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注意書き
🟦×🏺のBLです。本人様とは一切関係ございません。また、呼び方と口調があってない可能性があります。小説書くのが初めてなので拙いところもありますがご了承ください。
ロスサントスのやべぇやつと言ったら必ず名前が上がるであろう南国を身に纏う男。
つぼ浦匠は今日も本人的には真面目に事件対応をしていた。
「犯人はいるかー!」
ロスサントスでは全く犯罪が絶えない。他の警察官が大型犯罪の対応している間、つぼ浦はATM強盗に対応していた。
「げっ、つぼ浦かよ」
「人質がいたら返事してくれー」
「…」
「よしいないようだな!」
「待て、恐らく持っているであろうロケランを構えるのをやめろ」
「あ?俺はバットしか持ってないぜ」
「そうか、まぁとにかく金を詰め終わるまで待っててくれ」
「人質がいないならテメェの要求を飲む必要はないが?」
「こっちには銃があるんだ、バット一本で勝てると思うか?待ってた方が賢明だぞ」
「ならこっちにはロケランがあるぜ」
「はっ!?やっぱり持ってんじゃねぇか!」
「おらぁぁぁ!とっととお縄につけ犯人!」
「あぁぁぁぁぁ!」
ドカンという音が響き、犯人がダウンした。捕まえられた犯人はパトカー内やプリズンに送る前でも何か騒いでいた。だが、そんなものが特殊刑事課に通用する訳がない。論破されるというより話が噛み合わないのだ。
「あ〜疲れた休憩にするか」
対応を終えてひと段落ついたつぼ浦が休憩スペースに向かえば大型の対応が終わったのか署員が屋上から降りてくる。その中には…
「アオセン!お疲れ様です」
青井先輩、略してアオセンを見つければつぼ浦はすぐに駆け寄った
「あぁつぼ浦、今休憩中?」
「あっはい、休憩するところでした」
つぼ浦は高揚する気持ちをおさえながら努めて平常な声を出した
「そっか」
青井は忙しいのか少し会話をした後にすぐどこかに行ってしまった。 少し寂しいと思いながらも休憩をして、つぼ浦もパトロールに向かった。
「もう少し」
話してくれても良いのに、と言う言葉が喉まで出かかった。ハッとしてそれをすぐに飲み込み首を振る。何でこんな気持ちになって、こんな言葉が出そうになるのか、それは本人にもわからない
つぼ浦は青井に恋をしていた。
最初はこの気持ちがなんなのかがわからなかった。一緒に居られるだけで嬉しくて、怒られている時でさえそう感じてしまう。でもかまって貰えないとちょっぴり…いや大分寂しい。キャップに相談してみたら
「恋か…?つぼつぼが???」
と言われた。今まで恋愛というものをしたことがなかった。誰かがその手の話題で盛り上がっているのを何度も見たが、つぼ浦は何が楽しいのか理解できない。きっと自分は恋愛感情がないのだと思っていたので急にそんな事を言われて思わずキャップを殴った。
「バカなこと言わないでくださいよ!」
「キャップ、俺には恋愛なんちゃら?とかなんとかそういうのがないんすよ!」
「だがな…」
「そうだとしてもなんでアオセンなんすか」
「それは知らん」
尊敬こそしているつもりだが恋愛と言われるとピンとこない。だが、一度だけ見たことのある素顔はかっこいいと思うし、声だって聞いているだけで落ち着く、めんどくさいと言いながらも自分と一緒に頭を下げてくれ、迷惑をかけているにもかかわらず何だかんだで気遣ってくれる。次々と出てくる良いところを考えていたら、つぼ浦は気づいた。何でこんな良いところがスラスラ出てきやがるだと。それと同時にキャップの先ほどの言葉が脳裏を横切り、慌てて青井の悪いところを探そうとしてみたが、最近一緒に喋ってくれないぐらいしか出てこない。これではキャップの言うことを肯定しているようなものだ。色々なことが頭を駆け巡り、混乱してきたのでとりあえずキャップを殴った。
「いててて…つぼつぼ殴るのを止めなさい」
「アオセンに恋…?」
「聞いてなさそうだな」
上の空に行ってしまったつぼ浦にキャップは次のように言った
「…まぁつぼつぼ、お前の場合はただの尊敬や憧れだけの好意かもしれないがな」
