店が閉まり、すっかり静かになった居酒屋のバックルーム。
照明は落とされ、ぼんやりとした非常灯の明かりだけが二人を照らしている。
「…齋藤先輩」
桃井が名を呼ぶ声は、いつもより低く、熱を帯びていた。
「なに?」
齋藤は視線を向けるが、その声色に少しだけ緊張がにじむ。
「今日こそ、ちゃんと伝えます」
そう言って、桃井は手を伸ばし、齋藤の腰をそっと引き寄せた。
戸惑いの色が瞳に浮かぶが、抗うような素振りはない。
桃井は齋藤の唇に自分の唇を重ねた。柔らかく、丁寧に。
「ん…」
触れ合った唇が『ちゅっ』『ちゅくっ』と音を立てて重なり、吐息が混ざる。
やがてそのまま、服を脱がせ合いながらベッドの上へと体を移した。
齋藤の肌に触れる桃井の指先は、どこまでも優しくて熱い。
胸元をなぞる指が『すり…』と滑るたび、齋藤の喉から小さな吐息が漏れる。
「こっち、触れるよ?」
桃井の囁きに、齋藤はわずかに目を逸らしながら頷いた。
指が下腹部へと這い降りていき、『ぬるっ』とした感触が生まれる。
湿った音が『くちゅ、くちゅっ』と静かに響く。
桃井が準備を整えながら、もう一度、齋藤の目を見つめる。
「……ゆっくり入れるから、力抜いて」
「…ああ、わかった」
熱を帯びた彼の中心が、ゆっくりと齋藤の奥へと沈んでいく。
『ずぶ…っ』と鈍い音を立てて入り込み、齋藤の指先がベッドのシーツをぎゅっと掴む。
「……っ、桃井……」
眉を寄せながらも、痛みと快感の入り混じった感覚に、齋藤の表情がとろけていく。
「大丈夫、深呼吸して」
『ぬちゅっ、ぱちゅっ…ぱちゅ、ぱちゅっ』
湿った音と肌が打ち合う音が重なり、リズムが少しずつ速まっていく。
「先輩、奥、当たってる…」
熱を含んだ桃井の声に、齋藤の喉から小さく「んっ」と声が漏れる。
『ぱちゅっ、ぱちゅ、ぱちゅぱちゅ…』
深く突き上げるたびに揺れる齋藤の身体。
甘い声と、濡れた音が絡み合って、室内の空気はすっかり熱を帯びていた。
「俺、…ほんとにアンタが好きです」
そんな言葉とともに、二人の体はしっかりと重なり合い、快楽の波が押し寄せるたび、齋藤の目尻にうっすらと涙が滲んだ。
「もっと…来て」
その言葉が許しとなって、桃井はさらに深く沈み込んだ。