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「元貴の実家かぁ…なんか緊張。 」
「別にそんな固くなんなくて良いって。」
顔を強張らせる若井を、元貴は笑いながら見つめている。
今日は元貴の実家の集まりがある日で、元々留守番の予定だったのだが、元貴がどうしても来てくれ!と言うので若井は渋々着いてきた。
「お邪魔します…」
「ただいまー。」
恐る恐る足を踏み入れる若井とは対照的に弾んだ声色で扉を開ける元貴。
「「わっ!!元貴おにいさんおかえり!!」」
玄関に足を入れた途端、奥から小学校低学年ほどの子供たちがわらわらとお出迎えをしてきた。
「んーただいま。ちょっと上がらせてね?」
元貴は器用に子供達を掻き分けて家に上がる。その後ろを若井が追う。
「あら、元貴。お帰りなさい。それに滉斗くんも。」
「ただいま、久しぶり。」
「お久しぶりです、元貴のお母さん。相変わらず元気そうですね。」
「もう、そんなに固くならないで。ここは貴方の実家だと思ってのんびりしていいからね。」
「そうだよ若井。母さんとは中学の頃から会ってんだから。」
「ま、まぁ…そうなんだけどさ。」
「ふふ、滉斗くん。元貴のことをよろしくね?」
「ちょっと母さん、冷やかさないでよー。ほら若井、一旦僕の部屋行こ。」
「あ…うん。 」
元貴のお母さんにぺこりと会釈をすると若井は元貴に続いて部屋を出た。
「うわー懐かしい。僕よくここでベース練習してたんだよな。」
愛おしそうに部屋を見回す元貴を、若井はベッドの上に座りながら見つめている。
「あ!若井見て見て、高校の時の制服あった!」
徐に元貴が声を上げる。見るとハンガーに干された制服を持った元貴がいた。どんなものかと気になった若井はベッドから降りて制服を見つめる。
すると、ある重大なことに気づいてしまった。
「あれ…第二ボタン、」
心の中に秘めたつもりが、小さく口に出てしまった。
「ん?……ははーん、これはね。卒業式の時におんなじクラスだった女の子にあげちゃったんだよね。」
「…あっそ。」
「なあに、やきもち妬いちゃった?」
「別に、気にしてないから。」
にやにやする元貴が、制服を置いて若井の手を握る。
「大丈夫、僕には若井しか居ないから。」
耳元でそう囁くと若井は少し耳を赤くして、元貴に向き直る。2人の唇が重なり合おうとした瞬間。
「「ねーねー!!!元貴おにいさん!遊びにきたよ!!」」
扉の向こうから、元気のいい声が聞こえてくる。驚いた若井は反射的に元貴と距離を取った。
「いいところだったのに。残念。」
と元貴は口を尖らせるもの、すぐ笑顔に戻って
「いーよ、入っておいで。」
優しい声で答えた。
がちゃん!と大きな音を立てて扉が開くと、先ほどのちびっこたちが入ってきた。
「元貴おにいさん、このおにいさんはだーれ?」
1人が元貴にひっついて不思議そうに首を傾げる。
「んー?お兄さんの恋人だよ。」
さらっと恋人、と口に出す元貴に若井は顔を赤くして元貴を睨む。対する元貴はいたずらっ子のように笑ってウインクをして見せた。
「そーだよ。俺は若井滉斗。よろしくね。」
「滉斗おにいさん!どっちから告白したのー??」
思いの外ぐいぐいと質問してくる子供達に苦笑いを浮かべていると。
「僕だよ。」
と、元貴が自身を指さして答える。
「えっ!どんなふうに??」
女の子が目を輝かせて元貴に質問する。
「んー…絶対幸せにするから、僕と一緒に居てください。かな」
「えーっ!?!かっこいいね!」
「ねぇ、滉斗おにいさん、どこまでやったの!?」
子供らしい直球な質問にどこまで答えたらいいのだろうと頭を悩ます若井。そんな若井を楽しそうに見つめる元貴。
「んー…まぁ、色々?」
「色々ってなにーー!ちゅーは?手繋いだ?」
「ちゅーも手も繋いだし…それ以上も…って、俺子供に何言ってんだ。今のなし!」
「ちゅーしたんだ!ラブラブだねーー!!」
「ふふ、色々したもんね僕たち。」
満足そうに微笑む元貴が若井の頭を撫でる。
「あー!!イチャイチャしてる!!」
「いいんだよ、僕たちは恋人だから。」
大きな声で騒ぐ子供達に元貴はウインクをして、こつんと頭を若井にぶつける。
その後も押し問答を繰り返していると、
「みんなー、ご飯だから降りてきなさい!」
と呼ぶ声がした。子供たちは急いで降りて行き、若井もそれに着いて行こうとした途端。
「若井、こっち向いて。」
元貴が声をかけた。
「さっきはちゃんと言えなかったからもっかい言うけど。僕には若井しか居ないし、生涯かけて幸せにしたいなんて思ったのは若井が初めてだよ。制服のことはちょっと申し訳ないけどね。…あー、だから何が言いたいかって言うと、僕は若井のことが相当好きだ、ってことね。 」
まっすぐ目を見つめて愛の言葉を伝えると、若井は顔を真っ赤に染めた。
「…俺も、好きだよ。」
頭が混乱した若井が口に出せたのはそれだけだったが、元貴は嬉しそうに微笑んだ。
「行こっか。」
2人で下に降りていくと、子供たちが
「2人はちゅーしたんだって!」
と、親戚の皆に言いふらしていた。
若井は内心元貴のことを恨みつつも、幸せだなと頬を緩ませるのだった。
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