attention
nmmn
st×××
青紫
純愛も歪愛も同じ愛なんだからどっちがいいも悪いもないのに何で優劣付けるんだろうね?
まぁ、僕なら絶対に純愛を選ぶけど。
布団の中なのに冷たい。冷たいはずなのに空気は暑く、汗をぐっしょりとかいていて気持ち悪い。カーテンを閉め切っているのに朝日が目に染みる。
「はぁ゛……、」
無造作に布団から体を起こす。
1LDKの狭い部屋。格安マンションだから仕方ないけど。
今日中にならないといけないことを思い出していると唐突にお腹が鳴った。
キッチンの冷蔵庫のほぼ中身は何も無いし、今から食べに行くにしても動きたくない。もう食べなくてもいいかと思っても空腹には抗えない。冷蔵庫にある肉と今日もコンビニで何か買えばいいか。
何分間かの格闘の末めんどくさい気持ちに打ち勝ち、靴を履いて家を出る。最寄りのコンビニまでは約10分。近いっちゃ近いけど行くのにはめんどくさくなる。こんな暑い日なら尚更。
やっとの思いでコンビニ着いた。
サラダに弁当、栄養補給ゼリーにアイス、カップ麺、あとはレトルト食品。不健康極まりないがこれでも生きていけるし、体重は標準より軽い。
会計をすませ、店を出てまた家へ歩く。
たった10分ですら長く感じるのは僕の体力がないからなのか、暑さのせいか、もう分からない。
買ってきたサラダに冷蔵庫から肉と生姜を取りだし適当に炒める。
焼けば大体のものは食える。適当に作った炒め物に胡椒をかけ皿に盛り付ける。見た目は普通の野菜炒めだ。
机の上に野菜炒めを置き、水を準備する。いざたぼてみても味は普通の野菜炒めだ。
「うまっ…」
全てを食べ終え、水を一気に飲み干す。
空腹感はなくなり、やることも無くて天井を見つめる。
大学生のくせに最近は講義に出席していない。
今は何もかもがめんどくさい。元はしっかり講義にも出てサークルにも顔を出していた。でもめんどくさくなった。
理由はわかってる僕にも所詮 “推し” という存在がいた。僕が生きる理由でバイトも頑張り結構な額も積んでいた。でも急に消えた。
ネット上ではなくリアルで姿を消した。
SNSは当たり前にその騒動で大騒ぎになった。事件か?事故か?と心配する声もあれば、活動が嫌で逃げたのでは?という人もいた。
今じゃ目撃情報まで上がるくらいだw
まぁ全部嘘だろうけど。
なぁくん。僕の推しのなぁくん。
低く、優しく落ち着く声に紫陽花のように淡く少し濃い紫色の髪、宝石みたいにキラキラとした目。細い身体に白い肌、優しい微笑みに僕は一目見た時から恋に落ちた。
でも相手大手とも言えるほどのアイドル。
手の届くような存在じゃなかった。
毎日ツイートにいいねにリプにリツイート。専垢も作って、歌みたも毎日聞いて、放送があれば欠かさずに聞いた。握手会もライブもどんなに遠くても倍率が高くても行くようにしていた。
毎日見れなくても会えなくてもただ一言声を聞くだけでも脳が溶けるくらい甘くこの恋に溺れた。
たまたま好きになった人が有名なだけだった、相手の全てを受け入れれるし、なぁくんの全てを愛していた。
だからこれは純愛なんだ。
X(旧ツイッタ)の通知が何件も鳴り止まない。
目撃情報や色んなツイートが表示される。
目撃なんて嘘だよ、もういないんだから。
みんなに愛されたなぁくん、人気者のなぁくん。
見た目も声も性格もどんな人かもどんな生い立ちで何を目指して何を思って活動をしていたのかも知ってる人はたくさんいる。
でもなぁくんの味を知っているのは僕だけ…。
「ご馳走様、なぁくん…♡」
歪んでる?純粋じゃない?
なぁくんのことが好きで愛してるだけなんだからこれも純愛でしょ?
好きだよ、愛してるよ、世界一ね、?
お腹すきました。😿
誰かご飯恵んでくれ
コメント
14件
ちょっと考えさせられるような切ない系のお話だ〜…!今回のも最高に好きです💓