「好きです、付き合ってください」
唐突に、言われた。
どうやら私が妖怪退治をしている姿がかっこよくて惚れたとのこと
相手は人里に住む普通の人間、名前も、
住んでいる場所も何も知らない、私からしたらただ”妖怪退治を依頼してきた客”でしかないし
普通に断ろうと思った、
…けれど、恋人なんて考えたこともなかった
私は少し返事を待ってもらうことにした。
「へぇ霊夢に告白ねぇ、物好きなやつもいるものね」
彼女はレミリア・スカーレット。この館、紅魔館の当主である、種族は吸血鬼。
時々こうやって紅魔館に招待され、紅茶を飲みながら雑談をする
「それで、返事はどうするの?」
「…もう少し考えようと思ってる」
「あら、脈アリ?運のいい人間もいたものね」
「そんなんじゃないわ、ただ恋愛感情ってモノを向けられたことがなかったから少し戸惑っているの」
「ふーん、ま、頑張りなさいよ」
「そろそろ帰るわ、紅茶ご馳走様」
「はいはい、気をつけて帰るのよ」
「ん、また」
……………
「あら、霊夢じゃないもう帰るの?」
「えぇ、今日は少し色々なことをしてみたくてね」
「へぇ、あのめんどくさがり屋の霊夢が?珍しい」
彼女は十六夜咲夜、この館のメイド長
レミリアに忠誠を誓っている、
彼女とは異変解決を一緒にしたりと仲もよい
ただしレミリアやその妹のこととなると少し
めんどくさい
「めんどくさがり屋は余計よ。まぁ今日は他に予定があってね」
「へぇ、気をつけて行きなさいよ」
「えぇ、それと紅茶美味しかったわ。ありがとう」
「…霊夢が感謝するなんて珍しい。明日は雨かしら」
「私だって誰かに感謝することくらいあるわ、それじゃそろそろ帰るわね」
「ふーん、じゃ、また」
これは博麗霊夢のいつもと変わらぬ1日である
いつも通り朝ごはんを食べいつも通り依頼をこなしいつも通りみんなと話す…そんないつも変わらぬ1日。
「…告白…告白ねぇ…」
何せ霊夢は今まで誰かを好きになったことも誰かに告白したことないしされたこともない、正直迷っている。恋人が出来たらどうなるのか?
デートとかキスとかそういうことをするのか?
…気にならなくもない
「お!霊夢!」
「霊夢さん!」
「れいむーなのかー」
急に後ろから話しかけられてびっくりしバッとふりかえるとそこには チルノ・大妖精・ルーミアが居た。種族はチルノと大妖精は普通の妖精、ルーミアは人喰い妖怪である
「ちょうどいい!今暇してたんだ!アタイと勝負しろ霊夢!」
「はぁ?なんでアンタと弾幕勝負なんてやんなきゃなのよ、それにチルノなんて弱すぎて相手にならないわ」
「なんだと!アタイはサイキョーの妖精なんだぞ!最弱霊夢なんてけんちょんけちょんにしてやる!いいから勝負しろー!!」
「ち、チルノちゃん…霊夢さん困ってるよ」
「そーなのだーこれじゃただのダル絡みDQN妖精なのだー」
「DQN?BBQの仲間か?」
「全然違うのだー…」
「…そうねじゃあ私が弾幕勝負に勝ったら私に人里でみたらし団子を奢るっていう条件付きでならいいわよ」
「ふふん!そのジョーケンでもアタイはいいぞ!その代わり霊夢が負けたら一生アタイの奴隷だ!」
「ち、チルノちゃん…私たち今数百円しか持ってないんだよ…?」
「そーなのだーこんな結果が見え見えの勝負なんてやめるのだー」
「まぁ確かに霊夢はキョーテキね…そうだ!大ちゃんとルーミアも一緒に戦えばサイキョーよ!✨️」
「えっ」
「…もうダメなのだー…頭が完全に逝っちゃってるのだー…」
「そっそんなこと言ってる場合じゃないよ!私達本当に今300円しか持ってないしみたらし団子なんて買ったらもう所持金ゼロになっちゃうよ!?」
「諦めろなのだーここまで来たらあの馬鹿は止められないのだー」
「そろそろ話はついたかしら、私は1人でも3人相手でもいいけど」
「あぁ!アタイたち3人が相手だ!それじゃあ行くぞ霊夢!覚悟しろ!」
「う、うぅ…」
「頑張るのだー」
ピチューン
「はい終わりね」
「い、いたい…」
「酷いぞれいむー手加減くらいしてくれてもいいのだー」
「私、弾幕勝負は誰が相手でも手加減したくないの」
「大人気ないのだー」
「それで?チルノは…」
「うへー( × × )」
「…完全に伸びちゃってるわね、まぁいいわ今回はみたらし団子の件、なしにしてあげる」
「い、いいんですか!?」
「流石霊夢なのだー」
「本当は今日アリスの家に行く予定があるからあんまり寄り道はできないのよ、それじゃあ私はそろそろ行くから」
「ありがとなのだー」
「ありがとうございます!」
「う、うぅ…次は負けないぞレイム…」
〜アリス宅〜
「あら、いらっしゃい霊夢遅かったわね」
「えぇ、少し馬鹿妖精の相手をしていてね、魔理沙はもう来てる?」
「えぇ、今日はもう1人珍しいお客さんもいるわよ」
「珍しい客?」
出迎えてくれた彼女はアリス・マーガトロイド
魔法使いであり、私の友人の1人でもある
「!こんにちは霊夢さん」
「おっようやく来たか!」
「あら!妖夢じゃない珍しい、今日は幽々子の相手をしてなくていいの?」
「今日は幽々子様は紫様とお話があるとの事らしいので、久しぶりにアリス達に顔を見せようと思って」
