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久しぶりに、全速力で走った。
熱があったことなんて忘れるように。
レイへの想いが風化する前に、今すぐに言わなければならないと思った。
「はぁ、はあっ。レイ!!」
勢いよく教室のドアを開けた俺に、クラスメイト達は驚いた表情を見せた。
レイも例外ではなく、目を丸くしてこちらを見ている。
そりゃあ、そうだろう。
さっき倒れて運んだ人が、走って帰ってきたのだから。
「あ、あのさ。レイ 」
頭の中で浮かべていた、レイへの言葉はレイの前では消えてしまい、思い出すことも出来ない。
ただ、一つだけ。確実に伝えなければいけないことがある。
「今から言うこと、嘘なんてないから。」
レイは驚きながらも、こくりと頷いた。
「俺さ、鈍感だし子供っぽいし。レイに勝てるところなんて一つもない。なのに、レイが俺の事好きって言ってくれて、嬉しかった。 」
肝心な言いたいことが出てこない。
息を吸って、大きな声で言った。
「俺も、レイのことが好きだよ。かっこいい所も、優しい所も、友達思いな所も。全部、全部好き。こんな俺なんですけど、付き合ってくれませんか…!! 」
「…ふふっ、熱烈なラブコールだね。こちらこそ、不束者ですがお願いします」
教室から、ドッと歓声が上がる。
勢いに余りすぎてクラスだということを忘れていた。
これでは、公開処刑のようなものだ。
恥ずかしいながらも、感謝の言葉を伝えていると、後ろからレイの声が聞こえた。
「レイ、何か言った… 」
その時、レイが少しこちら側に屈んだ。
なんだろうな、とかしょうもないことばかり考えていると、ちゅっと音が鳴った。
レイの顔が近い。
近くで見るレイの顔は、驚くぐらい綺麗だった。
「これからよろしくね。」
人前でキスをした後でも、平然な顔で話すレイに、恐怖を覚えた今日この頃。
俺はレイと恋人になりました。