…チリン…。
ドアの閉まる音と同時に鳴り響く鈴の音。
大量で大きな本棚。真ん中の机と2つの椅子。
貴方はきっと、見覚えのある場所で、こう考えるだろう。
「また、此処に来たのか」と。
今回は既に席にしゅーにが座っていて、何やら資料と葛藤しているようだった。
『うーん……この物語は…』
近くまで来ても気づかない。
しゅーにの後ろまで回って、肩に手を置くと
『うわぁぁぁッ!? …あ!!前に会った視聴者さん!?!?しッ…資料を見ちゃったッ!?!?』
と、驚いた様子で資料を隠した。
なんだか申し訳ないながらも、反対の席へと座るだろう。
『ふぅ…資料見られてなくて良かったぁ……これは大事なやつだからね…。』
何の資料なのか知らないが、とても重要そうである。
『…ん?資料が気になる?えーとね、あ、これとか見てもいいよ?』
資料を一枚、自分に向けて渡して来る。
その資料の一番上に大きく、
⦅しゅーにの小説一覧⦆
と書いてある。
その下に、
・歪な思いの形 〔近々完結予定〕
・高校生活、全て捨てて悪役になろうと思います! 〔完結予定不明〕
………追加予定
・死神と契約を △
・俺らの生存戦略逃避行 ◎
・<=僕らの間違い探し=> △
ーーー例外
・雑談部屋 〔永遠〕〈投稿はしゅーに、に任せる。〉
と、書いてある。
「これ、追加予定って書いてあるけど、見ていいのか…?」と、貴方は感じるだろう。
『えっーとね、歪な思いの形って、今分岐ルートの所までいってるでしょ?だからもうそろそろ完結かなーーって事で、新しい案を考えてるんだよね、それが、真ん中の三つ。』
これね、と、指を指す。
『真ん中のやつはら運営で、多分投稿すると思うんだよね〜』
『で、上と、下の二つは日常組の物語にしようと思ってるんだけど、多分どっちかになるかなぁ……。』
『……んー……歪な思いの形………あと3話…4話ぐらいだなぁ……』
『んふふ……次のbadendはどーしよっかなぁ〜』
彼女はニコニコと笑いながら大事な資料を眺める。
会話もやばいが、とっても気味の悪い笑顔だ。
『…あれ、?君は嫌い?badend。まぁ、無理もないかぁ…私も分かるよ?badendって、めちゃくちゃ悲しいやつもあるし、なんかモヤモヤして終わるのもあってさ…なんかなー…って感じで…』
少し苦笑いをして、そう話す。
少しの間、沈黙が流れ、また話し始める。
『……悲しいのが好きって訳じゃ無いし、happyendがめっちゃ大好きだけどさ……んー……なんて言ったら良いんだろ…?』
『物語の全てがhappyendで終わったらさ、夢が見れないじゃん?だって、
「漫画とか、アニメとかで起きる幸運な事が起きるわけが無い。」って感じちゃうからさぁ…。人生って、happyendだけじゃ無いからね〜!』
暗い話とか対称に、明るく笑う彼女。
少しハッとした表情をし、貴方に小さくつぶやいた。
『物語の考察をしたい人には、さっきの言葉、覚えてたほうが良いんじゃ無いかな〜!』
呟いた後に、また、笑う。
『おっと……今日は資料があんま片付いて無いから、もうお帰り頂いても良いかなぁ…?』
ごめんね…?と申し訳なさそうに手を合わせる。
『じゃあね!次は何かおもてなしするから!!』
手をぶんぶん振るしゅーにを背に、貴方はドアを開け。
見覚えのある眩い光に包まれた。
…そうだ、彼処で起きた事は実体験なのか、聞くのを忘れていた。
…まぁ、次、また会えるだろう。
確証は無いが、きっと、次は。
その謎は、また次にお預けになってしまった。
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