テラーノベル
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・中2女子
・バカ・ドジ・鈍感・ツンデレ
・男子ちょっと苦手、食べるの大好き
・友達多くてマドンナ的存在
・はやとを忘れたいのに気になってる
・中2男子
・元気でチャラい、高身長で運動神経抜群
・モテモテ
・りいさの元カレ
・本当は今もりいさが好き
・いじったり意地悪する
・別れた理由:言いすぎた
・悩み:りいさが自分の言葉を信じてくれない
・中2女子
・りいさの小学校からの親友
・運動神経いい
・恋愛上手、駆け引き上手
・実ははやとが好き
・りいさと別れた後に告白済み
・でもはやととうまくいかない
・中2男子
・クール・頭いい・ちょい天然
・気づかい上手
・はやとと仲良し
・りいさを「ちび」といじる
・最初は気になるだけ → だんだん本気
・はやとの親友兼ライバル
・中学2年生男子
・転校生(2学期からクラスに来た設定)
・身長:平均くらい
・黒髪、切れ長の目、表情少なめ
・声は落ち着いていて低め
・成績:国語と社会が得意
・運動:普通(はやとほどじゃない)
「今日からこのクラス。朝霧 湊」
低くて落ち着いた声だった。
近くで聞くと、思ったより静かで、変にドキッとする。
「……あ、ありがと」
腕を離されて、私は慌ててパンを拾った。
その後ろで。
「はぁ?」
はやとが不機嫌そうに眉をひそめる。
「橋谷、転校生に助けられるとか、ダサくね?」
……きた。
この言い方。
胸がぎゅっとなる。
「う、うるさい!」
そう言い返したけど、
周りのクスクス笑いで、顔が熱くなった。
その時。
「山崎」
湊が、はやとの方を見た。
「……本人が嫌そうなら、言いすぎだろ」
教室が一瞬、静かになった。
「は?」
はやとがムッとする。
「冗談だって。なあ、橋谷?」
急に振られて、私は言葉に詰まった。
「……」
冗談?
あれが?
何も言えない私に、
湊はちらっと目を向けて言った。
「無理に笑うな」
……心臓が跳ねた。
「橋谷は、ドジだけど頑張ってる。
それを笑う理由はない」
「はぁ!?転校生、何様だよ」
はやとは強く舌打ちして、席に戻った。
教室はザワザワ。
さおりが小声で言う。
「りいさ、大丈夫?」
「……うん」
大丈夫じゃないけど。
でも。
「……橋谷」
湊が、少しだけ近づいてきた。
「昼、ここ滑りやすい。次から端歩け」
「え、あ……」
注意なのに、優しい。
「ありがと」
そう言ったら、
湊はほんの少しだけ目を細めた。
「どういたしまして」
その様子を、
かなとが腕を組んで見ていた。
「……転校生、やるじゃん」
「藤沢、何それ」
「ちびのヒーロー?」
「ヒ、ヒーローじゃないし!!」
顔が熱い。
その後ろで、
はやとがこっちを見ていた。
笑ってない。
でも、怒ってるみたいな顔。
(……なんでそんな顔するの)
別れたんだから。
もう、関係ないはずなのに。
なのに。
胸が、またちくっと痛んだ。
放課後。
「橋谷」
呼ばれて振り向くと、
湊がカバンを持って立っていた。
「方向、同じだろ」
「え? あ、うん」
さおりと一緒に帰るつもりだったけど、
さおりは部活。
「じゃ、じゃあ……」
歩き出した瞬間。
「おい」
後ろから、聞き慣れた声。
はやと。
「転校生、橋谷と何してんだよ」
「帰るだけ」
湊は表情を変えない。
「ふーん。ずいぶん仲良しだな」
「別に普通だけど」
私が言うと、
はやとは不機嫌そうに笑った。
「へぇ。普通ねぇ」
そのまま、私の腕を引いた。