「じゃあ今までの話は俺を騙してたんすね」
「いや、別にそういうわけではないが 」
いつの間にか意識が戻っていたつぼ浦は キャップの言葉にすぐに食いついた。嫌な予感をひしひしと感じ、キャップはちょっとずつ距離をとる。
「あー余計なこと考えちまったぜ」
「まぁ待て、これは悪魔で私の意見であってだな…」
「俺が勘違いしたならそれは騙したことになるだろ?語るに落ちたなキャップ!」
「なぜそうなった」
「何でキャップがこうなってるかっすか?」
「違うそうじゃない」
「あ?埒が開かねぇな」
「…ちなみにお前はこれから何をする気だ」
「もちろん詐欺罪を切ります」
予想していた通りの言葉を聞けばキャップはすぐさま逃走を図るが、つぼ浦の方が先に手錠をかけた
「つぼつぼ離しなさい!!」
「おらぁぁぁ捕まえたぜ!!!!!!」
その後の展開は言うまでもないが、つぼ浦は詐欺罪を切り、キャップとの口論となった。埒の開かない会話の最後はロケランで幕を閉じた。だが、問題が1つ。ここは本署内である。そう、繰り返すがここは本署内である。
爆発に巻き込まれた署員が数名、燃え広がる火の手により救助しにきた救急隊までダウンしてしまった。割と大騒動になり、つぼ浦はほんの少しだけ反省しようとはした。
「ちくしょう、やられましたねキャップ」
「あぁやられたな」
先ほど治療を終えたつぼ浦たちはエントランスのソファに座り、病院内でくつろいでいた
「キャップさっきの話の続きなんですけど」
そう言いかけて無線に馬ウワーの声が入る
『2人とも治療が終わったら後で署長室に来てくれ、話がある』
それを聞き2人で顔を見合わせた
「キャップ」
「どうしたつぼつぼ?」
「どの2人かは指定されてないので俺たちじゃない可能性がありますよね?」
「あぁそうだな」
「今からカニメイト行くんすけどキャップも来ます?」
「丁度暇だから私も行こう」
さっきの無線はなかったことにして、カニメイトに行こうと病院の外に出るとそこには救急隊員である神崎治がいた
「あっ、お前ら車で送ってやるからちょっと待っててくれ」
神崎はつぼ浦たちが起こした騒動ではなく別の場所から出された救助要請の方へ向かっていたらしい。今は患者を連れて帰って来たばかりなのか忙しそうだ。
「誰かこの人の治療を頼む」
「はーい」
患者の治療を他の救急隊員にお願いし、神崎はつぼ浦たちの所に戻ってきた
「待たせたな」
「今日は本署じゃなくてカニメイトに送ってくれ」
「カニメイト〜?」
「細かいことは気にするな」
「確か…お前らさっき問題起こしたんだろ」
「問題というほどの問題じゃないぜ」
「それの説教から逃げるためとかじゃないだろうな?」
「しばらく本署に近づけないからカニメイトでチルタイムを過ごそうとしただけだ」
「近づけない理由は?」
「んー何となくだな」
「はぁ」
『すみません、つぼ浦とキャップがカニメイト行こうとしてるんですけどそのままで大丈夫ですか?』
神崎は何かを察して警察無線に確認を入れた
『すみませんそのまま抑えといてください』
大体予想はついていた事だが警察数人から2人を抑えておいてくれと返ってきた
「あ!?てめぇ裏切りやがったな!」
「大人しく説教されてこい!」
「めんどくさいことになったな」
「そうっすね」
「お前ら逃さないぞ」
「おらぁぁぁぁ!!!!」
行手を阻もうとする神崎につぼ浦の一撃が綺麗に入った
「ガッ、痛ってぇ」
「キャップ今のうちです」
「あぁ、100点だ」
はちゃめちゃな事では特殊刑事課の本領が発揮される。きっと街全体を巻き込む逃走劇をするのではないだろうか。
「キャップ、もうサイレンの音が聞こえてきたました」
「つぼつぼ残念だな、ヘリも来たらしい」
「自分たち相手に来すぎだろ!」
こういう時に特殊刑事課が本領発揮すると思うのは観測者だけではない。普段一緒に仕事をしているからこそ、しっかりと対策をしてきたのだろう。ある種の信頼と言っても過言ではないかもしれない。
徒歩の2人に対して警察車両やヘリで追跡されてしまえば逃げ切れるはずもなく
