『君が残した誕生日』
🎸「お誕生日おめでとう」
🍪「え?」
私は驚いた。私の誕生日はあと5ヶ月も先だ。それなのになぜ今なのだろう。そう不思議に思った。
🍪「あと5ヶ月先だよ?」
彼は焦っているように見えた。私は嫌な予感がした。普通考えて彼女の誕生日を間違えるはずがない。そう思った。私は慎重に聞いた。
🍪「浮気、してるの?」
彼は何も答えなかった。私はその反応にムカついた。前にもこんなことがあった。
2ヶ月前
🎸「ただいま」
🍪「今日帰り遅いね」
「何かしてたの?」
彼は黙り込んだ。こういう事が続いている。やっぱり怪しい。疑うような真似はしたくないけれど、何も答えてくれないなら疑うことしかできない。私はもう、我慢ができなくなっていた。
🍪「別れよ」
そう答えを出すしかできなかった。
🎸「分かった」
彼は否定も何もせず、その場を離れていった。私はもっとムカついた。こんなにあっさり終わる恋だったのか。私のこと、好きではなかったんじゃないか。と色々と考えてしまっていた。心做しか、彼の目には涙が浮かんでいるように見えた。
5ヶ月後、私の最高の誕生日になるはずだった。しかし、彼からは一言もメッセージが来なかった。当然か。別れたんだもんね。
インターホンがなった。私はもしかしたらと思い、気分を上げてドアノブに手を伸ばした。そこには彼はいなかった。宅配便だった。私はサインをし、荷物を受け取った。荷物と言っても、薄っぺらいものだった。
🍪「こんなもの買ったけ」
不思議に思いながらも、その荷物を開けた。
「君へ。」
その書かれた紙と指輪が入っていた。誰からとは、書いていないけど私はすぐに彼だと分かった。私はその紙を開いてみた。
🎸「君という存在に出会えて良かった。幸せになってね。」
私は涙がこぼれ落ちた。
🍪「直接、渡しに来てよ」
そう思った。
翌日、私は衝撃を受けた。
👩「🎸は5ヶ月前に亡くなった。」
私は頭が真っ白になった。彼の母に聞いた。亡くなる3ヶ月前に余命宣告を受けてたという。そんなこと、私は知らなかった。私は涙が出なくなるまで泣き続けた。
家に帰ると、荷物の中にまだ何か入っていることに気がついた。そこには、別れを告げた日までの日記が書かれていた。
しばらく、読んでいると、ひとつの文に目が氷つけになった。
「死ぬまであと1日、最期にあいつの誕生日を祝った。」
私は崩れ落ちた。あれが、最期だったなんて。私は別れを告げたことを深く後悔した。後悔しても、涙を流しても、悲しい気持ちは消えなかった。
日記に書かれて知った。いつも帰りが遅かったのは、私が別れを告げた次の日に、結婚式場であげるために夜遅くまで働いたり、準備をしていたからだった。
彼は信じていた。余命宣告をされたとしても、私と結婚して幸せな家庭を築いて、末永く生きていけることも。
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