「ちょ、はやと!?」
「橋谷、来い」
「離して」
湊が、はやとの手首をつかんだ。
「乱暴だな」
「関係ねーだろ」
「関係ある。嫌がってる」
一瞬、空気が張りつめる。
かなとが遠くから叫ぶ。
「おいおい、校門前でケンカすんなよ」
「……ちっ」
はやとは私の腕を放した。
「……何なんだよ」
低く、苛立った声。
「別れたくせに、 他の男と一緒に帰ってんの見せつけんな」
「見せつけてないし!」
「じゃあ何だよ」
「……湊が誘っただけ」
はやとが一瞬、黙った。
「……俺が誘っても、来ないくせに」
その声は、
ちょっとだけ弱かった。
「はやと……」
「いいよもう」
そう言って、
はやとは背を向けた。
「勝手にしろ」
走り去る背中を見て、
胸がざわざわした。
「……追うか?」
湊が聞く。
「え?」
「今のは、あいつが悪い。
でも……気になる顔してる」
……ずるい。
なんでそんなとこまで分かるの。
「……少しだけ」
そう言って、
私ははやとの方へ走った。
校舎裏。
はやとは自販機の前で、
壁を蹴っていた。
「……バカ」
小さくつぶやく声。
「はやと」
「来るな」
「来た」
「……」
「なんであんなこと言うの」
「……」
「別れた理由、覚えてる?」
はやとは顔をしかめた。
「言いすぎた」
「そう。それで私、信じられなくなった」
「……」
「なのに、今日みたいに引っ張るとか、前と同じじゃん」
はやとは、苦しそうに言った。
「……好きだからだろ」
「え」
「今も好きだからだよ」
風の音だけがした。
「なのに、お前は俺の言葉、信じてくれねぇ」
「……だって」
「冗談だったって言っても、どうせまた『嘘』って思うんだろ」
……何も言えない。
「橋谷、俺……」
「はやと!」
さおりの声。
振り向くと、
さおりが立っていた。
「……もうやめて」
「さおり」
「りいさを困らせるの、やめて」
「……」
「好きなら、ちゃんと優しくしなよ」
はやとは、何も言えずに俯いた。
その時。
「結論」
後ろから、湊の声。
「山崎。お前は、言葉が雑すぎる」
「うるせぇ」
「好きなら、傷つく言葉を使うな」
静かな声なのに、
強かった。
「橋谷は、ちゃんと見てる。だからこそ、信じられなくなる」
私は、ぎゅっとカバンを握った。
「……今日は帰る」
そう言って、
私は校門の方へ歩いた。
隣には、湊。
後ろでは、
はやととさおりが残っていた。
(……なんで、こんなに苦しいの)
忘れたいのに。
まだ、気になる。
でも。
湊が小さく言った。
「……無理に忘れなくていい」
「え?」
「整理すればいい」
……ずるい。
そんな言い方されたら。
胸が、
少しだけ、楽になった。
「橋谷」
「……かなと?」
放課後、廊下で呼び止められた。
「これ。数学のプリント、昨日落としてた」
「あっ!それ私の!!」
「予想通り」
「なにそれ!」
「ドジ担当」
「うるさい!」
そう言いながら受け取ると、
かなとは少し首をかしげた。
「……顔赤い」
「え!?あ、暑いだけ!」
「ふーん」
疑ってる顔。
「図書室行くけど、一緒に来る?」
「え、いいの?」
「静かだし、橋谷でも走らない」
「バカにしてるでしょそれ!」
でも、断る理由もなくて。
図書室。
「……ここ座れ」
かなとが椅子を引いてくれる。
「……優しい」
「今さら気づいた?」
「今さら言うな」
私はプリントを広げた。
「……ここ分かんない」
「どこ」
「この問題」
「……あー、それ」
かなとが、私のノートをのぞき込む。
近い。
近すぎ。
(な、なんでこんな近いの!?)
