかこう、落ち着いてるのは…ね?…
「こんばんは、紗希。お邪魔します。」
「悠真、いらっしゃい!」紗希は嬉しそうに迎え入れる。
その後ろから、なぜか斗真までついてきた。
「何であんたまで来るのよ!」えりは立ち上がって斗真を睨みつける。
「兄貴が夕飯食べに行くなら、俺もついでについてきたんだよ。親からの命令文句ある?」斗真も負けじと挑発するような目を向ける。
「ねえねえ、二人とも、そんなにケンカしないでよ。」悠真が困ったように笑いながら間に入る。
紗希も、苦笑いを浮かべながらえりに言った。「あんたたち、ほんとに仲悪いわね。私たちが付き合ってるんだから、少しは仲良くしなさいよ。」
「無理!」
「絶対無理!」
二人は声を揃えて即答した。
夕飯の間、えりと斗真はお互いに目を合わせるたびに舌打ちをしたり、小声で皮肉を言い合ったりしていたが、紗希と悠真の仲睦まじい様子を見て、少しずつ空気が変わり始めた。
「悠真さんって、どうしてこんな弟を放置してるんですか?」えりが聞くと、悠真は苦笑いを浮かべながら答えた。
「斗真はああ見えて、家では結構いい弟だよ。お前も弟がいたらわかるかもな。」
「絶対いらない。」
斗真もすかさず反撃する。「そっちこそ、姉貴が紗希さんじゃなかったら、お前もっとひどい妹だろ。」
えりはムッとしたが、紗希が間に入った。「もう、いい加減にしなさいよ。せっかく家族ぐるみで仲良くなれるチャンスなんだから。」
その言葉に、二人はしぶしぶ黙ったが、心の中ではまだお互いに不満が募っていた。
なんで、家族ぐるみとかなるのよ。あの日、図書室で再会したときからついてない。
「コンビニ行ってくる」
斗真がいることに我慢ならなくなった私はコンビニまで走り出した。