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___ 「いつか全員いなくなっちゃうんですよね」 任務終わりの帰り道にぼそ、と独り言をこぼす星導 「なんだよいきなり」星導の言葉が引っ掛かる、いつもなら無意識に無視しているだろうになぜか鮮明に聞こえてしまったのだ。 「そのままの意味ですよ、人間って寿命が来たら命が尽きちゃうんでしょう?」「え、それ俺に聞く?でもそうだな、一般常識で考えればそうなんじゃね」俺も人間ではない。白狼って種族であってもうとっくに100歳は超えている。100歳から数えるのがめんどくさくなり数えていないが。「小柳くんはいついなくなっちゃうんですか」「・・・分からねぇや。まあ後数百年?」「たった何百年しか生きられないんでしょう」星導からしたら数百年は”たった”なのだ。何故なら彼は139億年もの年月を生きている。「そりゃお前からしたらしたらそうなんだろうけどよ、人間からしたら数百年なんて一生モノだぜ?」「・・・?」「しっくり来ねぇだろ?人間は数百年の内に身体の様々な器官が歳をとる事に衰弱してく。生まれつき身体が弱い人なんて数十年しか生きられない事もあるらしい。」わからなさそうな星導のために順序を追って説明する。「・・・数十年なんて、一瞬じゃないですか」「短ぇよな、俺も分からない時期あったわ」人型ではあるが小柳も白狼種であり、れっきとした人間ではない。「小柳くんも人間がどうして数百年くらいしか生きられないって、疑問に思ったことあるんですか?」「あるある、俺の周りには同じ白狼種しかいなかったから人間のことなんてなんも分からなかった、今でも分からない事なんてたくさんあるけどな。」そう言うといきなり星導は立ち止まる。「・・・人間の事を知ればいつか来る別れも受け入れられるんですかね」「それはどうだろうな。大事な仲間の死は受け入れたくないもんだろ。」自分で言ったがいつか来る未来を想像してしまった、きっと星導もそうなのだろう。「・・・人間って、不老不死だったり、しないんですか」力がない、弱々しい声でそう呟く。「残念ながらないな」「・・・っ」自然と口端から悔しそうな声が漏れている星導の方を見やると、片方の手で握った拳が小刻みに震えていた。顔は俯いてるもの覗き込んでみれば青ざめており、汗が伝っている。「…怖いのか?」「・・・こ、わい?」「ああそうだよ。怖いって感情、分かるか?」「・・・感情、ですか」俯きながら何かを考えているようだが、彼には少し欠陥している部分がある。例えば嬉しいだったり楽しいだったり悲しいだったり怒りだったり。「そんな思い詰めんなよ、感情ってのは複雑に聞こえるかもしんねぇけど意外と簡単なモンだからな」そう声を掛けるとはっ、とした様子で顔を上げゆっくりと口を開く。「ヒーローのみんながいなくなったら、俺はまたひとりなんです」「また宇宙にひとりで取り残されて、誰もいなくて、暗闇に取り残されたような感じがして、不安で、」「これって、怖い、?ってことですか」たどたどしい文章ではあるが星導が俺に答えを求めている。「・・・星導がそう思うならそうだろ。なんだ、ちゃんと分かってんじゃん。」どうですかと言わんばかりに小柳を見つめる星導の頭を髪も巻き込んでくしゃくしゃに撫で回す。「わっ、ちょ!」慌てて小柳の手を退け、頭を抑える。「・・・どういう風の吹き回しですか」疑いの眼差しをこっちを見つめてくる星導 「いや?分からん問題に悩んでた子供が解けた!合ってる合ってる?って嬉しそ〜に報告してくるアレに似てるからついな」「・・・俺は子供じゃないんですけどね。・・・でもちゃんと腑に落ちました、小柳くんのおかげです」「ん、星導自身がちゃんと折り合いつけられたのもあるしな」「・・・そうかもしれません、ほんと・・・ありがとうございます。」「うお、お礼言った?明日隕石でも降んのかよ」「・・・」無言で小柳の脛を蹴る星導 「いてっ、冗談だっつーの」「・・・ふん」本部へ向かう足を早める星導 「あっおい待てよ!」そんな星導につられるように小柳も足を早める。 シリアスな雰囲気はきっと、似合わないだろう。