「ちくしょう離してください!!」
「暴れないで」
「元はと言えばアオセンのせいっすよ!」
「はいはい責任転嫁しない」
「いやこれはらだお君が悪い」
さっきの時点で薄々気づいてはいたが2人はすぐに捕まってしまった。このめんどくさい状況の対応にあたっているのは、この問題の最初の火種である特殊刑事課対応課の青井だった。今は2人をヘリで護送している。
「はぁ、キャップまで…」
「元をたどれば原因はらだお君だからな」
「そうだ!アオセンも一緒に怒られなきゃ納得いかないぜ」
「俺が何したと?」
「あぁ、えっとつぼつぼ」
「あっ!?俺が言うんすか?」
「元々はお前がまいた種だぞ」
「……ア、アオセンあんなところにUFOが!」
そんなものが青井に通用するわけもない。
この街には宇宙人もいるので、なくはない話だが相手が悪い。空の悪魔とも呼ばれ誰よりもクリアリングできる青井より先につぼ浦がUFOを見つけるなどそうそうあり得ない事だろう。
「で?俺がなんだって?」
「ちくしょう騙されないか」
「えっそんなに言えないほどやばい話なの?」
「……それは言えねぇな」
「えー?」
「らだお君聞かないでやってくれ」
つぼ浦が激しく同意した。だが、そもそもこの話の流れにしたのはつぼ浦本人である。
「そう言われると気になるわ」
「あっもしかして」
つぼ浦はどきっとした。もしかしたら先ほどの会話の内容がバレたかもしれない。好意を持っていることがバレるのは恋愛的な意味でないにせよ、なんだかむず痒いものがある。
「俺の陰口?」
「…はぁ、バレちまったら仕方がねぇ」
訂正して説明するのはめんどくさい。勘違いしてくれているのならその方が良いだろう。
「はぁ〜?」
「わ、私はしてないぞ!」
しれっとめんどくさそうな嘘に巻き込まれたキャップは慌てて言った
「キャップ!何逃げてんすか!!」
「お、おま、巻き込むな!」
「キャップ良くないよ〜」
「ちがっ…あ〜そろそろ本署につきそうだな詳しいことは説教の後つぼ浦に聞いてくれ」
「つぼ浦〜?後で聞くからねぇ?」
「キャップ!…アオセン聞いてください、やっぱ陰口じゃありません」
「はいはい」
なんとか難を逃れたキャップと、ヘイトが再びこっちに向いたつぼ浦は、ヘリから下ろされ署長室へと向かった
「どうして署内でロケラン使ったの?」
本署の署長である馬ウワーは胃のあたりを抑えながらつぼ浦たちに質問した。署長室には青井もいてつぼ浦は余計に話しづらい。
「いつもの挨拶だ、気にしないでくれ」
キャップが一番最初に口を開いた。先ほどまではつぼ浦に責任を押し付けていた(大体のつぼ浦が悪い)が、どうやら話を聞かれないよう庇ってくれるらしい。
「ふーん?」
だが、どうしてもさっき話していた青井には疑惑を持たれてしまう
「どうした青井くん? 」
「いや、なんでもないです」
「そうか」
その後は馬ウワーからの長い説教が始まった。本署内で暴れるな、そもそも挨拶代わりにロケランを打つななど色々言っていたが、特殊刑事課には効かない。逆に勢い増して反論し始めた。両者とも息切れになってきた頃にようやく説教?は終わった。
「はぁ、はぁ、、これ以降は気をつけなさい」
「はぁ、署長こそ気をつけることだぜ」
「やっと終わったか、もうちょっと端的にまとめてくれ」
「誰のせいでこうなったと…」
疲労困憊の馬ウワーを背に署長室を出て、つぼ浦はようやく自由の身になったかと思えば青井から声をかけられた
「つぼ浦、話聞いていい?」
「全然良くありません」
「幸運を祈るぞ、つぼつぼ」
「あ?何を勘違いしてるか知らねぇけどキャップも一緒っすよ?」
「らだお君ちなみに私は被害者だ」
「まぁ、キャップはいいや」
「アオセン!?」
「ほら行くよ」
「絶対に行きません!そっちがその気なら死ぬまで抵抗するからな!!」
「も〜ちょっとは大人しくして」
つぼ浦があまりにも暴れるので青井は手錠をかけた
「あ!?それは反則だろうが!」
「つぼ浦が暴れるからでしょ?」
「そんな事知らないんで速く手錠外してください!」
