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ゴミ箱を漁ってもまともな食べ物など無いのだろう
だが、希望を捨てるのは最後の最後だとどこかで聞いた気がする
なんでこんな都会に、よりによって犬とここにいるのか、家はどこにあるのか、
家族たちは…
ハッと息を呑んだ。
考えれば考えるほど、混乱していく
今は、やれるべきことをやるしかないもんな。
犬の方をちらりと見る
犬が苦手な俺でも分かるほどに、興奮気味に走っていた
そろそろビル群に入っていく
追いかけようと、少し軽めに走る
犬とは短い仲なのに、なぜか離したらダメと脳に命令されているようだった
「ワンッワンッ!」
と吠えて、犬は落ちている小説らしきものの前で止まった
犬がそれを加えようとした
言葉より先に、手が動いた
「ダメだっ!!」
『邪魔をす…………』
犬に触れた瞬間、腕を伝って声が聞こえたような気がした
その後は、聞き取れなかった
ハッと我に返った
大声を出してしまったせいで、強めに尻尾を引っ張ったせいで
犬はビックリしたような表情を浮かべる
だってその小説が、ブラックホールみたいに汚れているように見えたのだから
「ガルルルルッ!」
聞いたことのないような声で、一瞬怖気づいてしまった
その声もほんの一瞬
犬は思い出したかのように、黒くて不気味な小説に目を向ける
そして俺も…腕から脳内に伝ってくるような
さっきの不思議な感覚、不思議な声…
考えようとすれば、頭が重くなる
犬はその小説を見ても、ビクとも怯えたりなんかしない
それに、今通りすがったサラリーマンも
もの凄いオーラを放つ不気味な小説には目もくれなかった
俺が…おかしいのか?
なんて、思ってる頃には犬はそれを加えて尻尾を振っている状態だった
深い溜息をつく
考えていても仕方がないから、真っすぐ歩くことを決めた
ほら、行くぞとジェスチャーっぽいことをすると、犬は素直に俺についてきた
なんだ、犬、意外と楽じゃん
とか思ってたら尻尾で足を叩かれた
地味に痛む
ごめんって…笑
そう心でいうと、犬はそっぽを向く
急に無愛想
やっぱ置いてけばよかったな
ため息混じりにポッケに手を突っ込むと、スマホのような感触がした
「っしゃスマホ!」
思わず声に出た
早々にスマホを起動する…と
まさかの、充電切れ…