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瑠唯-るい-腐女子投稿頻度🐢
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brfr 水青 様
誤字脱字注意
日本語おかしい
収録が終わったのは、夜の十一時を少し回ったころだった。
「終わったぁ……」
らみは椅子の背もたれに身体を預け、深く息を吐いた。
今日も一日、よく頑張った。
同じグループで活動するメンバーたちと新曲の収録をして、その後には配信用の打ち合わせまであった。
グループ最年少のらみは、年下だからという理由だけで甘えるような性格ではない。
むしろ逆だった。
頭の回転が速く、何事にも真面目で、自分に厳しい。
だから疲れていても「大丈夫」と言ってしまう。
そんならみのことを、誰よりもよく見ている人がいる。
「らみちゃん」
「ん?」
振り向くと、みつきがいた。
「お疲れ」
「みっちゃんもお疲れさま」
「うん」
みつきはふわりと笑った。
いつもの、可愛らしい笑顔。
少し眠そうな目。
柔らかな声。
どこからどう見ても、いつものみつきだった。
「ねえ、らみちゃん」
「なに?」
「今日、俺のこと何回見た?」
「……え?」
「収録中」
「見てないよ」
「嘘」
「本当」
「じゃあ、なんで俺が歌うたびに目が合ったの?」
「……偶然でしょ」
「ふーん」
みつきがにやりと笑った。
その顔を見た瞬間、らみは嫌な予感がした。
「な、なに」
「別に?」
「絶対なんか考えてる」
「考えてないよ」
「みっちゃん、そういう顔するとき絶対意地悪するじゃん」
「よく分かってるね、らみちゃん」
「やっぱり!」
らみが頬を膨らませる。
みつきは楽しそうに笑った。
「可愛い」
「……そうやって誤魔化す」
「誤魔化してないよ。本当に可愛いから」
「もう……」
「照れた?」
「照れてない」
「耳赤い」
「みっちゃん!」
らみが睨むと、みつきはますます嬉しそうに笑った。
普段はふわふわしていて、何を考えているのか分からない。
それなのに、らみをからかうときだけ妙に頭が回る。
しかも、らみがどういう言葉に弱いのかまで知り尽くしている。
恋人になってから、それがさらにひどくなった。
「らみちゃん」
「……なに」
「こっち来て」
「嫌」
「即答だ」
「どうせまた意地悪する」
「しないよ」
「嘘」
「じゃあ、証明する?」
「どうやって?」
みつきは何も言わず、手招きをした。
らみは警戒しながらも、少しだけ近づく。
「もうちょっと」
「……ここでいいでしょ」
「あと一歩」
「嫌」
「らみちゃん」
「……なに」
「恋人なのに?」
その一言に弱かった。
「……ずるい」
渋々、一歩近づく。
すると、みつきの手が伸びてきた。
頭をぽん、と撫でられる。
「お疲れ」
「……」
「今日は頑張ったね」
「……それだけ?」
「うん」
「本当に?」
「本当」
らみは拍子抜けした。
「なんだ……」
ほっとして息を吐いた、その瞬間。
「――油断した?」
「え?」
みつきの顔が近づく。
「……っ」
額に、軽いキス。
一瞬だった。
けれど、らみには十分すぎた。
「みっちゃん!」
「なに?」
「今のずるい!」
「何が?」
「油断させてから……!」
「キスしただけだよ?」
「それがずるいの!」
「恋人なんだから普通じゃない?」
「……っ」
らみは真っ赤になって俯いた。
みつきはそんならみの顔を覗き込む。
「らみちゃん」
「……なに」
「顔見せて」
「嫌」
「どうして?」
「赤いから」
「見たい」
「絶対笑うじゃん」
「笑わない」
「嘘」
「じゃあ約束する」
「……」
らみが少しだけ顔を上げる。
目が合った。
みつきは本当に笑わなかった。
ただ、優しい目でらみを見つめていた。
「……可愛い」
「やっぱり言った!」
「約束したのは笑わないこと」
「そういうところ!」
らみがぷいっと顔を背ける。
すると、みつきが小さく笑った。
「怒った?」
「怒った」
「ごめん」
「許さない」
「じゃあ、どうしたら許してくれる?」
「……知らない」
「じゃあ、らみちゃんが決めて」
「みっちゃんが考えてよ」
「難しいなあ」
みつきは腕を組み、真剣に考えるふりをした。
しばらくして。
「じゃあ、らみちゃんの好きなもの買う」
「……それで許すと思ってる?」
「思ってる」
「甘いものだけで許すと思ったら――」
「プリンも買う」
「……」
「ケーキも」
「……」
「あと、らみちゃんが好きな飲み物」
「……許す」
「早い」
「だって好きなんだもん」
思わず口から出た言葉に、らみ自身が固まった。
みつきも固まる。
「……何が好き?」
「……」
「プリン?」
「違う」
「ケーキ?」
「違う」
「飲み物?」
「違う!」
「じゃあ――」
「みっちゃん!」
らみが顔を真っ赤にする。
みつきは数秒黙ってから、ふっと笑った。
「俺?」
「……」
「俺のこと好き?」
「……知らない」
「らみちゃん」
「……好き」
「聞こえなかった」
「絶対聞こえてた!」
「もう一回」
「嫌」
「お願い」
「……好き」
「俺も」
みつきの声が急に低くなった。
さっきまでのふざけた雰囲気が消える。
らみが顔を上げると、みつきが真っ直ぐこちらを見ていた。