つぼ浦が何を言おうと青井は手錠を外す気はないようだ。それどころか青井はどんどん本署の入り口の方へ歩みを進めていく。これはガチでやばいやつなのではないかとつぼ浦は考え始めた。
「ア、アオセンやっぱ大人しくするんで一旦止まりません?」
「ん〜そうだね」
青井はそう言うが全く歩みを止めることはせず駐車場まで行くと自分のパトカーを出した
「ちょっ、離せ、誘拐拉致監禁か!?」
「一緒にパトロールするだけだよ」
つぼ浦はちょっと抵抗したが車内に押し込まれてしまった。単純に2人でいられるのは嬉しい。しかし、さっきの話を深掘りされるのは訳が違う。
「アオセン1人でしてくださいよ!」
「えー寂しいなぁ〜」
「嘘つけ!一番慣れてるだろ!」
「ぼっちって言ってる?」
「はっきりとは言ってないぜ」
「認めたじゃんそれは」
つぼ浦はこのまま話を有耶無耶にしようとしたが、すかさず青井は本題に切り込んだ
「で?どうして嘘ついたの?」
「あぁ、あの挨拶代わりにロケランがなんちゃらって言ってた事っすよね、 キャップが適当言っただけですよあれ」
「そっちじゃなくて」
「じゃあどっちですか」
「なんで俺の陰口言ってたなんて嘘ついたの?」
バレていた。青井相手に嘘をつくのは流石につぼ浦では無理があっただろうか。しかし、この事を簡単に認めるわけにはいかない。
「…逆に聞きますけど、なんで嘘だと思うんすか?」
「だって特殊刑事課なら直接言ってきそうじゃん」
「特殊刑事課だって陰口言いたい時ぐらいありますよ」
「ヘリで詰められた時に事細かに内容まで説明しそうだけどね」
「特殊刑事課は配慮ができるんで」
「…もう一回聞くんだけど、どんな俺の話してたの?」
なんとかつぼ浦は誤魔化そうとするが完全に嘘だとバレているし、ヘリの中で聞かれた時につぼ浦が頑張って誤魔化した内容にまた戻ってしまった
「そんなに気になります?」
「うん」
「あー、いや、そんな大層なものじゃないですよ」
「じゃあなんで隠したの?」
「…言わないとダメですか?」
「ダメって事はないけど、しばらくはこのままになるね」
「嫌すぎる…」
この空気がしばらく続くなんてごめんだ。しかも青井からは逃げられそうにないので、つぼ浦は渋々諦めて恋愛について話していた前半部分だけは隠して伝えることにした
「バカにせず聞くと約束してくれますね?」
「わかった」
「……お、俺アオセンのことすっげぇ尊敬してるらしくて、、その話をキャップとしてて、それで…」
後半に連れ、声は小さくなっていく。普段の自分からは出てこないような言葉を、好意を本人に伝えるのは恥ずかしかった。
「だから、その…」
「うん」
「、、ッそんな話本人に話すの恥ずかしいじゃないっすか」
「…っ」
「アオセン…?」
「…ふはっ、それだけを伝えるのが恥ずかしかったのww」
「な、何笑ってんすか!!」
笑いを堪えていた青井がついに吹き出した
「いやぁ?つぼ浦も可愛いとこあるなって」
「かわ、可愛い!?俺が!?はっ、意味わかんねぇし!」
「あはははw」
小学生のような慌て方をするつぼ浦に青井はまた笑ってしまった
「もう良いだろ!とっとと手錠を外せ!!」
「あぁ、ごめん、ごめん」
やっと手錠が外れ、この恥ずかしい空間からおさらばしようとしたが、つぼ浦の手を青井が掴んだ
「まだ何かあるんですか?」
「…」
無言で手を繋ぐ青井につぼ浦が困惑していると、青井はスッと繋ぎ方を変えて、つぼ浦と自身の手を恋人繋ぎにした
「ねぇつぼ浦」
「は、えっ?」
「実はつぼ浦とキャップの会話聞いてたんだよね」
「は?」
待て、まず脳の処理が追いつかない。つぼ浦の脳はパンク寸前だった。今恋人繋ぎをされ、しかも散々質問してきたことは既に知っていたらしい。
「やけに隠そうとするからどうしてかなーって思ってたら、恥ずかしいが理由なんてね、本当につぼ浦は可愛いねぇ 」
「えっ、いや、、、はぁ?」
「ねぇ、つぼ浦、 俺のこと恋愛的に好きじゃないの?」
「…っ」
青井がどんな表情をしているかは鬼の被り物に邪魔をされて見えない。真剣に聞かれているのか、それとも遊ばれているのか、つぼ浦には全く見当がつかない。
