🈂️組×380
学パロ。
124、125、238▶︎2年
380▶︎1年
友好的じゃないモブ出てきます。
いじめ等の表現あります。
大丈夫な方はどうぞ!
「…はぁ、ダル。」
朝学校へ行くと机に落書きがされていた。
この地味な嫌がらせは入学後2ヶ月が過ぎたあたりから始まった。心当たりはある。
落書きとか消すのめんどくさくてそのままにしてるのによく書くよね。寄せ書きみたいになってて笑う。
遠くではコソコソと話す声が聞こえる。
はぁ、めんどくさ。
こんな遠回しなことしなくても直接言えばいいのに。直接言われたところであたしがどうにか出来る問題でもないんだけど。
そう、この地味な嫌がらせの原因は、サノス達だ。
新入生歓迎会の時に何故か気に入られ、それからお昼は屋上で一緒に食べるようになった。
決してあたしから行ってる訳じゃなく、毎回誰かがわざわざ教室まで来るのだ。迷惑極まりない。
あいつら顔は良いからまぁモテる。先輩からも後輩からもモテる。
うちの学年にも好きな人はいる訳で、そいつらに目をつけられてる。嫉妬とか醜すぎ。
そんなわけで、教室にまで来られてしまうと気まずいし、めんどくさいことになるから最近はあたしから行くようになった。
教室に来るなって言ってあたしが屋上に行かなかったら絶対あいつら押しかけてくるもん。まじめんどくさい。
嫌がらせをされてることは言ってない。言ったところでどうにかなるわけでもないし、そこまで酷い事をされてるわけじゃないから。
って思ってたんだけど。
「……マジで言ってる?」
休憩時間、お手洗いへ行って戻るとお弁当が盗まれてた。ていうか多分捨てられた。さすがにそれはありえなくない?そこまでする?
後ろの方ではあたしの様子を見てクスクスと笑う声がする。マジでダルい。昼購買行かなきゃじゃん。
昼休み、授業が終わった瞬間にカバンを掴んで購買に急ぐ。急がなきゃめんどくさい事になる。のにあたしの行く先を遮るかのように立つ数名の女子生徒。しかも他クラスまでいんじゃん。
「…何?急いでるんだけど。」
「あんたサノス先輩達のなんなの?近付かないでよ」
「あんたみたいなのが近付いて良い存在じゃないの。」
「……それだけならもう行っていい?」
「は?!なにその態度。ムカつく」
「……。」
「黙ってないでなんか言えよ。」
そんな事言われても言いたいことないし言うべきこともないんだから仕方ないじゃん。
そのまま黙ってると舌打ちをした後胸ぐらを掴まれる。こっわ。
「お前先輩達に気に入られてるからって調子にのんなよ。」
「…別に調子に乗ってない。」
「そういう態度が調子に乗ってるって言ってるの!」
「…そもそもそんなに言うならそのサノスセンパイ達に直接言えば?」
「い、言えるわけないでしょ?!」
「言う勇気もないくせにあたしに嫉妬すんなよ。」
あたしの言葉に目の色を変えた女子生徒が腕を振り上げる。あ、やばい。反射的に目を瞑るも、思ってる衝撃が来ず不思議に思い目を開ける。最初に目に入ったのは驚いた顔をしてる女子生徒達。次に後ろを見ると無表情のナムギュが振り上げられた手を掴んで立っていた。
「な、むぎゅ先輩」
「お前ら、何してんの?」
「こ、これは!ちょっとした喧嘩って言うか、ね?セミ!」
空気を読めと圧をかけられる。女子ってめんどくさい。ここで否定してもめんどくさい事になりそうだから適当に話を合わせておく。
「うん。なんでもない、普通の喧嘩。」
「…へぇ。セミがそう言うんならいい。」
パッと女子生徒の手を離し、そのままあたしの腕を掴み歩き出す。頼むからやめてほしい。
「離して」
「お前が来ないからだろ」
「購買行かなきゃなの」
「は?弁当は」
「忘れた」
「……ほんとか?」
「うん。」
舌打ちをした後、方向転換をして購買の方へ連れて行かれる。手は離してくれない。まじでやめてくれ。
購買は1年だけじゃなく2、3年も居る。そんなとこにナムギュに手を掴まれてるあたしが行こうものなら先輩からも目をつけられてしまう。
同級生だけでもめんどくさいのに、先輩からも増えると思うとめんどくさいんだけど。
「ナムス!セミ!遅かったな!」
「すんません、こいつが弁当忘れてたんで購買行ってました」
「えっ、セミが?珍しいね…」
え。あたしの事待ってたの?先食べてればよかったのに。
適当に返事をしてご飯を食べ始める。あたしから話すことは基本なく、ほとんど3人が話してるのを聞いてたまに話すだけ。
