SEKITA
祐希との話を終え部屋に帰る途中、マサさんとすれ違った。軽く会釈して通り過ぎようとして腕を掴まれる。「ねえ、祐希どこ?なにしたの?」
明らかに機嫌が悪い。
「さあ?そんなに心配ならご自分で探したらどうですか?」
「先輩にその態度何?」
「そんなこと言える立場ですか?後輩に性的暴行を働いたとして上に訴えてもいいんですよ?」
「いや、それh、その、」
この動揺の仕方。よろしくない関係という自覚はあるんだな。
「本当はわかってるんですよね?ご自分の気持ち。」
「。。。」
この沈黙が痛くてたまらなかった。俺がどんなに頑張っても答えは出てるんだ。もう悪あがきは辞めよう。
「言っときますけど、アイツ誰にでもホイホイ身体開くようなヤツじゃないですよ。」
「え」
俺は断られたなんて言わないけど。
「でもあなたがそうやっていつまでもウジウジしているようなら、俺が祐希のこともらいますから。」
最後に「祐希なら応接室です」とだけ付け足して、自室に戻った。
YANAGITA
「ゆーき!」
応接室に走っていったが、もう彼は部屋を出たあとだった。
あの日、俺が落ち込んだ本当の理由は祐希のことが好きと気づいてしまったからだ。好きな子としたい。欲に勝てず勘違いした彼の提案に乗ってしまった。
でも、祐希が俺と行為するのはきっと先輩命令で断れないから。ちゃんと好きっ言わないと。それなのに好意があると知ったら祐希に引かれるかもしれない。怖くて1歩が踏み出せない。1度チームに迷惑をかけてしまったから誘うこともしなかったけれど、 結局祐希に想いを伝えられないまま、彼の気持ちも聞けないまま夏の合宿期間第1弾は終わってしまった。
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