テラーノベル
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翌朝。
僕が教室に入ると、昨日の彼女……白瀬さんがいた。
「……あ」
白瀬さんも、僕の足音に気づいたらしく、こちらを振り向いた。
「朝倉くん?」
「白瀬さん」
「やっぱり。昨日の駅の朝倉くんだ。」
「同じクラスだったんだな」
「うん。びっくり」
白瀬さんは嬉しそうに笑った。
そして、担任が来て席替えを告げる。
席替えの結果。僕の隣の席に白瀬さんが座ることになった。
「よろしくね、朝倉くん」
「うん。よろしく」
授業が始まる。
僕はノートを取りながら、隣の席の白瀬さんをちらりと見た。白瀬さんは点字のノートを使っていた。先生の話を聞きながら、指先で小さな文字を追っている。
(大変そうだな)
と僕は思っただけだった。
休み時間。
「ねぇ、白瀬さん」
「なに?」
「目が見えないって、どんな感じなんだ?」
聞いてから、僕は失言だと気が付いた。けれど白瀬さんは、こう答えた。
「うーん……朝倉くんは、目を閉じたら真っ暗になる?」
「なるよ」
「私は、それがずっと続いてる感じかな?」
「そうなんだ、」
「でも、音は聞こえるし、匂いもする。だから、世界がないわけじゃないよ」
白瀬さんは窓の方を向いた。
「今、風が入ってきたね」
僕も窓を見る。
確かに、カーテンが揺れていた。
「分かるのか?」
「うん。カーテンが動く音がするから」
白瀬さんは笑った。
「朝倉くん、今、窓を見たでしょ?」
「……なんで分かるんだよ」
「なんとなく」
その笑顔を見て、僕は思った。
この子は、思っていたよりずっと普通の『女の子』なんだって。
コメント
1件
寺島あおいです。第3話、読ませていただきました。 “なんとなく”で気づかれてしまう距離感、すごくいいですね。朝倉くんが「大変そうだな」と思った後に、普通に聞いて、そして「普通の『女の子』なんだ」って気づく流れが自然でした。見えない世界を“真っ暗じゃない”って言い切る白瀬さんの言葉に、はっとさせられました。風の音も感じ取れる彼女の視点が、静かに世界を広げているように思えます。 続き、気になります……!
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