「わかんない、です」
「そっか…」
「、、、」
「引き止めてごめんね」
そう言うとするりと手が解け、つぼ浦はよろよろと車から降りた。外に出ると自分の顔が熱いのを感じた。きっと頬が火照っているのだろう。
「ちくしょう、わかんねぇよ」
あれからは何事もなくいつも通りの日々が通り過ぎていった。ただ一つ変わったことと言えば…
「…」
「匠、どうしたんだ?そんなとこに隠れて」
「おぉ、オルカか… 」
「最近ずっとその調子だぞ」
「いや、別に何でも、、、ないぜ」
言い淀んだつぼ浦が、先ほど見ていた所には青井が立っていた
「らだおと何かあったのか?」
「…」
全くその通りでつぼ浦は黙ってしまった
「オルカで良ければ相談乗るぞ」
「いや、、」
「あっそんな無理に話さなくて良いからな」
「……相談しても良いか?」
「!いいぞ、何でも話してくれ」
つぼ浦はオルカに、自分は青井に好意を持っていること、でもそれが恋愛感情なのか、単なる憧れなのかが分からないことを話した
「うーん、とりあえず匠はらだおの事が凄い好きなんだな」
「まぁ、そういうことになるな」
「それはなんか、近くにいるだけでドキドキするとかそういう感じではないのか?」
「前までそういうんじゃなかったんだが、最近はずっとそんな感じだぜ」
「…恋じゃないか?」
あまりにも短い言葉が心にストンと落ちた。
ドキドキするようになったのは青井と恋人繋ぎをしてからだ。それから青井のことをなんだか意識してしまって仕方がない。これがもはや憧れではないことぐらいつぼ浦だって薄々気づいていた。
「んーキャップにも言われたしそうなのかもな 、でも好きってわかったところで…」
「何か不安なのか?」
「これから何をしたらいいかわかんねぇし変に意識しちまいそうだ」
「告白する気はないのか?」
「ないな、アオセンが俺のこと好きとか万一にもありえねぇし」
「それは告白しないとわからないぞ」
「んー、でもやっぱりこのままで大丈夫だ」
「…そうか、でも相談したくなったらオルカはいつでも聞いてやるからな! 」
「あぁ、ありがとな」
相手は心なきとも言われる青井、きっと矢印がこちらに向くことはないだろう。そう考えると胸が少し痛む。今の関係が壊れてしまうぐらいならこのままでいる方がいいのはわかっている。でも、考えれば考えるほど悲しくなってきてしまう。
「……匠、らだおのこと振り向かせよう!」
「あ?さっきの話聞いてたか?」
「でも匠、今寂しそうな顔してたから」
オルカの目には寂しそうで諦めたようなつぼ浦が映った
「…見間違えじゃないか?」
「無理はしちゃだめだぞ」
「俺に無理の2文字はないぜ」
「うーん、、でもオルカは匠の恋を全力で応援したい」
「んなこと言ったって相手はアオセンだぞ?」
「匠に無理の2文字はないんだろ?」
「…」
「できること何でもするからな」
オルカの光属性やら善意に負けて、つぼ浦は一緒に作戦会議をした。その名も「アオセン振り向かせ計画」だ。安直な名前ではあるがオルカが褒めてくれたのでつぼ浦は自信満々に自分のネーミングセンスの良さを誇っている。
「じゃあ、まずオルカがらだおの好みを聞いてきてやる」
作戦①らだおの好みを聞く
「らだおー!」
「どうしたのオルカ」
「らだおの好みのタイプを教えてくれ!」
「なんで?」
「んー… あっ!らだおって恋愛しなさそうじゃないか、だからどんなタイプが好きなのか気になって」
「タイプねぇ…」
「特にないのか?」
「いや?強いていうなら元気な子かな」
青井が少しつぼ浦の方を見たような気がした。隠れて見ているのがバレたかと思ったが、すぐにオルカに視線を戻したので気のせいだったらしい。
「なるほどな!ちなみに見た目の好みとかあるか?」
「うーん、、見た目からもヤンチャなのが伝わってくる子とか…?」
「意外だな」
「大人しい清楚系かと思った?」
「好きなタイプがあるならそういう系かと思ってたからな」
「よく言われる」
オルカはつぼ浦の特徴に当てはまるな、と思い青井にこう質問した
「もしかして好きな人いるか?」
「さぁね?」
「教えてくれないか…」
