注意事項⚠
珍しくたいむつ。凶太しかあげてなかったし、ここ最近小説すら書いてないのでかなり駄文…。まぁ、暖かい目で見てください。ついでに大目にも見てください。
夜桜さんを見てない方は回れ右お願いします。ネタバレも大いに含まれていますので。
初めて会ったのは、幼稚園の入園式のときだった。あの頃の私たちはまだ幼すぎたし、組も別々だったからお互いに話すことも、お母さん同士がたまたま会ったときぐらいで、あまり交友関係は深いとは言えなかった。
けれど、小学校に入学してからずっとクラスも一緒で、席も隣のことが多かったから、ちょくちょく話すようになっていった。それに、かなり仲良くなれたおかげで、3年生の頃には太陽の家に泊まりに行ったこともある。お兄ちゃんとお父さんには止められたけど、他の兄妹たちが「行っておいで」と抑えておいてくれた。
でも、私が小学六年生の頃に、タンポポによってとある襲撃が起きた。
私はタンポポに攫われ、心臓を取られかけた。今でも、胸にはその傷が、そして髪には、その事件の名残として、白銀の…恐ろしくも美しい跡が刻まれ続けている。こんな気持ち悪い色の髪なんかあったら太陽に嫌われるかもしれない。それが堪らなく嫌で、学校にも行けなかった。
けれどある日、家のインターホンが鳴らされ、誰だろう、とカメラを見ると、そこには太陽が立っていた。どうやら、休んだ分のプリントを持ってきてくれたみたいだった。家には二刃姉ちゃんもいたけれど、あいにく眠っていて起こす気になれない。怖くて会いたくなかったけれど、これが会える最後の機会かもしれないから、と出ることにした。
震える手で玄関を開け、門のところに行った。
そして、久しく…でも見慣れた顔と目が合った。
「久しぶり、六美ちゃん!…あれ?どうしたの、その髪…」
思わず息を飲む。なんて説明しよう…そのとき私は、恐怖で逃げ出したいぐらいだった。
「あ、この髪は…そのっ」
頭が真っ白になり、言葉が詰まった。
すると、太陽は口を開く。
「すっごく似合ってるね!綺麗!いめちぇん?ってやつ?」
「…!」
笑顔を崩すどころか、まるで本物の太陽のようなキラキラと輝く…あまりにも眩い笑顔でそう言ってくれた。その言葉に、私は思わず涙を流してしまった。すると、今度は大きく目を見開いて私に心配の言葉をかける。
…あぁ、どれだけ綺麗で眩しいんだろう。
この人になら、なんでも話せる。家の秘密だって打ち明けられる…そう思っていたけど、スパイだからどれだけ仲良くなれても家族のことを話せないことが、苦しくて…辛くて、たまらなかった。隠し事なんてしたくなかったけど、お母さんにも、兄妹にも、お父さんにも…絶対に話してはいけないよ。と言われていたから、仕方なく守っていた。
…まぁ、あの頃はまだ自分が当主だなんて知らなかったし、仮に伝えられていたとしても、その覚悟だってまだ決まらなかったと思う。だから、わざと遅くに伝えてくれた両親には感謝してる。
そろそろ中学校の入学式の日だ。私はてっきり太陽とは別の中学に入ると思っていたから、その日までは毎晩泣いていた。
けれど、式も終わり周りをキョロキョロしていると、綺麗な赤髪の…そう、太陽がいたんだ。どうして?とい気持ちよりも嬉しいが勝ってしまい、思わず走っていってしまった。太陽もこちらを見て少しだけ驚いているように見えた。それからたくさんのことを話して、その日は帰った。クラスも同じだったから、それからもたくさん話して、遊んで、勉強も頑張った。
でも、それまで続いていた”太陽の”幸せな日常は、突然終わりを告げられた。
中学校に入って、突然起きた…ある事件。
そう、太陽の両親と共に弟の光くんが事故で亡くなったのだ。それまで当たり前のようにあった太陽の笑顔が、ぱっと消えてなくなったかのように見えなくなった。私は、これが本当の…いや、”普通の家族の「崩壊」”なんだと、思い知らされた。
お葬式中の太陽の顔は、本当に…見てはいられないほどに残酷で、目に光なんてあるわけがなかった。
私も、太陽の両親に良くして貰っていたし、光くんとも遊んでいた。そして何より…太陽がこんなに絶望した顔をすることになってしまったことが、本当に悲しくて、悲しくて…堪らなかった。
椅子の肘掛に置いてある太陽の震えた手を、きゅ…と優しく包んだ。その途端太陽の手の方にも力が入り、バチッと弾かれてしまう。
私にはその理由がわかる。恐らく、またこの太陽の家族みたいに居なくなってしまうかもしれないと考えたのだろう。
そんな太陽の手を、今度は優しくも力強く握り
「大丈夫。私は居なくなったりしないよ」
と声をかける。
すると、太陽は歯を食いしばりながら涙を流した。
あれから数年経った後、太陽がうちに来た。
原因は…お兄ちゃんだ。どうやら私を長年近くで狙っているやつがいるというタレコミが入ったらしく、それが太陽だと勘違いしたらしい。
お兄ちゃんは本当に太陽にとどめを刺すつもりらしく、二刃姉ちゃんが止めに入ってくれたのに遠慮なく吊り下げられてしまった。四怨姉ちゃんも気絶して倒れ込んでいる。
けど、嫌五の作戦のおかげで上手く誤魔化せそう…!
