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「虹一⁉︎」
ヤバい、はぐれた。
「虹一⁉︎どこだよ、虹一‼︎」
必死に叫びながら来た道を戻る。しかし、見知った人影は一向に見つからなかった。ヤバい、ヤバいどうしよう。一度深呼吸をして落ち着こう。
、、、ふぅ。虹一は耳が聞こえないんだ。どんなに声を上げようが虹一には届かない。ならばひたすら走って虹一を見つけるしかない。
「いたっ」
焦って人にぶつかった。俺の馬鹿っなに焦ってるんだよ。
「すみません」
言い終わる頃には相手は人の海に消えていった。落ち着け、俺ピンチの時こそ落ち着くんだ。しかし、どうしても焦ってしまう。止まらない人混みをかき分けて、虹一を探す。しかし、見知った人影は見当たらなかった。本当にどこに行ったんだ。目玉の花火の時間が着々と近づいてくる。
また走り出そうとしたら、ポケットに入っていたスマホがブーと振動した。こんな大変なときに誰だ。画面を見ると虹一からメッセージが来ていた。
そうだ俺虹一と連絡先交換してたんだっけ。
「あっいた!虹一!」
俺達はメッセージでやり取りをし、鳥居の所で集合することになった。俺より先に虹一が着いており、俺は腕を振りながら虹一に駆け寄る。俺に気づいた虹一も俺の方に駆け寄ってきた。
「ごめん!マップに夢中で虹一のこと全然気にしてなかった」
深く頭を下げると肩をぽんぽんと叩かれた。頭を上げると、虹一も頭を下げた。
虹一は喋れないし、俺の声も聞こえないから一方的に俺についていくしかないんだ。俺がちゃんと見ていないと、気づかないうちに虹一が事件に巻き込まれるかもしれない。俺がしっかりしなきゃ
「虹一!」
ビクッ!
虹一の肩を掴むと、虹一はビクッと肩を振るわせた。
「俺虹一のこと守るからな!」
いきなりこんな事言われて虹一は目を丸くしてうなづいた。俺は改めてパンフレットを開いた。
「こんな時間だしもう花火会場行く?」
コクっと虹一はうなづく。そうして俺達は、花火会場に向かった。みんな考えることは同じらしく、花火会場までの道は混雑している。
俺はたまに後ろを見て虹一がちゃんと付いてきているか確認する。
…?なんだろう。手が暖かい。
前を向いたとき、左手を握られる感覚がした。見ると虹一の手が繋がれていた。顔を上げると丁度虹一と目が合った。虹一は顔を赤らめて急いで繋がれていた手を振り解こうとした。しかし、手はほどけなかった。俺は微笑んで虹一の手をぎゅっと握り直した。そっか、また逸れたら困るもんな、恥ずかしいけど逸れるよりはよっぽどマシだ
「いいよ、このままで」
虹一は俺を見て恥ずかしながらうなづいた。