「流石に無理」
「わかった、色々教えてくれてありがとな!!」
「どーいたしまして」
質問し終えたオルカが顔をぱあっと明るくさせてつぼ浦のところへ戻ってきた
「匠〜!らだおの好み聞いてみたら匠の特徴に当てはまってだぞ!」
「まじか」
「次の作戦決行だ!!」
作戦②アオセンに積極的に話しかける
「アオセンー!」
「どうしたー」
「ただ呼んでみただけです」
「用事ないのかよ」
つぼ浦はオルカのところに速攻で逃げ帰った
「何を話せば良いのか考えてなかった」
「ただの身の回りの事でも何でもいいと思うぞ」
「そうか、もう一回行ってくるぜ!」
「がんばれよ〜!」
つぼ浦はもう一度青井の元に向かった
「アオセンー!」
「なぁにー」
「さっき言おうとしたこと思い出しました」
「おっ、何言おうとしたの?」
「あー話す気が失せたんで出直してきます」
「えっ、本当に何?」
つぼ浦帰還、成果なし
「だめそうか?」
「喋るだけでドキドキする」
「重症だな」
「あ〜どうしろってんだ」
つぼ浦が頭を抱えていると先ほど出勤したばかりのキャップがこちらの方へ歩いてきた
「どうしたつぼつぼ」
「キャップっすか」
「匠は今大変なんだ」
「あぁ、らだお君の件か?」
「そうです、聞いてくださいよキャップ〜」
ことの経緯を全て話した。青井に持っていたものは恋心だったこと、振り向いてもらうため作戦を実行していること。だが、まず作戦を実行する以前につぼ浦が青井と話せないことなどだ。
「なるほどな」
「何かキャップからいい案はないのか?」
「そうだな…得策とは言えないが、つぼつぼが何かしらやらかして、らだお君に説教で呼ばれたついでに話してみるとかどうだ?説教されるのはいつもの事だしそこまで難しくもないんじゃないか?」
「あーキャップ、名案っすねそれ!」
「それで良いのか?」
「まあ、アオセンなら怒られても…」
ちょっと照れくさそうに言うつぼ浦に、キャップとオルカは目を見合わせた
「重症だな」
「オルカも同じことを思った」
つぼ浦は容赦なくロケランをぶっ放した。相手は指名手配犯。だが吹き飛んだのは犯人だけではなく白市民もだった。
『つぼ浦、ちょっと本署来れる?』
無線で呼ばれた。考えた作戦が上手くいったようなのでつぼ浦は心の中でガッツポーズをした。
「こいつです!」
本署に入るなり大きな声で指を刺された。それはその辺の白市民のふりをして、ロケランに巻き込まれたキャップだ。
「こいつが急にロケラン打ってきて!」
「本当にすみません」
「警察が何をやっているんだ!」
ぺこぺこと謝り倒していた青井はつぼ浦に近づき小声で囁いた
「さっきお前がロケランで吹っ飛ばした市民の方からクレームだよ」
「あ?クレーム入れられるようなことしてないっすよ」
そう言うとつぼ浦は白市民(キャップ)に近づいた
「市民にロケランを打つとかどういう頭をしているんだ!」
「あん?知らねぇよ、近づいたテメェが悪いんだろうが」
「なんだと!?」
「邪魔するなら帰れ!」
つぼ浦が目で合図を送るとキャップは悪態をつきながら本署を出ていった
「あんなのの相手しなきゃいけないとかアオセンも大変っすね」
「誰かさんのおかげでね」
「じゃあこれで」
その場を離れようとしたつぼ浦を青井が捕まえた
「離してくださいよ」
「つぼ浦はまだお話終わってないでしょ?」
「ちくしょう、やられたぜ」
手錠をつけられているので距離が近い。ドキドキするのと同時に作戦通りにいっていることに安堵を覚えた。
「何回も言ってると思うけど市民に向けてロケラン打たないの」
「市民に向けては打ってないぜ」
「でも巻き込んだでしょ?」
「近づいたのが悪いんすよ」
「それでもダメ」
「普段は菓子折り渡せば何とかなるんですけどね、相手がダメでした」
「そういう問題でもなくて」
「じゃあ何なんですか?」
「はぁー」
青井はすっかり呆れている
「俺忙しいんで言うことがないならもう行きますね」
話が終わりそうなムードの中、青井がつぼ浦を引き止めた
「ちょっと待って」
「まだなんかあるんすか?」
「そういえば最近、つぼ浦まともに俺と話してくれないよね」
