🍄「記憶喪失…?」
maitake side
医者は俺にそれだけ伝えて、仕事があるからと戻ってしまった。俺はまだ何1つ状況を呑み込めていないのに。
ポケが、俺の事を、忘れる?…なんで?
信じられなくて、信じたくなくて、ポケが居るという病室のまえで立ち止まることしかできなかった。
👤「あのー、どうしましたか?」
🍄「あ、いや、なんでもないです!」
ガチャ
看護師さんに言われてやっと部屋には入ったものの、ポケの顔が見れない。誰かが振り向くような音がする。
🐷「…誰ですか?」
🍄「っ……。」
こうなる事なんて分かっていたのに、いざとなると、…辛いな笑
🍄「お、俺、お前の…、お前の…。」
“恋人”だったなんて、どう言えばいいんだよ。そもそも、俺、男なのに。お前を困らせてしまうくらいなら、俺は。
🍄「……お前の友達だよ、めちゃくちゃ仲良かったんだぞ、それなのに忘れるなんて酷いなぁ笑」
🐷「ご、ごめんなさい、俺のせいで、」
🍄「いや、謝るなって。しょうがないんだし。謝りがちなところは変わってねーな笑」
…はぁ、辛ぇ。少しでも気を緩めたら、泣き出しそう。ポケは悪くない。悪くないんだ。悪いのは事故を起こしたトラックの運転手。一命は取り留めたからまだ良かったものの。お金は払うって言ってたけど、そうじゃない。お金なんてあっても、俺とポケの思い出を返してくれる訳じゃない。
” …本当にそう思ってる?なんで俺を忘れてんだよ、俺だけでも覚えとけよ、って思ってんじゃないの? “
黒い何かが、俺に、問いかけてくる。こんなの、ポケに見せる訳には行かない。……隠し通さなきゃ。
数週間が経って、ようやく記憶をなくしたポケとも仲良くなれた。
🐷「お前何してんだよー笑」
🍄「あ?うぉ、!?なんだコイツ!」
🐷「あははww、アーイwww」
笑ってるポケを見ると、あぁ、好きだなあ。って実感する。
でも、好きなのは、俺だけ。
前みたいに、俺が好きって言っても、今は返してくれないんだ。
何年か経ったある日。
🐷「ごめんなぁ、まいたけ。俺、昔の記憶が全く思い出せないんだ…。」
🍄「いいよ、別に。そんなに頑張らなくても。」
🐷「いや、俺が思い出したいの。まいたけと居るの楽しいし、もっと思い出増やしたい。まぁ、お前からしたら、増えてるのは今なんだろうけどさ。笑」
そうだよ、大丈夫。ポケなら、思い出してくれる。また、好きって言ってくれる。やさしく、強く抱き締めてくれる。
” 本当に?こんなに時間がたったのに、何も思い出せてないんだろ?所詮ポケからしたら、お前との思い出なんてそんなもんなんだよ。 “
やめろ、やめろよ、やめてくれよ…。まだポケを信じたいよ、俺。
” 辞めろ?これはお前自身の感情だろ?目を背けるなよ “
違う、違う、違う違う違う違う違う!!!俺は、ただ、ポケとまた、また……。
🐷「まいたけ?」
🍄「あ、あぁ、ごめん、最近寝不足でさ、寝てたぽいわ笑」
🐷「そうなの?いいよ、寝れる時寝とき?」
🍄「ありがと、最近動悸で起きることあるから寝れてなくて笑」
🐷「え?ヤバくない?それ。今は大丈夫?いいよ、俺が居るから安心して寝な」
🍄「うん、ありがと…」
” 誰のせいだよ “
だから、辞めろって、お願いだよ。ポケは悪くない、俺が悪いんだよ、前、俺が大切に出来てなかったから…。恥ずかしいからってすぐ逃げて、向き合わなかったから。バチが当たってるんだよ、今。
こんな事なら、もっと好きだって、愛してるって、伝えておけばよかったなぁ笑
なんか今日は朝から体が重いな、ゲームばっかしてたからか?…気分転換に散歩でもするか。
朝ご飯を適当に食べて、着替えて、出かける。特に目的は無いけれど、今の俺にはそれくらいが丁度いいのかもしれない。
🍄「お、ここ…。まだある…な、」
最近来れてなかったけど、昔は毎日来てたなぁ。このベンチに腰かけて、昼寝したりしたな。
それと、ポケが悩んでたから、ここで朝まで話聞いてやったっけ。肩組んで、酒飲んで。
🍄「はぁ、懐かしー。」
思い出のベンチにそっと座ってみる。ポケ、ここのことも忘れちゃったのかな。
” そのうちまたお前のことも忘れる “
ポケが…?違う、またお前かよ、そんなはずない、黙れ!
” 人間は都合が悪い事はすぐ忘れるし、簡単に裏切んだよ “
ポケは思い出そうと頑張ってくれてる、違う。そんなやつじゃない。
” お前の事が好きなんて、全部虚言だったんだ “
違う、ポケの言葉に嘘なんかない、ポケの事知りもしないのに、勝手なこと言うな…!
” …勝手?前も言っただろ。これはお前の感情だって。全部お前の意思なんだよ “
違う、そんな、ポケ、俺、ちが…。
今まで積上げたものが全て跡形もなく崩れていく気がして、俺は頭を抱えて泣くことしか出来なかった。ポケを信じることを忘れていたのは、ポケを忘れてたのは、俺、?
🍄「あ、あぁぁ、違う!!ちが、ポケ、ごめ、ごめん、違う、違う違う、」
手は震えて鼓動は早くなるし、呼吸が上手く出来なくなる。俺は謝って泣くことしか出来ない。どうすればいいの、俺、分かんないよ。
すると、何処からかふいに身体を何かに温かく包まれた。え、これ、ポケの腕…?
🐷「ごめん」
🍄「え…?」
🐷「まいたけ、思い出したよ、今」
🍄「なんで、いやそんな、はずは…」
🐷「昔、ここで話聞いてくれたよね?朝までずっと。」
🍄「え、えあ、」
🐷「それと、付き合ってたよね。俺とまいたけ。」
🍄「え、?ほんとに…?うっ、うぁ…うぁぁ(泣)」
🐷「ごめんね、遅くなって」
🐷「それと、心配させてごめん。忘れててごめん。辛い思いさせてごめん。考えさせてごめん。…でも一番は、ずっと俺の事思っててくれてありがとう。」
🐷「良かったら、また俺とやり直して下さい。」
🍄「は、はい…(泣)」
自分自身の黒い感情から、暗い闇から、引きずり出してくれたのはお前だった。
コメント
2件
尊い、、 まいポケの絡みすごく好き!
ゑ?いいね400超えたんだけど、え?本当にありがとうございます、こんな駄作に、命日ですありがとうございます