その目は、いつもの可愛いみつきとは違う。
少しだけ大人びていて、かっこよくて。
らみはまた胸が跳ねるのを感じた。
「……その顔、嫌い」
「なんで?」
「かっこいいから」
「それ褒めてる?」
「褒めてない」
「でも、顔赤いよ」
「……みっちゃんが急にそういう顔するから」
「どんな顔?」
「……知らない」
「教えて」
「教えない」
「じゃあ、当てる」
みつきが一歩近づく。
らみは反射的に一歩下がった。
また一歩。
また一歩。
気づけば、背中が壁に触れていた。
「……みっちゃん」
「ん?」
「近い」
「さっきからそればっかり」
「だって近いもん」
「嫌?」
らみは答えられなかった。
嫌ではない。
むしろ、好きな人にこんな距離まで近づかれるのは嬉しい。
でも、恥ずかしい。
それを全部見透かされるのが悔しい。
「……嫌じゃない」
「そっか」
みつきが笑う。
また、いつもの可愛い笑顔に戻った。
「じゃあ、もう少し近づいてもいい?」
「……だめ」
「どうして?」
「心臓うるさいから」
「聞かせて?」
「絶対やだ」
「俺は聞きたい」
「……意地悪」
「うん」
みつきは否定しなかった。
「らみちゃんにだけ、意地悪」
「なんで?」
「反応が可愛いから」
「……」
「嫌ならやめるけど」
その言葉を聞いて、らみは少し考える。
そして、小さな声で答えた。
「……やめなくていい」
「ほんと?」
「うん」
「じゃあ――」
みつきの指先が、らみの頬に触れる。
そのまま、優しく撫でる。
「今日はいっぱいからかってあげる」
「……ほどほどにして」
「無理かも」
「みっちゃん!」
「だって、らみちゃんが可愛いから」
「……もう知らない」
らみは恥ずかしさに耐えきれず、みつきの胸元へ顔を隠した。
すると、みつきの腕が背中に回る。
「よしよし」
「……また子ども扱い」
「してないよ」
「してる」
「じゃあ、恋人扱い」
「それもよく分からない」
「好きな人を抱きしめてるだけ」
「……」
らみは何も言えなくなった。
ずるい。
いつもそうだ。
さんざん意地悪して、からかって、らみを真っ赤にしたあと。
最後には必ず、優しくする。
「みっちゃん」
「ん?」
「僕、泣きそう」
「え」
「恥ずかしくて……」
みつきは一瞬驚いた顔をしたあと、すぐにらみの頭を撫で始めた。
「ごめん」
「……意地悪しすぎ」
「ごめんね」
「でも……」
「うん?」
「嫌じゃない」
「……そっか」
「みっちゃんだから」
みつきの動きが止まった。
「それ、反則」
「え?」
「俺だって照れる」
「……ふふ」
今度はらみが笑った。
「みっちゃんも照れるんだ」
「照れるよ」
「意外」
「俺だって普通の人だからね」
「不思議ちゃんだけど」
「それは否定できない」
二人で笑う。
さっきまでの緊張が、少しだけほどけていく。
みつきはらみの頬をそっと撫でた。
「らみちゃん」
「なに?」
「好きだよ」
「……僕も」
「ほんと?」
「ほんと」
「じゃあ、もう一個お願い」
「なに?」
「今日は俺の隣にいて」
「……うん」
「帰るまで手繋いで」
「うん」
「帰ってからも、少しだけ一緒にいて」
「……うん」
「じゃあ最後に」
「まだあるの?」
「ある」
みつきは少しだけ笑った。
「俺のこと、もっと好きになって」
らみは目を丸くする。
それから、照れくさそうに笑った。
「……もう十分好きだよ」
「そっか」
「うん」
「じゃあ、俺ももっと好きになる」
「……それ、できるの?」
「できるよ」
「どうやって?」
「明日も明後日も、らみちゃんのこと見てる」
「……」
「歌ってるところも」
「うん」
「笑ってるところも」
「うん」
「泣いてるところも」
「……泣かないもん」
「じゃあ、泣いたら慰める」
「みっちゃんが泣かせるんでしょ」
「それもそうだね」
「もう!」
らみがみつきの胸を軽く叩く。
みつきは笑いながら、その手を取った。
指を絡める。
「帰ろっか、らみちゃん」
「うん」
「プリン買って帰ろう」
「やった」
「ケーキも」
「ほんと?」
「もちろん」
「みっちゃん大好き」
「俺も大好き」
そう言って、みつきは繋いだ手を少しだけ強く握った。
意地悪で。
不思議で。
普段は可愛いくせに、時々どうしようもなくかっこいい。
そんな恋人の隣を歩きながら、らみは思う。
きっと明日も、みつきは自分をからかう。
わざと困らせて、照れさせて、悔しがらせる。
でも最後には必ず、優しくしてくれる。
だから。
そんな意地悪も、悪くない。
「みっちゃん」
「なに?」
「明日も意地悪していいよ」
「……珍しいね」
「その代わり」
「うん?」
「最後はちゃんと甘やかして」
みつきは少しだけ目を細めて笑った。
「もちろん」
そして二人は、誰にも見られないように繋いだ手をそのままにして、夜の街へ歩き出した。
コメント
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みつきの「油断させてからキス」、ずるいけど最高に可愛かったです……! らみちゃんが「心臓うるさいから」って言うところ、ああいう照れ隠しの台詞がもう本当にその子らしくて、思わず頬が緩みました。最後に自分から「明日も意地悪していいよ」って言えるの、すごく愛おしい。卯月めあさんの紡ぐ距離感の描き方、いつも繊細で素敵です。