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183 - 第二章、73話 タマのおやつ

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2024年05月30日

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俺・シロ・ヤカン・タマの4人はいまダンジョン・カンゾーの8階層にきていた。


(めんどくさいのでシロもヤカンも一人とカウントしてます)


女神さまにお祈りしたところタマに魔法スキルが生えてきたのだ。


そこで魔法を授かって喜んでいるタマを連れ、試し撃ちをしながらダンジョン内を移動してるというわけ。


なぜ8階層なのかというと、


ホーンラビットコロシアムがあるからね。 通称【うさコロ】だ。


こちらのモンスター・ハウスは出てくるモンスターはホーンラビットの一種だし、数も50匹と定数だから魔法の試し撃ちにはピッタシな環境なのだ。


タマに装備を付けさせて【うさコロ】に突入していく。


タマの装備はミスリル製の鎖帷子の上に黒装束といった出で立ち。


頭から被っている頭巾も黒塗りの鎖帷子なんだけども、猫耳つきであるためか、どことなくほんわかしている。


まあ、影たちにまじってもタマだとすぐわかるからいいんだけどね。


まずエアハンマーを試し、ホーンラビットがリポップするのをまって、こんどはデビルカッターの威力や使い出を確認していく。


魔力操作がしっかりと行えているようで魔法の発動もスムーズだな。


「ご主人様ありがとニャ。これで更に上をめざせるニャ。あいつらも徹底的に鍛えてやるニャン!」


「感謝するなら女神さまにだな。フウガたちを鍛えるのはいいけど仕事に差し支えないよう、ほどほどにしてやれよ」


タマによるブートキャンプはめちゃくちゃ厳しそうだからな。


――フウガたちは生き残ることができるか。


魔法の試し撃ちを終え、タマを鑑定してみると風魔法のレベルが3まで上がっていた。


うん良い感じだ。魔法はやっぱり魔力操作が肝なんだよね


お次は結界魔法だけれど、こちらは影の者にはうってつけの魔法だな。


猫耳や尻尾を隠すのにも使えてとても便利。


普段から常時発動させて慣れさせないとね。






ダンジョンから出てきた俺たちはその足でイヲンモールへ向かっていた。


タマの格好も黒装束から普段着へもどしている。


ストレートのブルージーンズに白黒ボーダーの長袖カットソー。


それに猫耳つきの黒いニット帽を頭に被せている。


いつもはメイド服か黒装束かの二択になるので、こういった装いのタマは新鮮でとても可愛い。


日本に来たばかりのタマはこちらの服はまだもってない。


いまは体型が一番近いマリアベルから服を借りている状態だ。


まったく、ダンジョンばかり入ってないで服を買いに行ってこいと言いたい。


まぁ今から服を買いにまわってもいいけど、今日はあまり時間がないからね。


では、何しにイヲンまで来たのかというと、


いつも頑張ってくれているタマに ”おやつ” を買ってあげたかったのだ。


「さあイヲンに着いたぞー。タマはおやつをいっぱい買え。気に入ったものがあったらこの緑のカゴに入れていくんだ……、ってどこいった?」


「これがいいニャ!」


そう言ってタマがもってきたのはお子様用のアンパンマン・カート。


見えないからって、シロがドヤ顔で前に座っている。


「ああ、そっちは子供連れの人が使うカートなんだ。俺たちはこっちを使うからな」


「そうだったのニャ、返してくるニャン」


アンパンマン・カートを戻させたあと、俺は緑のカゴを買い物カートにセットし、それをタマに引き渡した。


タマは物珍しそうに周りをキョロキョロしながら、カートを押して店内をまわっていく。


シロとヤカンもタマについていくようだ。


光学迷彩は掛けているけど、人にぶつからないように注意するんだぞぉ。






家飲み用のビールとつまみをカゴに入れ、俺がレジの付近でまっていると、


いまだにキョロキョロしながらあれこれ手にとっているタマが遠目にうつる。


すごいよなぁ。


あんなによそ見しているのに、よく人とぶつからないものだ。


ん……、そうか、認識阻害の結界か。シロが教えたんだな。


………………


ようやくタマが戻ってきた。


カゴを見ると沢山のおやつが入っている。


乾燥煮干しにスナック菓子のお〇とっと、懐かしのオレンジ色のさかな形おかきにアーモンド魚。


ビール飲むときに少しわけてもらおうかな。


あとは何が入ってるんだぁ。


3つセットのツナ缶に魚肉ソーセージ、たい焼きアイスが入っているのがかわいい。


おっ、なんだぁ!?


これって【チュール】じゃん!


