その日、俺はアラームが鳴る前に起きた。
そこまではいつもの事で別に気にならなかった。でも、今日は目を開けた瞬間から信じられないものを見たのだ。
「ラビフ...」
初めてゲットした相棒の耳に良く似ていた”それ”に言いかけた言葉を途中で止めて視点を奥に合わせると最近進化したばかりのエースバーンがすやすやと眠っていた。
ならこれはなんだ?
考えても分からなかったから立ち上がってみた。すると案の定、”それ”の重みを頭の上、それも両サイドにずっしりと感じた。いつもの調子では有り得ない違和感に不安に思いながら手で確かめてみるともふもふと懐かしみのある感触が手に伝わってきた。
「え...?」
それを蔦って上の方を触った瞬間、流れ込んできた情報に頭が追いつかなくて自然と声が出た。
“それ”が自身の皮膚から生えていたのだ
瞬間
ピピピ ピピピ
アラーム音と同時に隣で眠っていた相棒、エースバーンが起きて俺の足元に置かれていたスマホロトムからアラーム音を消した。まだ眠いようで目を擦る動作をしながら上に居た俺に視点を合わせた。
そんなに驚いた感じじゃ無かったと思う。代わりにエースバーンは一瞬目を丸くした後、ジェスチャーで「座ってよく見せて」と伝えてきた。大体、ポケモンは進化を重ねて姿形を変える生き物だし、俺のこの耳を見ても曖昧な驚き方しか出来なかっただけなのかもしれない。
エースバーンの言った通りに俺は座って頭の高さが同じくらいになったとき、エースバーンも寝転がった姿勢から一変、正座してかしこまったような姿勢になった。
「ばぁんす!」
エースバーン自身の耳を使った仕草から恐らく「触っていい?」と言ったんだろうとなんとなくで察せた俺はそのまま耳を差し出した。
「うぁっ!くすぐったいってぇ...」
傷付けない用にと慎重に触れてきたエースバーンの手が逆にくすぐったくて自分で触ったときと全然違う事に気が付いた。一方エースバーンは真剣な眼差しでそれを触っていた。
「ばぁす。」
手が離れた瞬間不安そうな表情で俺にそう言ってきた。心配してくれているエースバーンに対して俺は「大丈夫、心配いらないよ、痛くないし」と返して 代わりに 心配してくれてありがとうって頭を撫でてあげた
「ぴいかちゅ?」
突然後ろから声がして振り向けばそこにはピカチュウが居た。
「ばすばぁす!」
不思議そうにこちらを見ていたピカチュウに対してエースバーンが事情を説明してくれている用だった。下のベットを覗くとそこには布団を蹴り落としてお腹が丸見えになっていたが気持ち良さそうに眠るサトシが居た。
「風邪ひくぞー」と声をかけてみたが返事がある訳が無かった。どうやらピカチュウだけがアラームの音で起きたみたいだ。
ピカチュウも事情を知った様でサトシの元に戻ってしっぽを使ってサトシを起こした。
「なんだよぉぴかちゅー」 眠りから覚めたサトシは目を思い切りに擦ってピカチュウに話していた。 「な、なぁサトシ...」いざ話すとなるとどんな反応をされるのだろうと緊張から第一声が小さくなってしまった。
「おはよーどうした?ゴ...ウ」 「コスプレ?」「まぁ最初はそう思うよな。」 一気に眠気が覚めたようにすぐに立ち上がって俺の耳をじっと見つめてきた。 「ラビフットの耳じゃん。どうしたんだ?これ」「朝起きたら生えてたんだよ」 「生えてた?」 「そう。地肌から。」 そう言うとサトシの頭には?マークが浮かんだ「どうしようこれ。」「所長には見せたか?」「ううん、まだ見せてないけど。」首を振ってそう応えると「すぐ行こう」と言われて手首を掴んで連れて行かれた。
「1日安静かー!」 暇だー!と叫んだ声が狭い部屋の中で響く。 「リサーチは無くなっちゃったけど部屋の中でもいっぱい楽しめる事はあるじゃん!」「サトシはポジティブすぎるんだよ、大体サトシだけでも行ってくれて良かったんだぞ?」「ゴウが居ないと楽しくないから行かない!」「そ、そっか。」不意打ちの言葉に顔に熱が集まる、
「今日はゴウのやりたい事付き合うよ!」
「サトシ。。!!じゃあポケモンしりとr「却下!」「いやなんでだよ!」「それはゴウが圧倒的に強すぎるから駄目!」今までも何度かやった事はあるが結果はゴウ:8勝 サトシ:0勝で一目瞭然だ。今まで沢山旅をしていたサトシより家でひたすら情報探しをしていたゴウの方がポケモンを良く知っている事にはお互い驚きが隠せない。
「ぴかぁ/ばぁす…」2段ベットの上、ゴウのベットでジジ抜きをしていた2匹が呆れるように、それでも微笑ましく2人の会話を覗いていた。
次の日にはしっかり元に戻っていましたとさ!
( ᐛ👐)( ᐛ👐)✨チャンチャン
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