先に来ていたのは2人。霧雨魔理沙
彼女も私の友人の1人である。
アリスと同じ魔法使い
そして彼女が先程アリスが言っていた、珍しい客。”魂魄妖夢”冥界に住んでおり普段はその冥界にある白玉楼の主、西行寺幽々子に使えているためあまり博麗神社や人里には買い出しなどの予定がない限り顔を見せないため一部の人から珍しい人扱いされている
「このメンツで集まるのは結構久しぶりね」
「まぁこの4人で話すこと自体珍しいからな」
「そうですね、久しぶりに皆さんと話せて嬉しいです」
「そういえば私あまり妖夢のことについて詳しくないのよ、どこに住んでるかくらいは知ってるけど、細かい仕事の内容とかあまり聞かないしね。まぁ私が家に籠って人形や魔法の研究ばっかしてるのにも原因はあるのでしょうけど…」
「確かに、私もそんなに聞かないな、普段なにやってるんだ?」
「私もなんやかんやで妖々夢異変解決後の宴会で話したくらいだわ」
「えっーと普段は幽々子様のお世話とか庭の手入れくらいですね、まぁ庭も広いし幽々子様のお世話も結構大変なんですけど…」
「というか前から気になってたんだが幽々子って結構食べるよな?普段何食くらいなんだ?」
「それ、私も気になるわ」
「え、えっーと…12食くらいでしょうか…」
「じゅ、12食!?私なんて毎日2食食べれるかも怪しいわよ!?」
「…それは霊夢が貧乏だからじゃないかしら」
「うっさいわね」
そんな他愛のない雑談をしながらアリスが用意してくれたお菓子を食べ時間を過ごす
「…あらもう16時30分…そろそろ夕食の準備があるしお開きにしましょうか」
「そうですね、私もそろそろ幽々子様が帰ってきてしまうのでお先失礼します」
「ほいほい、そんじゃ私も帰るぜ!またな」
「えぇ、またあ、お菓子ありがとねアリス」
「ん、じゃあ気をつけて帰るのよ」
「…あ、告白の話し忘れた」
他の話が盛り上がってついつい忘れてしまっていた、恋バナ?とかが好きそうな妖夢もいたし
話せばよかったなと思いつつ、歩き進める
「まだ時間もあるし、人里で何かつまんで行こうかしら」
〜人里〜
「つまむと言っても何にするか…」
「おや!霊夢さん!人里に来るとは珍しい」
「あぁ文、あんたこそ此処に来るなんて珍しいじゃない、普段は妖怪の山にいるくせに」
「はは!私だってたまには人里に降りてきますよ、それに此処に来れば何かしら事件やとくダネがありそうですしね!」
そしてこの陽気な鴉天狗、射命丸文
記者である、種族は先程も言ったように天狗。よく新聞を配っているが内容は嘘や過剰書きされているものばっかりであまり良い印象はない
「それで、何をしていらっしゃるんですか?」
「少し小腹が減ったから人里でなにかつまもうと思ってね、何か文のおすすめはあるかしら?」
「ふむ、小腹…そうですねつい最近できたお店なのですがそこの饅頭がとても美味しいと評判らしいですよ!場所は寺子屋の近くです、行ったら分かりますよ」
「へえ、文にしては中々いい仕事をするじゃない。ありがとう行ってみるわ」
「あやや!霊夢さんに褒められるとは中々嬉しいものですねぇ、それでは私はここら辺で」
「ふむ…饅頭ね…少し行ってみようかしら」
「んー!美味しい!」
先程文に勧められたお店で饅頭を頬張り、満足した事だしそろそろ帰ろうとしたその時
「おや、霊夢じゃないか」
寺子屋から上白沢慧音が出てきた、
知識豊富で寺子屋の教師でもある
「あらけーねじゃない、教師ってこの時間まで学校に居るの?大変ね」
「今日はプリントの丸つけに時間がかかってな、ところで霊夢どうしてここに?」
「小腹が空いたから文に勧められたお店でスイーツを食べていたのよ」
「あぁ、あのお店か私も気に入っているんだ
生徒達も最近はよくそこのお店に行っているらしい」
「へぇ」
なんやかんやで慧音とも話が盛り上がり結構な時間雑談してしまった
「もう18時!?私夕食の準備があるから帰るわ」
「そうか、気をつけて帰るんだぞ」
「…それ会う人に毎回言われるんだけど、私ってそんなに弱そうに見えるかしら?」
「君が弱そう?まさか!そんなわけないだろうただの別れの挨拶さ」
「ふーん、なんか子供扱いされているみたいで嫌だわ…」
「はは、まぁそう言わずそれじゃ私もそろそろ」
「えぇ、楽しかったわ、ありがとう。」
時間は飛び、夕食中
「今日は色々なことがあったわね。というか慧音にもあの件のこと相談し忘れた…結局レミリア以外誰にもいえなかったわね」
紅魔館でお茶をし、馬鹿妖精達を相手にして、アリスの家で妖夢達と話して、帰りは文と慧音にあって、美味しいスイーツを食べ…
外に行くのはめんどくさいけれど色んな人に会えて色んな話が聞けて……
最初はあんなに考えていたのに
たくさんの人と会って、話していたら告白されたことなんて途中から忘れてしまっていた、けどそれでいいのかもしれない私には恋人なんてもの似合わないのかもしれない
「やっぱり、断りましょう」
私に恋人なんてものいらない、だって私は既に
この日常に満足しているもの
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霊夢、ちゃんと考えてあげるなんて優し〜