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ギャグ風味あり
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「——ひっ!?」
突然の刺激に、喉から声が飛び出した。
葛葉がさらに奥へとバイブを押し込む。その瞬間、
「〜〜〜あッ♡」
前立腺をピンポイントで激しく突かれ、視界が白く弾け飛んだ。どぷっと、張り詰めていた先端からは精液がこぼれ出る。
「えっ…もしかして今、イった?」
「あっ、あっ♡ ああ…ッ♡」
葛葉の声が、はるか遠くから聞こえる。
なにか話しかけられている気もするが、おれの口からはひっきりなしに嬌声だけが漏れ出てしまう。
媚薬のせいなのだろう。中の感度がかなり高まっている。おまけに、葛葉にバイブをつっこまれているというこの状況。興奮が、相乗効果で上乗せされていく。
「——あッ♡ こ、これ……すごっ♡」
人間の動きとは異なる、バイブによる規則的なピストン運動。緩急はないけれど、逆に言えば、容赦もない。一向に留まることのない激しい動きで、快楽を与えつづけられる。
「んぁッ!♡ はぁ…っ♡ ゃ、やばぁ…アッ!♡」
身体が思いきり、後ろにのけぞった。自分では抗いきれないほどのゾクゾクする快感の波が、とめどなく襲ってくる。背中は宙に浮き、頭の上のシーツを強く握りしめた。
まるで荒波の中に放り投げられ、もみくちゃにされているようだった。気持ちいいのがずーっと続いて、終わりがみえない。
「ヒッ、あ♡ そ、そこっ、…んンっ♡ いいッ♡」
甘ったるい喘ぎ声が、部屋に響く。自分でももう、なにを口走ってるのかがわからなかった。
目からは生理的な涙がこぼれ落ち、口の端からはヨダレが垂れ、おれの顔はぐちゃぐちゃだ。さっきっからイキっぱなしだから、性器の先っぽからは、とぷっ、とぷっ、と白濁が断続的にあふれ出ている。
快感の渦潮の中をぐるぐると行ったり来たりして、そこから永遠に抜け出せない。
一人、快楽に溺れていた。
「そこ、あっ! きもちっ♡ あっ!♡ きもちぃの…また、クる!」
足が空を蹴った。
体を支えようと腹筋に力が入り、中のバイブをさらに強く締めつける。自分で自分の首を絞めているみたいだった。いよいよ、太ももの筋肉が痙攣しはじめた。
「ひぎぃッ♡ あ゛ッ♡♡ また、イっちゃ…ぁ゛♡」
何度目かもわからない、強制的な絶頂。
きもちいい。きもちいい。
無理矢理、何度も昇天させられる。
遠くで葛葉が何か言っている。
声はおぼろげで、舌打ちしたような気配だけを感じた。おれの脳みそはずっと、気持ち良いことしかわからなかった。
「んぐッ、ぁ、っイ゛、く——」
もうちょっとで。
再びイく——という寸前だった。
無慈悲にも、中に入っていたものがズルッと引き抜かれていった。おれの背中が、ストンと布団の上に着地する。
「…あっ、やだ。…なんで、やめる……?」
あと少しでイキそうだったのに。
バイブの埋め込まれていた腹の奥が、ぽっかりとした空洞に切なくなっている。
乱れた呼吸を、どうにか落ち着かせていく。部室には、自分の呼吸音しか聞こえない。
天井を見上げた。
頭の芯は興奮でまだじんじんしているようだったが、やがて視界がはっきり見えだしてくる。
足元から、大きな舌打ち。
顔だけを持ち上げて、おれは音のした方へと視線を向けた。
「めっちゃ…イったな……」
瞳孔の開いた葛葉と目が合った。呼吸の整い切らないおれの喉から、ヒュッと音が鳴った。
「……俺のよりも、気持ちよさそうだったな」
抑揚のない、無機質な声だった。
葛葉から発せられる空気がひんやりとしていて。上昇した体温で体は熱いはずなのに、おれの肝は冷えてくようだった。
「べ、べつに、…っ、そういうわけではっ」
「なら、なに? 誰のでもいいって言うのか?」
「は?」
葛葉が手に持っていたバイブを、ポーンとゴミ袋の山の向こうへと放り投げた。
……なんでコイツ、キレてるんだ?
まったくもって、意味がわからん。
あれか?
おれだけが気持ちよくなってたから、ムカついたのか?
——そうか、なるほど。
合点がいけば。
おれの言うべきことは、ひとつである。
「葛葉ァ。お前の…早くおれの中にいれろ」
ようやく、葛葉もその気になったのか。
ふっふっふっふっ。
葛葉も何口かは媚薬を飲んだはずである。やっと効果が出てきたのだろう。
「嫌だ」
——は?
「な、なんでだよ!?」
おれが直々に手招いてやったというのに。駄々っ子みたいな言い方だ。おまけに、葛葉の顔は無表情のままである。
「媚薬とかオモチャとか……お前、ふざけてんの?」
「はぁ?」
ふざけてる?
おれが、ふざけてるだと??
倒れ込んでいた布団の上、体を起こし、おれは思わず握りこぶしをぎゅっと握った。
「腹立つわぁ……」
葛葉のその言葉に、おれの方こそ、腹の底がぐつぐつと煮え立つようだった。
なんでおれが責められないといけない?