引き留めたかと思えば急にその問題に触れられつぼ浦はビクッとなった
「もしかして前しちゃった事嫌だった?」
「…え?」
何やら青井に勘違いをされてしまったようだ
「手なんて繋いで気持ち悪かったよね…」
「えっと、そういう事じゃなくて」
「じゃあ、何で避けてるの?」
「それは…」
恋心を自覚したせいなんて口が裂けても言えない。好意を伝える準備も今のつぼ浦には到底できていないので誤解を解く術がない。
「いいよ、無理に気なんて使わなくて」
「だからそうじゃなくて!」
「気を使ってないなら何で避けるの」
「…」
「やっぱりそうじゃん」
青井は気持ちを抑えるものがなくなったかのように止まらない
「めんどくさいよね、しつこく聞いて」
「だからアオセン…」
「ごめんね」
「あー!!もう一旦黙ってもらっていいっすか???」
その空気に耐えられなくなったつぼ浦がついに大声を出した
「えっ?あっ、うん」
「まず第一に、俺はアオセンの事嫌ってないし勝手に嫌われたと思ってメガティブモード入るのやめてもらっていいですか!!!」
「…うん」
「避けてたのは!」
「避けてたのは?」
「…後で教えるんで首洗って待ってやがれ!!」
「えっ何でそんな喧嘩腰…?」
勢いで青井に勝ったつぼ浦はすぐさまその場から撤退した
「言っちまった…アオセンに理由説明しなきゃじゃねえか」
その場の勢いに身を任せたはいいものの、近いうちに好意を伝えねばいけない事が確定してしまった。
「どうしろっていうんだよ!!!!!」
「オルカ〜助けてくれー」
「どうした匠?会話はできたのか?」
「できたはできたんだが…」
「だが?」
「アオセンに好きって言わなきゃならなくなった」
「何がどうなってそうなったんだ!?」
つぼ浦はさっきの事をオルカに説明した。青井の誤解を解くために避けてた理由を伝えねばならなくなった事、本人があんな状態なので早めに伝えないとめんどくさい事になる事などだ。
「なるほどな」
「どうすればいいと思う?」
「んー、1つ確認してもいいか?」
「あぁ」
「多分らだおは匠のこと好きじゃないか?」
「え?いやいやそんなわけ…」
「だってそんな取り乱すなんてらだおらしくないじゃないか」
「確かに…でも徹夜で頭がおかしくなってあんなテンションになった可能性もあるぜ」
「あるにはあるが…でも好きな人じゃない限りそんな反応しないと思うぞ」
「なわけ」
「なぁ、らだお」
「!?」
「ねー!オルカ何で言っちゃうの!」
「ア、アオセン!?なんで…もしかしてまた盗み聞きか!?」
「違う違う!!いや、そうなんだけど、、つぼ浦の後追いかけたら偶然聞いちゃって…」
「いつから…」
「オルカに相談してるところから…」
「最初からじゃないっすか!!!」
「それはごめんって」
「あー!オルカ用事を思い出したからじゃあな!!」
「えっ、ちょっと待て!オルカ!!待ってくれ!!」
オルカはつぼ浦の待ってくれという懇願も聞かず親指を立ててすぐさまどこかに行ってしまった
「…」
「えーと、つぼ浦?」
「なんすか」
「さっきはごめんね」
「あー別に気にしてないんで」
「それと本題入っちゃっても大丈夫?」
「絶対ダメです」
「やっぱりつぼ浦は嫌いなんだね俺の事」
「何でそうなるんですか!!」
「本題話してくれないからきっと嫌いなんだろうな〜」
「こいつ…」
「ダメ?」
「…もう好きに話せばいいんじゃないっすか!!!」
つぼ浦は負けてしまった
「じゃあ話すね、つぼ浦は俺の事好きって事であってる?」
「…はい」
つぼ浦はもう恥ずかしすぎて青井の方をまともに見れなくなっていた
「ふーん」
「なんすか… 」
「ちなみにつぼ浦、俺の好きな人って誰だと思う?」
「えっ、好きな人いるんですか」
「いるよそりゃ」
「全然わからないんすけど…」
「鈍感すぎるな」
「知ってる人っすか?」
「多分つぼ浦が1番知ってるんじゃない?」
「…もしかしてキャップ!?」
「何でそうなったの!?」
「アオセンの趣味が猫耳メイド服のおっさんだなんて…」
「違うからね!?」
「じゃあ誰っすか?」
