テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する



あの夏が飽和する〜キミは泣いていた〜


______


「昨日人を殺したんだ 。」


とある梅雨の日


ずぶ濡れの涼太は、部屋の前で涙を流している 。


夏はこれからだと言うのに

君は震えていた 。


そんな話で始まる あの夏の日の記憶だ



「殺したのは隣の席のいつも虐めてくる彼奴 。」


もう嫌になって

階段から突き飛ばして


「打ち所が悪かっただけなんだ 。」


「もう此処翔太の近くにはいられないと思うし、

どこか遠いところで死んでくるね 、(笑」


自嘲する君に僕は言った 。


「じゃ、俺も連れてってよ 。」



財布を持って  「これが全財産かも 、」

ナイフを持って 「俺らだったら勝てるよ 。」

携帯ゲームも鞄に詰めて 「前やったやつ 、」


いらないものは全部

壊していこう


ずっと飾ってた写真も

残しておいたあの日記も


「いらないの…?」

「今となったらもういらない 。」

「これからずっと一緒にいるでしょ 」

「書ききれないくらいの思い出作りだ 。」


人殺しとダメ人間の 君と僕の 旅 逃亡生活だ___



そして俺らは逃げ出した


この狭くて醜いこの世界から


「翔太、ご飯だよ~ 」「バスケしようぜ ?」

家族も        クラスの奴らも


何もかも全部捨てて君と二人で

「…ありがとう 、」  「運命共同体だろ 、」


「遠くて俺らしかいない場所で2人で死のう 。」


もうこの世界に’かち’などないよ

人殺しなんてそこら中湧いてるんだから


「涼太は悪くない 、」「絶対悪くない 、」





結局僕らは本当に愛されたことなんてなかったんだ

そんな嫌な共通点で僕らは信じ合って生きてきた


「行くぞ 。」


そう君の手を握った時

微かな震えもなくなっていて

誰にも縛られないまま二人線路の上を歩いた 。


とても静かだった 。

金を盗んで 「足りなかったね 、」

2人で逃げて 「後もう少しで …」

どこにでも行ける気がしたんだ


今更怖いもの死ぬ恐怖は僕らには無かったんだ


額の汗も

落ちたメガネも

「今っとなっちゃ…もうどうでもいいさ 、(笑」


あぶれ者の小さな逃避行の旅だ___


いつか夢見た優しくて

誰にでも好かれる主人公なら

汚くなった僕たちも見捨てずに

「救ってくれるのかな 、」

「そんな夢なんて捨てた」「だって現実を見てよ 、」

「シアワセ の4文字なんて無かったじゃんか」

「今までの人生振り返ったら分かるだろ」

「『自分は何も悪くねえ』って誰もが思ってるんだ 。」



あてもなく彷徨う蝉の群れに

水も無くなり揺れ出す視界に

怒り狂う鬼の怒号に

馬鹿みたいにはしゃぎあい

ふとした時に君の手にはナイフがあって


「翔太がいたからここまでこれたんだ」

「だからもういいよ」「もういいよ」


「死ぬのは俺1人で足りるよ」


そして君は—–

まるで映画のワンシーンだ

白昼夢を見ているような気がしたんだ 。

気付けば僕は捕まって

君がどこにも見つからなくって

君だけがどこにもいなくなって



そして時は過ぎていった 。

ただ暑い暑い日が過ぎてった


「翔太 。」「…じゃあな 。」

家族も   クラスの奴らも

いるのに


何故か君だけが何処にも居ない

あの夏の日を思い出す

「全てが夢じゃないのか」って

僕は今も今までも歌っている

どんな夢であっても

君をずっと探している

君に言いたいことがあるんだ


九月の終わりにくしゃみをして

六月の匂いを繰り返す

君の笑顔は

君の無邪気さは

頭の中を飽和している






誰も何も悪くないよ

君は何も悪くはないから


もういいよ   投げ出してしまおう

そう言ってほしかったんだろう?


「なあ…?」


______



この作品はいかがでしたか?

207

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