テラーノベル
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登場人物
りうら(α・アルファ): 若きカリスマ的存在。整った容姿と優れた才能を持つが、フェロモンが強すぎることに悩む。自分が人を惹きつけてしまうことへの自己嫌悪と責任感を抱えている。
ほとけ(Ω・オメガ): 明るくお調子者な一面を持つが、実は繊細で思慮深い。オメガであることに引け目があり、発情期のたびに自分の身体に対する嫌悪と向き合っている。
ないこ(β・ベータ): 二人の友人。βとして安定した性質を持ち、どちらにも偏らない第三者的な視点を持つ。実は、りうらとほとけの関係にいち早く気づいている。
第一章:出会いは、気だるい午後だった
午後のスタジオ。空調の音が微かに響く中、りうらは譜面を眺めていた。完璧主義の彼は、どんな音も妥協しない。
「おーい、りうちゃーん。ちょっと休憩しない? もう3時間くらいやってるって」
ふわっと甘い香りが漂ってくる。ほとけがスタジオのドアを開けた瞬間、空気が変わった。
(……マズい、抑制剤の効果が切れてる)
りうらはすぐに距離をとる。ほとけは気づいていないふりをしたが、汗ばんだ手が自分の首元に触れる仕草は、明らかに“それ”を自覚していた。
「……ごめん、今はやめといて」
短く言い放ち、りうらは部屋を出た。背中を見つめるほとけの目に、わずかな痛みが宿っていた。
第二章:身体は、選べない
翌日。
「ねぇ、りうちゃん。僕のこと、避けてる?」
真っ直ぐな問い。スタジオのロビーで、ほとけっちは不安を隠すように笑った。
「……違う。ただ、俺はαで、ほとけっちはΩ。それだけのこと」
「それだけ、で全部変わっちゃうじゃん」
ほとけっちは少し怒ったように言った。
「僕たち、ただ仲良く歌ってるだけだったじゃん。なのに、フェロモンがどうとか、番だとか、急にそんなの持ち出されても……わかんないよ」
りうらは黙ったまま、拳を握りしめた。
(わかってる。ほとけっちが悪くないのも。俺の中の衝動が、ほとけっちを壊すかもしれないことも)
「……それでも、俺はほとけっちに触れたくなる。止められないんだよ…」
第三章:ヒートの夜
週末。ほとけは急にライブを欠席した。
「発情期か……」
ないこがぽつりとつぶやいた。
その言葉を聞いた瞬間、りうらの中で何かが弾けた。
(行かなきゃ。ほとけっちは……)
ほとけの自宅。
「……りうらちゃん?」
熱に浮かされた目で、ほとけが扉を開けた瞬間、甘く濃密なフェロモンが押し寄せた。
「来ないで……危ないって、わかってるでしょ……」
「それでも……放っておけるわけないでしょ」
りうらは震える手でほとけっちを抱きしめた。
「番になんて、ならなくていい。ほとけっちが明日、俺のこと忘れてもいい。ただ今は、ほとけっりを守りたいの」
ほとけは、涙をこぼして頷いた。
第四章:壊れた理性の果てに
夜は静かに、しかし激しく過ぎていった。りうらは幾度も自制心のギリギリを歩いた。
ほとけの熱に応えるたび、心も身体も崩れそうだった。
「……どうして、こんなにも……」
ほとけっちは何度もりうらの名前を呼んだ。痛みも快楽もすべて、彼に委ねていた。
「大丈夫だ。俺がいる。絶対に、離さない」
そのとき、ほとけの首筋に、りうらの牙が触れた。
(番に……していいのか?)
一瞬の躊躇。そして、ほとけが言った。
「りうちゃん……お願い。俺を、選んで」
理性が切れた。
そして、かすかな音と共に、番の証が刻まれた。
第五章:番になった朝
朝日が差し込む部屋。ほとけっちが目を覚ましたとき、りうらは隣にいた。
「……やっちゃったね」
「後悔してる?」
「してるわけないじゃん」
りうらは微笑み、そっとほとけっちの手を取った。首元に刻まれた“番の痕”が、互いの存在を永遠に刻んでいた。
「これで、俺たち何か変わるのかな」
「変わるよ。でも、それはきっと良い方にだよ」
最終章:運命より、君を選ぶ
りうらとほとけは、番になった後も変わらず音楽を続けた。違ったのは、ただ一つ。
そばにいる理由が、
“本能”ではなく、
“愛”になったということ。
誰かに決められた運命ではない。自分たちの意志で選んだ絆。
フェロモンの香りが重なるたび、りうらは思う。
(壊れたんじゃない。ほとけっちが、俺を生まれ変わらせてくれたんだ)
ほとけも微笑む。
「りうちゃん、好きだよ。僕の、番」
コメント
10件
みるの遅れてくやしいいいいいいいいいいいいいい オメガバすき…
うへ、うへへ(((