おもわずチュールを手にとってしまった。


「タ、タマ、これはな……」


「大丈夫ニャ! みんな買ってたニャ! パッケージに白猫が載ってるニャン」


いや、まあ、そうなんだけど……。 食べて大丈夫なのかぁ?


それからカゴの中をよく見ると、


下の方に【徳用油あげ】や【BIG犬ガム】が見えている。


これはまぁ、見なかったことにしてあげよう。


俺たちはレジを済ませるとイヲンをでた。


川べりの道を神社へ向かって帰っていると、シロが尻尾を振って何かに反応している。


この先には俺たちがいつも行っているスーパーがあるのだが。






道路わきから駐車場ごしにスーパーの方を見やると、紗月 (さつき) と茉莉香 (まりか) が大きな買い物袋を下げてこちらに向かってきていた。


学校帰りに寄ったのだろうか、二人は制服のままである。


「よう、ふたり共お帰り~。荷物なら持つぞ」


「タマも持ちますニャン」


茉莉香が持っていた重たそうなエコバッグを俺が奪うように受けとると、タマも紗月から袋を一つ受けとっていた。


「おかありゲん様。タマさんちょりーっす! こっちからだとイヲンに行ってた?」


茉莉香はシロとヤカンの頭を撫でると、スクールバッグから棒付きキャンディーを出して渡している。


「おう。みんなでおやつを買いにな」


「「ああ――っ、いいなぁー」」


「じゃあこんどタマの服を買いにいくから付きあってくれ! モフバーガーでどうだ?」


「いくいく――!」


「わたしも行きます!」


「じゃ、決まりということで」


すると紗月が、


「タマさんの短剣術はかなりの腕だってメアリーから聞いてますよ」


「おう凄いぞ。魔法も使えるようになったし、今度一緒に潜ってみるか?」


「はい、是非に!」


「タマはどうだ?」


「タマの戦い方を見たいなにゃんて、紗月はなかなか見どころあるニャー」


「じゃあ、タマも今日から部活に参戦な!」


「はいニャ!」


無論フウガたちもである。


そしてみんなで神社へと戻り、手早く夕飯の準備に取りかかる。


今日は金曜日だからカレーだな。


トッピングにするとんかつや白身魚フライをつくるため、下ごしらえの終わった具材を次々と油で揚げていく。


揚げた物はしっかり油をきってすぐに俺のインベントリーへ収納。


これで、いつでも揚げたてサクサクなのだ。


カレーは大型の寸胴鍋に準備して、煮込んでいる間は俺が見ていることになった。


「師匠、いただきます!」


「いや、そこは『ただいま』だろうが。ほれ牛丼だ! 向こういって準備してこい」


「あざっす!」


健太郎 (けんたろう) が顔を出したところで、装備を身に付けたみんなはダンジョンへと潜っていく。


みんな頑張ってくるんだぞー。






そうしてカレーを見ながらヤカンとダベっていると、珍しいことに茂 (しげる) さんが台所へ顔をだした。


「どうかされましたか?」


「うん、今日の昼過ぎに自衛隊の方から連絡があってね、来週の月曜日に此方に見えるそうなんだけど、都合は大丈夫だったかい?」


「はい、月曜日なら問題ありません。予定に入れておきますね」


いよいよ来ましたか。


この前の健太郎の件も含めて、いろいろと突っ込まれそうだよな。


どこまで話していいものやら?


そのへんは相手の様子を見ながら判断していきましょうかね。


他のダンジョンの話もするべきだろうか?


東京へは、近々もう一度行ってみるつもりではあるけど。


東京ダンジョン (仮) が制御できないということになれば、地震の他にスタンピードにも警戒が必要になるだろう。


モンスターに対して銃やライフルが有効でない以上、主力兵器はより強力な重機関銃やグレネードランチャーといったものになる。


車両もよくて装甲車までだろう。


戦車や16式機動戦闘車の使用は市街戦では控えたい。


航空機による空爆やミサイル兵器の使用も同様だな。


まあ、それも政府の判断次第になるだろうが。


どうしようもなくなれば使う可能性もあるけど、東京の町が滅茶苦茶になってしまうだろう。


そうなれば復興に莫大な費用が掛かってしまう。


やはり白兵戦メインで、モンスターをダンジョンへ押し返すような戦い方が良いように思うのだ。


どのみち東京ダンジョン (仮) の様子を見てからになるが、


こちらもすぐに動けるよう、準備だけは進めておくことにしよう。


残り二つのダンジョンが覚醒するまでおよそ一ヶ月。


この先でどう転ぶかなんて誰もわからないのだから。

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