テラーノベル
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一通の着信音。
元貴の目が鋭くなる。
「誰?」
「仕事の連絡……、」
電話に出ようとすると、携帯を奪い取られた。
「元貴っ!」
「俺の前で他の奴と話すな」
断りもなく電源を切られる。頭を抱えた。
「……仕事に支障が出る」
「辞めればいい」
元貴を見つめる。本気の目をしていた。
「お前……正気か」
「俺といれば、働く必要ない」
間髪入れずに断ち切られる。
「それは――」
「俺がお前を養う。だから二度と外に出るな」
無意識にも背筋が凍る。
限界を超えつつある元貴の依存は
俺を部屋に閉じ込めたがっている。
外の世界との接触を完全に断ちたがっている。
「元貴、俺は人間だ。社会と関わらずには生きられない」
「俺がいればいいだろ」
「それじゃ――」
「それじゃ、何?」
光のなかった元貴の目が潤む。言葉が出ない。
ただ怯えている。俺が離れていくことを、心の底から恐れている。
「俺はお前を愛してる」
震える手が俺の手を握る。
「お前がいないと、生きていけない」
重すぎる。
俺は元貴を抱きしめた。応えるようにしがみついてくる。
「離さないで」
「……離さない」
嘘だって分かってる。
このままだと、二人して壊れる。
でも、突き放せない。
「……はぁっ、……ん”っ、ぁあ”あっ、」
ベッドに押さえつけられている手首の感覚がない
打ち付け続けられる熱が俺を喰う。
「はぁっ……、俺だけ……俺の、……わかいっ」
割れた前髪から覗く視線に腹の奥が疼く
―でも、満たしてもらえない。
ぱちゅ、ぱちゅ、
浅いところを攻める音がふたりだけの世界に響く。
「もと…きっ、……ぉ……くっ、」
もどかしい、イきたい。
なのにイイところは避けられる。
「奥?……満たしてやんねえ」
怒りに任せた動きで熱を抜かれる
「…な、なんでっ……?」
唐突な喪失感に気道まで冷え込む。
「…………。」
なにも言わない。代わりに元貴はドアノブに手をかけた。
「え…………」
……いかないで、いっしょにいて
おこらないで、みすてないでっ
「……ぁ、……はっ……う、そ……、
なんで……っ、!……や……、やだ……っ、……!……ヒュッ」
肺が空気を拒絶する
吸っても吸っても、酸素は喉の奥で弾かれる。
肺の真ん中に冷たい空洞が広がる、ホワイトアウトした視界に目がくらむ。
耳元には自分の心臓が壊れた鐘のようにけたたましく鳴り響く。
ひとり、残されたシーツの深い海に沈む。
「もときっ、……あい、…………して、」
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