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⚠︎ One cushion
創作 / mtp / 誤字脱字
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・Ohmori Motoki : lk(18)
・Wakai Hiloto : lk(18) , boyfriend
★ Ohmori Motoki side
「 綺麗…。 」
この景色を見てそう呟いたのは、実に1年ぶりだった。
1年前、僕と親友の若井は某県の海に来ていた。
『 綺麗だねー。 』
「 そうだね。 」
そんな会話もしたっけな。
でも、もうそんな会話もできなければ、貴方の姿も見れないのね。
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『 うわああっ! 』
海を目の前にしてはしゃぐ若井。
それがどこか、とてつもなく可愛かった。
「 子供みたいだね… 笑 」
『 うるさいっ! 』
「 ……写真、撮らなくてもいいの? 」
すごく疑問だった。
いつもなら、写真を撮るはずだった彼が、撮らないから。
素敵な景色は写真に収めるタイプなのに。
『 死ぬまで、この景色を忘れない。 』
そう言ってその場を離れた彼は、数日後、都内自宅で息を引き取った。
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信じたくなかった。
大好きな彼が死ぬだなんて。 もう会えないだなんて。
まだ、まだ「好き」の2文字も伝えてないのに。
「 わかいッッ…、わかいッ!泣 」
死亡のお知らせを聞いた日は1日中泣いた。
数日前まで、元気にしていた彼が突然、もう会えぬ距離まで離れちゃったんだもん。
中学生の頃から共に過ごしてきた彼が、突然消えて。
若井の隣は僕の特等席だった。
でも、僕の特等席は座れない形のない椅子だった。
【 元貴、大丈夫? 】
涼ちゃんにも、スタッフさんにも、心配かけた。
“ 落ち着くまで、ゆっくり休んで ” だなんて言われた。
それでも、僕は若井に
『 元貴と一緒に元貴の曲で音楽をやりたい。 』
と言われたんだ。
また、若井と音楽ができる日が来るまで、僕は曲を作り続けるよ。
ねぇ、若井。
もしも、僕が後ろ向きになってしまったら、励まして。
『 大丈夫、元貴ならやれるよ。 』って、全力で支えて。
僕が、実は弱いこと、知ってるでしょ。
若井と2人なら、それも乗り越えられる気がするの。
拝啓、若井 滉斗 様。
お空の上で、どのようにお過ごしでしょうか。
あの日、貴方が僕の目の前から消えた途端、 青色で染まりきった僕の目の前が、真っ黒に変わりました。
出会って10数年、いつも側に居てくれて、支えてくれた貴方が居なくなって、心の拠り所は2つから1つへと減りました。
貴方の隣にある特等席は、僕限定で。
ずーっと僕が占領して座っていたのに、もうその席はありません。
すごく、居心地が良かったの。貴方の隣。
もっともっと、隣に居たかったよ。
一緒に海を見に行ったあの日、貴方はスマホを構えて写真を撮ることがなかった。
それはきっと、自分の寿命が残り少ないから、最後の思い出を目に焼き付けたからだったんでしょう?
それに気づくのが遅かったんだよ、僕は。ごめんね。
最後になるけど、僕は君に伝えたいことがあるの。
僕ね、貴方のことが、好きみたい。
バンドメンバーで、幼馴染で、ずっと心に閉じこもってたけど、ようやく開けられた。
この言葉を貴方に伝えることは出来ないけど、どうか、貴方がお空の上で、末永く元気に過ごせていたら幸せです。
おじいちゃんになったら会いに行くね。
それまでそこで待ってて。見守ってて。
来世でも、5人で幸せになろう。絶対ね。約束。
大森 元貴