「……橋谷、字ちっさ」
「え!?普通だし!」
「老眼にはきつい」
「老眼じゃないでしょ!」
笑いをこらえるかなと。
「……ほんと反応いいよな」
「なにそれ」
「いじりがいある」
「いじるな!」
「はいはい」
そう言いながら、
かなとは私のプリントにペンを走らせた。
「ここ、先にこれ計算」
「……すご」
「橋谷は、途中で諦めるタイプ」
「失礼!」
「でも」
かなとが、少しだけ真面目な顔になる。
「ちゃんとやれば、できる」
「……」
「だから、諦めんな」
……ずるい。
そういうの。
「……かなとってさ」
「ん?」
「優しいよね」
「……そう?」
「うん」
かなとは、少しだけ目をそらした。
「……橋谷は」
「なに」
「……放っとけない」
「は?」
「ドジで、すぐ転んで、でも一生懸命で」
「それ褒めてる?」
「褒めてる」
「なら、よし」
沈黙。
本のページをめくる音だけ。
「……ちび」
「なに」
「その消しゴム、逆」
「え?」
見たら、
私、ペンで消そうとしてた。
「うわあああ!」
「……ほんとドジ」
そう言って、
かなとは私の手から消しゴムを取って、
代わりに消してくれた。
指が、少し触れる。
「……」
「……」
「……なに黙ってんの」
「近い」
「今さら」
「今さらじゃない!」
かなとが、くすっと笑う。
「……顔、赤」
「見るな!」
「可愛い」
「……っ!?」
「……あ」
言った本人が固まる。
「今のなし」
「なしじゃないし!!」
「……忘れろ」
「忘れないし!」
でも、
かなとの耳も赤い。
(……なにこれ)
ドキドキする。
はやとといる時と、
違うドキドキ。
「……橋谷」
「なに」
「……俺、ちゃんと味方だから」
「……」
「困ったら呼べ」
「……うん」
その時。
「りーいーさー?」
ドアの向こうから、さおりの声。
「……やば」
「逃げる?」
「なんで!」
「冗談」
でも、かなとは立ち上がって言った。
「……続きはまたな」
「……うん」
すれ違う時、
小さく言われた。
「ちび、転ぶなよ」
「転ばないし!」
……たぶん。
その背中を見ながら思った。
(かなとといると、なんか安心する)
気づいてなかっただけで。
この人、
ずっと近くにいたんだ。
……やっぱり。
図書室の前で立ち止まった瞬間、
中から聞こえた声で分かった。
「転ぶなよ」
「転ばないし!」
りいさの声。
それに、かなとの低い笑い声。
私は、ドアに手をかけたまま、開けられなかった。
(……楽しそう)
りいさは、ああいう顔するんだ。
はやとの前では、
いつも強がって、
すぐムキになって。
でも、かなとの前だと。
素直で、
安心してて、
ちょっとだけ、女の子の顔。
……ずるい。
(なんで、かなとなの)
かなとは、はやとの親友。
それに、
りいさのこと、ずっと前から見てた。
私が告白した時も、
横で見てたくせに。
(はやとがダメなら、かなとってこと?)
胸の奥が、ぎゅっと痛んだ。
少しして、
かなとが先に出てきた。
私と目が合って、
一瞬だけ、驚いた顔。
「……さおり」
「りいさは?」
「まだ中」
「そ」
沈黙。
かなとは、目をそらした。
「……見てた?」
「……声、聞こえた」
「……」
「かなとさ」
「なに」
「りいさのこと、どう思ってるの」
かなとは、すぐ答えなかった。
少し考えてから、言った。
「……気になる」
たったそれだけ。
でも、
嘘じゃない声。
「……ふーん」
私は笑った。
「じゃあ、はやとは?」
「……別問題」
「親友でしょ?」
「親友だからだろ」
かなとは、真っ直ぐ私を見た。
「傷つく言い方するやつは、止める」
……敵わない。
(この人、ちゃんと考えてる)
はやとみたいに、
勢いで動かない。
私みたいに、
焦らない。
ただ、
ちゃんと見てる。
ドアが開いて、
りいさが出てきた。
「さおり!?いつから!」
「今」
「嘘だ!」
「嘘」
りいさは、
ほっとした顔をした。
(……ああ)
この顔、
かなとといたからだ。
「帰ろ?」
「うん!」
私とりいさは並んで歩いた。
後ろに、
かなとの足音。
(……ああ、そっか)
私がはやとを好きで、
はやとがりいさを好きで、
りいさが揺れてて、
かなとが見てる。
誰も、悪くない。
ただ、
好きなだけ。
……なのに、苦しい。
「ねえ、りいさ」
「なに?」
「かなとと、仲いいね」
「え!?そ、そんなこと……」
顔、赤い。
分かりやすい。
「……よかったね」
私は笑った。
「え?」
「りいさが笑ってるなら」
……本当は。
言いたかった。
(私だって、
幸せにしたかった)
でも。
それ言ったら、
りいさ、また泣く。
だから。
「転ぶなよ?」
「さおりまで言うの!?」
「流行ってるの」
そう言って、
私は先に歩いた。
(……負けたな)
はやとにも。
かなとにも。
でも。
(りいさが幸せなら、それでいい)
……なんて、
簡単に思えるほど、
大人じゃないけど。
空を見上げた。
夕焼けが、
目にしみた。
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