「中也~?」
お風呂上がりで、いつもは低体温な自分の身体もぽかぽかとして眠くなる。
あの出来事で部屋を開けてくれないかもしれない、そう考えていたが10秒も待たずして開いた。
「…ンだよ」
「風呂上がり髪乾かしたかい?風邪引いてしまうよ」
「……それは手前が言えることなのか…?」
中也にジロリと見られ、肩をすくめる。なんたって、僕の髪(ウイッグ)の毛先からはポタポタと水滴が垂れているのだ。
「あくまでも君は風邪を引いたらいけないからだよ。僕はいいの。」
「よくねぇ」
「あっ、ちょっとっ」
遮られるようにそう言われて、腕をガッシリと掴まれた。
振り払う隙もなくそのまま部屋の中で引き摺り込まれる。
しかし自分の足に引っかかってしまい、体勢を崩してしまった。
それに気づいた中也が咄嗟に受け身を取る。 しかも、私を抱えたまま。
「……大丈夫か?」
「…ッ…//」
「?」
わかんない、わかんないけど……!!!
この体勢、ちょっと恥ずかしい……!!!
(中也の上に馬乗りになってる状態)
「てか手前軽いのな…」
「ちょッ…?//(ぴく、)」
中也に無遠慮に腕を掴まれて、跳ねてしまう。
「(中也の手おっきぃ…)」
触られているだけで妙に身体が熱ってしまう。それと同時に、安心もする。
「 って違うから⁉︎⁉︎//」
「…?」
危ない危ない…なんか卑猥な…変な空気になるところだったじゃないか…‼︎
何もない何もない…うん!!!
「……(頭)大丈夫か……?」
「う、うん、大丈夫、大丈夫~~!」
あはは…、と笑って誤魔化す。
中也からは怪しげな目で見られたけれど、これは仕方ない。
「で、何だっけ?私 の髪乾かすんだっけ?」
「おう、 」
「その件はいいよ、部屋に戻ってから乾かすし」
中也がちゃんとしてるか確認したかっただけ、と付け加えると、立ち上がった。
「…太宰…その…」
「なに?」
「スカートの下…見える…」
それだけ言うと、ふい、と顔をさらされた。
…なるほど…。
「見る方が悪いでしょ?それともなぁに、メイドさんに発情しちゃうのかにゃ?♡ 」
なんか面白いからからかっちゃお♡
ひらひらとスカートを動かして、にんまりと笑った。
「嗚呼…」
ぐい、と腕を引っ張られ、床に尻餅をつく。
「へっ…?」
「発情した……」
中也は少し頬を赤らめて、熱っぽい息でそう告げた。
顔が近くて、こっちも顔が火照りそうで。
「ちょっ、中也…?冗談で、しょ…?」
今にも食べられてしまいそうで。
「…さァ?」
すりっと、耳を優しく撫でられて、身体が跳ねる。
くすぐったい…。
「ちゅう…や…//?」
そんなに見られてしまっては、恥ずかしさが圧勝してしまう。
か弱い声で、そう彼を呼ぶことしかできなかった。
中也の指はどんどん唇へと下りてきて、とうとう、ふに、と触れた。
熱っぽい息、近い距離、唇…、嗚呼やばい、そう察知して目を瞑った。
が、しかし。
「なァんてな♡」
「……は?」
いつまで経っても来ない感触と、中也の調子の良い声で目を開く。
「幾らなんでも襲うわけねェだろ 」
騙されてやんの、と笑う中也にイラッとした。
「は、はぁっ⁉︎こっちだって願い下げだよ//‼︎‼︎」
「期待してたかのように目瞑ってた癖に?」
「違う//‼︎」
「へぇへぇそうかよ。」
う“~っ、と中也を睨む。
「まぁンな怒んなよ、ちょっと揶揄っただけだろ?」
今日はもう休んでいいから、と付け加えられ、そのまま追い出された。
「何なのあの蛞蝓っ…!!さいてい!!しね!!」
パタン、と 扉が閉まり、静かになる。
音ひとつさえしないはずなのに、バクバクとうるさい。
「~~~”っ…//」
顔を両手で覆って、へたりと座り込んだ。
だって反則だろ…、目瞑るとか…//
「本当に襲いそうなんだが…“///」
こんな感情、初めてだ…/
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!