テラーノベル
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「ハハッ!いいじゃねぇか!!ブルーロック第二世代ッ!!」
そう潔世一が言葉を溢した片隅で誰かはこう言った。
「一ノ瀬悠馬…アイツは使えるな。」
ほんの一瞬だけ潔世一の表情に笑みを溢しながらも、冷静にそう言った彼は、静かにそこから立ち去った。
***
「一ノ瀬くん!君すごいな!」
「え?あっはい!ありがとうございます!」
「プレーが、まだ未完成だけど悪くない…!」
一ノ瀬はびっくりしながらも頭を下げていた。
その様子を、遠くで見ていた千切達はクスクスと笑う。
潔世一はその場を離れて、絵心甚八に報告をしに行った
「アイツ…照れてんだよ!かつての自分が戻ってきたみたいで嬉しいんだろ笑
ありがとな一ノ瀬…アイツ、戻ってきてからもう価値がないみたいにシケた顔してて気に入らなかったんだよ。」
そう言う俺の憧れのスターの1人はとても楽しそうに笑っていた。
テレビの中の存在だった人たちが、今より一層キラキラしてる…
あぁ…これが潔世一…小さい頃からずっと憧れてたあのブルーロックの申し子の力なんだ。
でも…もう憧れだけじゃ足りない…
俺は、あの人に、追いついて…
***
—–11年前、
「クソ潔…下がってろ。お前が糸師凛か…冴の弟だろう?」
カイザーはそう言って、試合中の1on1で凛の事を鼻で笑う…
「うるせぇ…青薔薇野郎が…そこを退け!!」
「お前は兄に比べてスピードもパワーも中途半端…オニイチャンの残像追いかけて迷子になったダックスフンドか何かか?
さっさと飼い主の元へ帰れ。
お前のプレー全部俺に見え見えなんだよ。クソ退屈。」
そうやって至近距離まで近づいて、カイザーはボールを奪い去っていく。
「俺は兄貴じゃねぇ…覚えとけ青薔薇野郎…俺は…糸師凛だ!」
そうやって一瞬で加速した糸師凛は、カイザーの足をギリギリで交わして突破する。
潔もカイザーも一瞬…驚いたような顔を見せた。だけど、
「ハッ!今の抜けんの…へぇ、糸師凛…覚えとく。お前少し見直したわ…」
カイザーは凛の方角を指さして、素早く踵を返しながら言う
「安心すんのまだ早ぇよ…クソ凛が…
見せてやる…ホンモノの天才って奴を…」
そう言って奪ったボールからぶちかまされたカイザー・インパクトは全てを無に返して強烈な一点を勝ち取った。
***
あの試合は結局ミュンヘンの勝ちだった。
今となっては懐かしい思い出だけど、あれは凛が俺たちの知らない凛が覚醒した試合だった。
あのカイザーにも強烈な印象を残した糸師凛に俺は驚きが隠せなかった
「あの試合は、本気でぶつかってきた。最後まで諦めてなかった…
才能なんかじゃなくて、あのプレーで…
やっぱ、俺は選びたいんだな……」
一回引いた身の癖に、いまだに夢を諦めきれなくて、いい加減反吐が出る。
だけど、
「見つけて、育てて、信じる。それが今の俺のやるべき事なんだろうな…
だから、
俺、ちゃんとやるよ。もう逃げない。逃げたりしない。
そうやって、覚悟を決めてモニター室へ繋がる薄暗い廊下を歩いていた。
To be continued
今回自分の意思再確認みたいな回でした
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