「遅かったね、で、何買うの?」
「んーよく着てた服が汚れちゃって、なかなか汚れ落ちないからさ、新しい服買おうかなって」
「ふーん…」
2人で並んで歩きながら会話をする。玲奈が横でふふっと笑った。
「何?」
「なんか、デートみたいだね!」
「……何言ってんの?」
「えへ、冗談!」
おしゃれな服屋に入る。1人の時は絶対こんな店に入らないだろうと思いながら玲奈を追った。
玲奈は楽しそうに気になった服を手に取り俺に見せてきた。
「ねぇ、これどう?似合う?」
「いいんじゃない?」
「えー、もっと真面目に答えてよ」
「………、玲奈はどれも似合うと思うよ」
「ふふ、なにそれ」
玲奈は普段、明るい色の服を着ることが多いが、手に取る服は暗い色のものばかり。イメチェンか?
玲奈が服を選んでいる間、俺も適当に店内を回る。
ふと視界に入った天ぷらがデザインされた服を手に取る。色数が少なく、比較的シンプルな服。 だが、半袖なので今回はお見送り。
「その服、買うの?」
後ろから袋を持った玲奈が声をかけてきた。
「買わないけど…玲奈はもう服買ったの?」
「うん、2着買っちゃった!」
「そう、はやいね、じゃあ帰る?」
「えー、せっかくだしご飯食べてから帰ろうよ、近くにカフェあるからさ」
カフェ…またおしゃれな場所に連れてかれるなと思いながら店を出た。
「それで、どんな服買ったの?」
「えっとねー、黒のパーカーと、可愛い上着!」
「ふーん…黒い服、珍しいね」
「え、そう?結構着てると思うんだけど…」
「いつもは明るめの服多いじゃん」
「んー、確かにそう………」
玲奈が急に喋るのをやめ、遠くを見つめ始めた。
「……なに、どうしたの?」
玲奈が俺に飛びついてきた瞬間、バンッ!と大きな銃声が響いた。そして、おそらく弾丸が、俺の頬をかすった。
銃声を聞いた周りの人達が騒いでいる。
俺は玲奈に手を引かれ、路地裏に逃げ込んだ。
「大丈夫?玲」
「あぁ、なんとか…ちょっと血が出たくらいかな」
「あ!私絆創膏あるよ、ちょっと待ってて!」
玲奈は持っていた鞄から絆創膏を取り出して、俺の頬に貼った。
「ねぇ玲奈、俺…ずっと聞きたかった事があるんだけど」
「?………なに」
「玲奈って………………殺し屋だよね?」
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