なんでおれが怒られないといけない?
こっちはお前としたくて……
真剣に悩んだ末の、苦肉の策だったというのに……。
……なんなんだ。
……なんなんだよ、葛葉……お前……。
そもそも。
そもそも!
お前がおれとセックスしないのが悪いんだろ!?
ついに。
おれの強靭な堪忍袋の緒が切れた。
「——ムカついてんのは、おれの方だッ!」
布団の上に片膝を立て、勢いをつけて葛葉に飛びかかった。
「全部ッ! お前のせいだろッ!?」
倒れ込んだ葛葉の上に馬乗りになり、その襟首をひっつかんだ。葛葉の赤い目が、ジッとボクのことを見上げている。
「——俺のせい?」
事もなげに、葛葉がそう言った。
胸の奥が、ズキズキと痛い。
媚薬を用意したのは、『お前に抱かれたい』っていう、おれの意思表示だったのに。
なのにお前は、『ふざけた事をして』と言う。
馬鹿げてるって……
そんなの、おれが一番わかってる。
でも、こうでもしないと。
こうでもしないとお前。
お前はおれのこと、抱きもしないじゃんか……。
「お前が……お前が、甲斐性なしなのが悪いんだろっ!!」
葛葉の目が一瞬、大きく見開かれた。それからスッと視線が伏せられる。
「甲斐性なしって……なんだよ……それ……」
やけに悲痛な声色だった。
でも、それが事実なのだ。
媚薬を飲んだおれを放置して、クカーッと寝こけて。据え膳を食わない男なんて、甲斐性なし以外の何者でもないじゃないか。
もし。
もしもお前が、甲斐性なしじゃないって言うのなら……。
お前が、おれを抱かない理由が他にあるとしたら……
「どうせ……どうせ……」
自分の声が震えていることに気がついた。
こんなこと、言うつもりなんてなかったのに。
「……どうせおれは……エロくないよ……」
「……え?」
小さなおれの声を、葛葉はうまく聞き取れていないようだった。
ずっと気付かないようにしていた、ひとつの可能性。それを認めるのは、途方もなく惨めだった。
でももう、見ないふりは出来なかった。
「どうせおれには! 抱きたいって思わせるような魅力がないよ!」
そうだよ。
あーあー、そうだよ!!
おれに性的魅力がないから、お前はおれを抱かないんだろ!?
おれはゲームしか能のない、つまらん男よ!
部屋は汚くて、生活はだらしなくて。
てゆーか。
そもそもおれ、男だしぃ〜?
女子みたいにフワフワもちもちフニフニしてねーよ!!
むしろ。
そんじょそこらの男どもより、細いガリガリだし!!??
「——色気なんてねぇよボケェェッッ!!!」
ありったけの声量でおれが叫べば。
キョトンとした顔で葛葉が目をしばたかせた。
変な沈黙の間があいて。
葛葉が動揺の色を見せはじめる。
「え? なに? ど、どした、急に……」
「……お前、おれとしたくないんだろ……セックス」
言ってしまった。
ずっと胸の内にわだかまっていたモヤモヤを。
「な、なんでそんな話になってる……?」
おれの言葉が理解できないと言うように、葛葉が聞き返してくる。
おれは唇を強く噛んだ。
強く噛んで、痛みから解放されたくて力を緩めれば。途端に、言葉がこぼれ落ちそうになる。
「……どうせ……お前は……」
言うな。
言うな、言うな。
おれは必死に、自分に言い聞かせる。
こんなこと、言っても無駄なのに……。
「……お前は……おれのこと……好きじゃないんだ……」
言ってしまった。
胸の奥に押し込んでいた不満や不安が、とめどなくあふれ出てしまった。
まるで自白剤を飲んだみたいに、勝手に口から出ていってしまった。
こんなこと、言うつもりなかった。
……言いたくなかった。
だから媚薬を飲ませて、手っ取り早くセックスに持ち込みたかった。
肌を重ねているその時だけは、おれは葛葉に愛されているんだと、実感できるから。
葛葉がおれを抱かないのは。
葛葉がおれを好きじゃないからだ。
答えは至極、単純なことだった。
認めたくなかった。
おればっかり。
おればっかり、葛葉が好きだなんて……。
どれくらい、沈黙が続いただろうか。
葛葉の手が、おれの手の方へと伸びてくる。葛葉の襟首をつかんでいたおれの手に、葛葉の手が重ねられる。
「——俺がローレンのこと、好きじゃねえって?」
射抜くような視線で、真下から見上げられる。おれの手はほどかれて、葛葉の指にぎゅっと握り込められる。
「それ、ガチでいってんの?」
葛葉がそう言った瞬間、ごろんっとおれの視界が暗転した。
さっきまで見下ろしていた葛葉の顔に、今度はおれが見下ろされていた。
「ローレン、よくわかってねぇみてーだから……俺がしっかり、教えたるわ」
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コメント
2件

続きめちゃめちゃ楽しみにしてます🥹 超良かったです、、🤦♀️💖

ふふふ、いや、腐腐腐。。。たのしみ。。。不味いな。。。楽しみすぎる。。。