「マジでわからない感じ?」
「はい」
「そっか、答えはねぇ」
「答えは…?」
「つぼ浦」
「ん?すみません聞き間違えたみたいなんでもう一度お願いします」
「つぼ浦だよ」
「……はい?」
「本当に気づかなかったの〜?」
「アオセン、冗談は程々に…」
「冗談でもないよ」
「あ、え?」
ついにつぼ浦の脳がパンクしてしまった。青井の好きな人が自分など微塵も考えていなかったのだろう。
「顔赤くなってる、可愛い〜」
「???」
「混乱しちゃった」
「………つまりアオセン、俺たちって」
「両思いだね」
このままでは心臓の音が聞こえてしまうのではないかというぐらいには自分の心臓がどくどく脈打っているのを感じる
「嘘だろ…」
「これが嘘じゃないんですよ」
お互いにしばらく無言が続いた後、青井が先に口を開いた
「ねぇ、つぼ浦 」
「どうしました?」
「もしよければ何なんだけどさ、俺と付き合ってくれない?」
「っ…えっと、その、、自分で良ければ、」
「じゃあよろしくね」
「はい」
「あっちなみになんだけど浮気したら監禁するからね」
「アオセン、後出しが怖いです」
「流石に冗談」
「でもアオセンの焦る貴重な姿を見れたと思うと悪くないっすね」
「ちょっと掘り返さないで、あの時は徹夜のせいでテンション壊れてたの!」
「マジで徹夜だったんすね」
「つぼつぼー、とらだお君か」
「あっキャップ」
「一緒にいるって事は上手くいったのか?」
「まぁ、付き合うとこまで」
「そうかそうか…ん?待て、付き合うとこまでだって!?」
「そうです」
「通りでそんな距離が近いわけだ」
「そんな言うほど…」
キャップに言われ、つぼ浦が青井との距離を見てみると手があたるぐらいの距離まで近づいていたことに気づいてしまった
「あ」
「ちょっと!つぼ浦何で離れるの?」
「いや…」
「キャップ〜?邪魔しようとはいい度胸ですねぇ???」
「ら、らだおくん、ちょっと落ち着いてくれ」
「キャップのせいでつぼ浦離れちゃったんですけど?」
「それはごめん」
「許す」
「許された…それはそうとして邪魔者はそろそろ消えるとしよう」
「あっ、さっきは協力ありがとうございました」
「あぁ、どういたしまして。いや〜付き合えたならロケランに巻き込まれてらだお君にクレームを言った甲斐があったな」
「キャップどういう事か説明してもらってもいい?」
「ヤッベ」
キャップはそう言うと光のような速さでその場を後にした
「キャップを後でどうしようかな」
「ロケラン必要なら貸しますよ」
「キャップ協力してくれたのにつぼ浦はそれでいいの?」
「アオセンの手を煩わせるんて許せないですよ!あとキャップを口封じしないと自分の命も危ういので」
「はぁ、つぼ浦も後で説教ね」
「何でっすか!!」
「最後の一言が決めてだったでしょ、どう考えても」
「ちくしょう、やられたぜ」
後日
「つぼ浦〜」
「なんすか」
「今日も可愛いね、大好きだよ」
「なっ!?」
それからというもの本署では度々つぼ浦たちがイチャイチャしているのが見られるようになった。つぼ浦はバレていないと思っているようだが付き合っているのは誰が見ても明らかである。青井は気づいてはいるが気にする様子もない。
「…俺も好きっすよ」
「あっ照れてる」
「何でわざわざ言うんすか!!!」
「ウブなつぼ浦で遊ぶのが楽しくて」
「あ゛?」
「2人とも凄い仲良しだな!」
「あぁ幸せそうで何よりだ」
一方でつぼ浦を助けたもの同士で2人を見守るオルカとキャップなのであった
【恋心】完
最後まで読んでくださりありがとうございました。
コメント
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誰がどう聞いても恋だと言うぐらい恋してるのに自覚のない🏺が好きなので助かりました……orkに相談しながら🟦に話しかけようとするけど「喋るだけでドキドキする」とかいう可愛すぎる理由で帰ってくる🏺可愛すぎです🥰 自分が🟦に向けてしまっている想いに悩んでいたらそれ以上の質量を🟦からぶつけられる🏺が大好きすぎます😭😭