それでいいのかとも思うけど、3人はそれでもいいらしい。よく分かんない。
「あ、俺次の授業体育だ!señorita、また放課後な!」
「待ってサノスさん、僕も行く!」
しれっと放課後会う約束を取り付けられてしまった。文句を言おうにももう既に屋上から去ってしまったため何も言えない。はぁ。
「……おい」
「ん?なに?」
ナムギュがサノスについて行かないなんて珍しい。大体いつも一緒にいるのに。
「お前、俺らに隠してることあるだろ」
「…は?いや、ないけど。」
さすがにバレた…?ただの喧嘩で殴られそうになるとか普通に考えてないし、こいつ意外と鋭いしバレてるかも。
でもあたしからは絶対に言わない。
「……お前が言わないならいいわ。じゃーな」
片手をひらひらと振り屋上から出ていくナムギュ。
なんだったんだ。
もうすぐで授業始まるし、あたしも教室に戻ろう。
放課後。
あいつらが来る前にさっさと帰ってやろうかと教室を出ると、見覚えのあるやつと、見覚えのないやつに囲まれた。上履きの色的に先輩だ。まじかよ。
「ねぇ、あなたちょっと来てくれない?」
ニコニコと笑顔で聞いてくるがここで逃げようものなら明日からの学校生活が危ない気がするから大人しく着いていく。
なんの話かはだいたい分かってる。
屋上に連れて行かれた。
放課後の屋上は昼休みと違って誰も居なくて雰囲気が変わる。
屋上で物申すの、漫画とかで見たなぁ。なんて呑気なことを考えてると、柵に体を思いっきり飛ばされた。
「った…」
「あんたでしょ、サノス達に付き纏ってる奴って」
逆に付き纏われてるんですけど。
「正直目障りなの。辞めてもらえる?」
「ナムギュ先輩も言ってたよ、しつこいって、あの女めんどくさいって!」
「本人たちの迷惑になってるの。」
「それにあなたみたいなのが近付いていい相手じゃないんだよ」
迷惑に思ってるのはむしろこっちだ。サノス達にも、あんた達にも。
「…ねぇ聞いてるの?なんか言ったらどうなの。」
「……めんどくさい」
「は?」
「ナムギュが言ってたの、ホント?」
「ほんとよ!!」
「はっ、だとしたら最高ですね。」
「…は?」
「本人たちに迷惑??むしろ迷惑に思ってるのあたしの方。」
「っ!!なんなのあんた、自分から付き纏っておいて被害者ヅラ?!?!先輩の事も呼び捨て?!」
なんか言えと言われたから言ったらキンキンと甲高い声で怒り始めた。みんな一斉に喋るもんだから聞き取れないし耳が痛い。
「…はぁ、わかった。あなた何言っても変えないでしょ。だったら変えざるをえないようにしてあげる」
…は?
「あなた、今の状況分かってる?私達は大勢いるけれど、あなたは1人。しかも放課後の屋上なんて誰も来ない。」
……こいつら、マジで言ってんの?ヤバすぎる。
「あぁ安心して?学校には来れるようにするから。」
こいつら本気だ。反射的に逃げようとするも腕を捕まれまた柵に投げ飛ばされる。そのまま胸ぐらを捕まれ蹴られる。くっそ、いてぇ。
「っ、げほっ、」
「ははっ、いい気味ね。あんたが悪いのよ」
あ゛ーー最悪だ。入学する学校間違えた。
学校には来れるようにする、という発言通り、本気で殴られたり蹴られたりしてる訳じゃないけど、痛いものは痛い。はやく終わってくんないかな。
あ、そういえばサノス達、どうしてるんだろ。もう帰ったかな。……今考えることじゃないか。
ガチャ
「!!!señorita!」
「な、なにしてるんですか!」
「……チッ。」
開くはずがない屋上の扉が開いて、サノス達が入ってきた。先輩達は予想外のことに驚き固まってる。とりあえず上体を起こしてサノス達の方を見る。
「……え」
今まで見た事ないぐらい、怒った顔をしてる。サノスも、ミンスも、ナムギュも。
「…お前ら、セミに何をしてたんだ?」
「っ!!こ、これは!」
「この子が!サノス達に付き纏ってるから、私達が注意してあげようって!」
「そうです、セミが悪いんです!」
「先輩達の迷惑だから辞めろって、でも辞めないから!」
「…セミが、僕たちの迷惑…?」
「そ、そうです!!!」
必死に弁明をする先輩達。そもそもの前提が間違えてるからその弁明は意味無いし、むしろ逆効果になってる事に先輩達は誰も気付いてない。
弁明に必死になってる隙に輪から抜け出すと、気づいたナムギュが体を支えてくれた。おまえ、こういうこと出来たんだ…。
