─次の日
ざわざわ、ざわざわ
今日も騒がしい…
毎日こうなのか?耳が割れる〜なんちゃってー
……
シャキッとしよう
「あ!翔流くん、聞いた?」
何をだよ。
「なんの事?」
「桃子(とうこ)ちゃんのこと!」
「……桃子?」
誰だっけ。てか、僕この人の名前も覚えて
ないなー
いつも話しかけてくる、黒髪ロングの女。
…それより今は桃子か
「あー、そうだよね。知らないか、えっとー」
そう言ってスマホを取り出して、写真を見せた。
「ほら、この子」
「……」
昨日のアイツじゃん
「クラスじゃ結構、静かな子でさ、真面目で…優しくて、ちょっぴり恥ずかしがり屋で、一緒に居ると、あんしんして…うっ…ぐすっ…ご、ごめん…」
「……死んだの?」
まあ、聞かなくても確定演出来てるけどね
「う、うっ…んッ……」
「そっかぁ……」
……
「なんで?」
「えッ…?」
「どうして死んじゃったのかなーって」
僕は内心わくわくしてた。
次、彼女はどうするのか、どんな反応をするのか、楽しみで仕方ない。
僕が変わってる?違うよ。
おかしくて仕方ないんだ。
どうして、感情なんて物があるのか。
不思議でならない。
僕は感情を捨てた。いつか来る、その日まで。
でも、捨てたらなんだか、楽になったんだ。
いままで苦しくて悲しくてしょうがなかった物がぜんぶ消えたんだ。
皆も捨てればいいのに。
どうしてわざわざ、めんどくさいことをするの?
何も感じないって、すごく、楽だよ?
『俺は○○○の笑った顔が好きだな』
……
「………………自殺…したんだって」
急に彼女が話した。
涙は止まって、ただ遠くを見つめていた。
「へぇ」
「どうしてかな…屋上で胸を刺して死んじゃってたんだって」
棒読みで桃子の死因を説明していく。
感情を、押し殺して。
「スマホのメモ帳に、ただ一言。ごめん、だって…」
「何かあったのかな?」
「桃子の家、ちょっとお母さんが良くなくてね。いつも否定されてばっかで、自分がよく分からないって、いつも言ってて。毎日ネットに潜り込んでた。」
ほら、やっぱりネッ友だ。
「自分には何にもない、って、愛ってなんだろう、って…」
「じゃあさ、さっき言ってた、その子の良い所、言ってあげたら良かったんじゃない?」
あはは…
「桃子ちゃんが死んじゃう前に!」
「っっっ!!」
ああ、いいな。なんとも言えない、この感じ。
「桃子ぉぉッ!!!」
今更後悔したって、もう遅いのに、馬鹿だなぁ…ホントに……
まあ、彼女が言ってた桃子の家庭環境ってのは、全部嘘で、ふっつーに、良い暮らしをしてた訳なんだけど。
いやー、かまってちゃんってのは怖いねー
殺されても、自殺だって思われちゃうなんてさ。
……
……まあ、死んだらそこで終わり、ってのが人間だから。
うんうん。
「ね〜ね〜、白髪くーん?」
……
「どうしたの?純也くん」
僕は振り返って、そう言った。
「ちょっと、放課後空いてるかな?」
その横に或叶くんがいた。
或叶くんも来るのかな?
「うん、全然大丈夫だよ」
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