そう思っていた矢先、嫌五の変装がお兄ちゃんにバレた。
更には、私が太陽の姿になっていたことも筒抜けになってしまい、作戦は失敗。お兄ちゃんは私の手に持っていたナイフを自らの脇腹に刺しながら私を抱きしめてきた。
もう、諦めよう。
こうなってしまったらお兄ちゃんは誰にも止められない。私が「うん…」と泣きながら頷いた。
その直後、ガチャリと音がしたので振り向くと、そこには絵画の中に隠れていた太陽が出てきていた。
お兄ちゃんはもう太陽を狙うつもりもないみたいだ。
「太陽!?出てきちゃ…」
思わず声を荒らげて言ってしまう。
でも、太陽は引き下がるつもりは無いみたいだ。
「姉さんが言ってたお前と俺を守る方法…やらせてくれ。」
そう言いながら、太陽は真剣な面持ちで手を差し出す。
でも、私には家族の痛みを知っている太陽と家族になるというなんとも残酷すぎる選択はできなかった。
「でも…」
私がそう言葉を詰まらせながら言うと、強い眼差しをこちらに向け、笑顔になりながら太陽は言った。
「俺は大丈夫だ。」
「いなくならないって、お前が約束してくれたから。」
その言葉からは、強くも切ない…そんな太陽の決意と意思が感じ取れた。
「…!…うん…!」
私はそう返事をし、自分の薬指から指輪を外して太陽の方へ投げた。
何かを察したお兄ちゃんは、速くも鋭く宙に浮かぶ指輪と指輪を受け取ろうとする太陽の手を鋼蜘蛛で止めた。
けれど、太陽はそれに動じつつも己の決意に従い、鋼蜘蛛を解いた。…まさか、お兄ちゃんという最終関門を突破してしまうなんて…。てっきりもう会えないと思っていたし、
「俺がお前を守るんだ!!」
という言葉から、私を想ってこの行動に出てくれたことが感じ取れたことが、本当に嬉しくてたまらなかった。すぐさま私はお兄ちゃんから離れ、太陽の方へ走っていってしまった。そんな私を、太陽は優しく受け止めてくれた。
そんなことから始まった、私たちの夫婦生活。
初めはお兄ちゃんとかこの家とか、色んな試練がたくさんあったけれど、約束の1ヶ月後…無事に指輪にも家族の一員として認められた。その日は、お祝いにケーキを食べたんだっけ。
でも、しばらくして任務に出かけていた太陽が、致命傷をおってしまった。管に繋がれ、ガーゼと包帯だらけの無惨な姿の太陽に、私はどうすることも出来なかった。そのときばかりは、無力な自分が惨めに思えた。
その時を狙ってか、タンポポによる襲撃が起こった。
停電も起こったけど、七悪の予備電源でもあかりがつかなかったから、多分故意的に起こされたものだということがうかがえた。でも、問題なのはそれだけじゃない。
太陽の命を保ってくれていた装置も止まってしまっていたのだ。その事で頭がいっぱいになり、太陽を死なせない方法を探していると、あるひとつの記憶が蘇った。
それは…――――
いい?六美。私たちの体に流れる血にはね…特別な力が宿ってるの。
その力を使えば、どんな悪いことだってできちゃうし、逆にとても良いことにも使えるの。
でもね…大きな力には、必ず大きな苦しみがついてくる。
もしこの力を誰かに使ってあげたいのなら、
「その人の苦しみも全部受け止めてあげるんだ」
って、そう思えるくらい大事な人だけに使いなさい
そうだ。もうこの方法しか残ってない。それに、太陽にならこの力を使えるし、使ってあげたい。
私は奥にしまってあった七悪のかんたんさいけつキットを取り出し、説明の指示に従って二の腕にゴム管を結びつけた。最後に、七悪マークの入った袋に着いている簡易的な注射で自身の血を吸い上げ、パックの下にある液の入っ約束た部分を血の入った注射の部分と交換し、太陽の手をぎゅっと握った。
「ダメだよ太陽…っ…いつも助けられてばっかりで…私はまだ何もできてないのに…」
「置いてかないで…!」
なぁんて、そんな風に血をあげたっけなぁ。あの時の太陽、ほんとにかっこよかった…まぁいつもなんだけど。
あれからも色んなことあったなぁ…地獄温泉に行って、胸の傷のこと話したり…お父さんと会った時に私を庇ってくれたり、子どもたちを産む時も立会い出産で私の手をずっと握って、応援の言葉を優しくかけてくれた…
よくよく思えば、私って太陽のどこに惚れたんだろう。いい所が多すぎて、上手く言い表せないけど…なんだかよく分からないなぁ。でも、それでも好きなんだよねぇ…不思議〜。
そんなことを考えながら窓側の席でぼんやりとしていると、綺麗な赤髪の、目に傷のある男性に声をかけられた。
「六美?なんかぼーっとしてたけど…大丈夫か?」
「ん?あぁ、大丈夫よ!ちょっと思い出を振り返っていってただけ!」
「そうか…ならよかった!」
そう言うと、太陽は昔と全く変わらない…本物の太陽のような笑顔をこちらに向けた。
…あぁ、やっぱり好きだ。好きだけど、結婚してるけど、どこか手が届かない…そんな存在。
私の…私だけの、たった一人の愛した人…。
手の届かぬほど美しく、眩い貴方へ…
センニチコウの花束を贈る。
コメント
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わー実は電気泳動さんの中身YUKIさんじゃね?ってレベルで書くのうますぎるって…小説家なってくださいよもうこれは
センニチコウの花言葉は 「不朽」「色あせぬ恋」「変わらぬ愛」「永遠の恋」 たいむつ最高です
あ、あとセンニチコウの花言葉調べてみてね!!!!