「!!ナムギュ先輩、そんな女ほっといて_」
「あ?俺に命令すんな……あ。」
あたしを床に下ろして女子生徒の顔を見てなにか気付いたのか、不自然に固まるナムギュ。
「?どうしたナムス。」
「……お前さ、もしかして昼にセミに殴りかかろうとしてたやつ?」
「…は?señorita、本当か?」
チラ、と見ると黙っとけと言わんばかりに睨みつけられる。もう全部めんどくさい。
「………」
「セミ…?」
「おいクソ女、答えろ。お前これ何回目だ?」
「…初めて。」
「ほんとか?」
「…………こうやって殴られたりしたのは、初めて。 」
「のはって…。セミ、他にもなにかされてたの?」
「………」
「señorita。無言は肯定と受け取るぞ。」
もう好きに受け取ればいいよ。
「ok。セミ、話はあとだ。ミンス、ナムス。セミを頼んだ」
「う、うん!」
「はーい。あとナムギュです。」
あたしの頭を撫で、微笑むサノス。こういう所がモテるんだろうな。
「おいお前達。俺たちの誰がいつセミのこと迷惑だって言ったんだ?」
「…えっと……」
「は?あんたナムギュ先輩がって、」
「あっ、」
「ふーん?ナムス、言ったのか?」
「言ってねぇっすよ。そもそもそいつらと話したことすらない。」
「だそうだが?」
「………っ、」
「…俺らは付き纏われてる訳じゃない。むしろ俺らの方からセミに会いに行ってる。憶測で語るな」
「…な、なんで…」
「なんで?んー、気に入ったからだな。ま、そこはいい。…いいか、今後一切セミに関わるな。変な噂を流すのもやめろ。次似たような事があれば……分かってるな?」
背中越しだけど、サノスが相当怒ってるのが分かる。サノスって、ここまで怒れるんだ。なんであたしのためにここまで怒れるの?
気付いたら先輩達は屋上から居なくなってた。
「señorita!!大丈夫か??」
「え…うん、まぁ。」
「軽く見たけど、酷い痣とかはなかったよ。」
「それは…サノス達にバレるのが怖かったんじゃない?」
「だったらはじめからすんなよクソが。」
それはそう。バレるのが怖いって思ってる時点でただの嫉妬心でやってたんだろうな。サノス達のためっていう勝手な理由を付けて。
「で、だ。セミ、いつからされてたんだ?」
いつになく真剣な顔をする3人。さすがにここに来てはぐらかす様な真似はしない。
「…入学後2ヶ月過ぎたあたりから。最初はイタズラ程度だったんだけど。」
「…今日の昼休みのもか」
「うん。サノス達に近付くなって。口答えしたら殴られそうになった。」
「もしかして、お弁当がなかったのって…」
「そ。休み時間にトイレ行ってたら盗まれてた。お弁当返ってきてないし多分捨てられた。」
なんで3人がそんな悲しそうな顔するんだ。元を辿れば原因はサノス達にもあるけど、気にするような人達じゃないでしょ。
「……なんで言わなかったんだ?」
「言ったところでどうにかなる問題じゃないし、そこまで酷い訳じゃなかったからいいかなって」
「でも今日酷い目にあってた…。」
「…うん。そこはあたしが甘く見てた。ごめん」
「ごめんじゃねぇよ。ふざけんな。」
「……うん」
「なんかあったらすぐ言え。」
「そうだぞseñorita。1番必死に探してたのナムスだからな!」
「ちょ、兄貴!!!」
「ww……セミ。こういう事が起きたの、俺らが原因でもあるだろ。気付けなかったの悪かった。セミが迷惑なら、俺らといてまたこういう事が起きるなら、もうお前に関わるのはやめようと思う。」
………。その言葉がサノスから出たのが信じられない。けど、サノスなりに考えた事だということは伝わった。本当にあたしの事大事にしてくれてるんだってことも。
「いいよ、別に。確かに前まではめんどくさいって思ってたけど、助けてくれたし。それに、他人のせいであたし達が我慢しなくちゃいけないの意味わかんないから気にしなくていい。……次似たような事があっても、助けてくれるんでしょ?」
「!off course!!」
「ふっwなら、いい。」
さっきまで濡れた子犬みたいにしおれてた癖に、急にしっぽぶん回す大型犬になるじゃん。
正直、あんなこと起きたし明日からどんな顔して学校に行ってちょっかいかけてきたクラスの子に会えばいいのか分からないけど、まぁサノス達が居るならいっかって思えてきた。
この学校に来て、よかったかもね。
コメント
1件
めっちゃタイプのお話でしたありがとうございます😭😭