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2人目生まれます!だけど旦那の風見が間に合わない!?降谷さん生まれるまでの時間を稼げ!
第1話 - 2人目生まれます!でも旦那の風見が間に合わない!?降谷さん生まれるまでの時間を稼げ!
15
6,315文字
2026年05月17日
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2026年05月17日
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「げほっがはっ…」
夜に名前がハアハアしているのを、風見が後ろから背中を撫でる。
ふう、と名前は大きなお腹を撫でてソファに寄りかかる。
「ありがと…ふぁー…もうでも明日で満40だから…」
「その原因不明の咳と痰。裕一のときはなかったろ?」
「うーん…でも仕方ない。よくあることだって先生も言ってたしさ、もうでも産まれたら…この苦しみもさよならだし」
風見はマグカップを渡す。
「…明日が予定日か。色々調節しておく」
「うん…ありがとう」
いよいよだね~と名前は笑顔でお腹を撫でる。風見は微笑んだ。
「…痛みは?」
「うーん」
名前はからだをよじる。
「びっみょーな痛みなの…だからこうやって帰宅させられちゃったわけ…陣痛までいかないし…子宮口も開いてないから」
「…今夜は生まれないか」
「だと思うけど?裕一のときは早かったからね…今回も勝手にそう思ったけど、今回はのんびりやさんみたいね」
はは、と名前が笑うので風見は少しほっとする。
「わかった…ならわたしは戻るぞ?大丈夫か?」
「うん」
「何かあればすぐ連絡くれ」
「はい。行ってらっしゃい」
ふたりはキスして別れた。
「え?陣痛遠退くとかあるの?」
降谷たち公安部の刑事ら皆風見を見る。
「あるみたいですよ、特に経産婦には」
「なんだ…てっきりもう俺は風見2番が生まれるとばかり」
ハハハ…と皆は笑う。
「…もうすぐなんで」
へこ、と風見はやり封筒を持ち立ち上がる。
「間に合ううちに地裁に提出してきます」
「おう。よろしくパパ」
風見はちら、と恥ずかしそうにすると公安部を後にした。
「さてと…こっちの相手はテロリストだからな。気ィ引き締めてねー」
ハイッ、と威勢よく聞こえて画面が変わり降谷は書類に目を通した。
どれくらい時間が経ったのか、降谷は頭を抱える。糖分が足りなくなってきた。
「一旦休憩していい?」
「はい」
「じゃ5分後ね…」
降谷デスクに腰かける。チョコレートを食べているとスマホが揺れて、旧姓の名字、の文字に首を傾げた。
「降谷ーー」
「降谷さん…」
がさがさ聞こえて思わずスマホを見る。
「もしもし?」
「出ます」
「あ?」
「ですから…出ます。破水しました」
「出るう!!!?」
刑事ら皆作業をやめて降谷を見る。
「ちょ……え」
「裕也が出ないんです。たぶんトイレで【頑張って】ます。そのときは電話出ません。だから降谷さ…うンッ……」
「待った待った待て待て……」
降谷電話を持ち直す。
「待てません…出ます……裕也来れませんか?」
「いや今そばにいないのよーーだから…」
「そしたら降谷さん…来てくれませんか…」
「はあいぃ!?」
「お願い……」
名前の息が荒くなり、降谷所内で叫ぶ。
「オイ破水したって!!」
「風見刑事には?」
「出ないって…トイレで踏ん張ってるんだろうって…」
「そっちはでないんすね…」
ぶっ、と誰かが誰かを押す。
「鈴木、風見に電話して」
「はい」
「ふる…降谷さん」
「何!」
「たけ…たけのこの里…」
「は?」
「たけのこの里ぉっ!!食べるから買ってきて!!早く!!」
「はああい!!!!わかっ…わかりやした…」
降谷名前の勢いに勢い同じく頷く。
「風見刑事出ました」
「なんだって!?」
「すぐ向かうと。ただ…時間的に渋滞に巻き込まれそうだと…」
「名字?」
「あ、今裕也から電話…切ります」
ぶっ、と切れた電話に降谷スマホを見つめるしかない。
「…破水したらどれくらいで生まれんの?」
「うちはですけど、ふたりめは早かったっす」
「うちも2時間くらいでしたよ」
「まぁひとり生んでるから大丈夫か…」
うんうんと刑事らは頷くが。降谷のスマホが鳴る。今度は風見からだ。
「降谷さん!!」
「なんだよ…叫ぶなそんなに…どうーー」
「たけのこの里ぉっ!」
風見叫び散らす。
「あ?」
「たけのこの里が売り切れてて買えないんです!!それに完全に渋滞です!!お願いします!!買って妻を病院に連れてってくださぁあい!」
「お前らなに言ってんだああ!!」
降谷頭を抱える。
「降谷さんのところから行ったほうが早いんです!仮にたけのこにコンビニに寄ったとしても!!」
「お、俺が立ち会うの!?」
刑事らクエスチョンで降谷を見つめる。
「立ち会うまでには間に合います!!間に合わせます!だからーー」
「たけのこの里ぉっ!きのこじゃなく!」
「きのこじゃなく!!」
「(たけのこの里…?)」
刑事らざわざわして皆でそれぞれ話す。
「はい!!頼みます!また連絡し合いましょう!」
「お…」
降谷しばらく切れたスマホを見下ろす。
「大丈夫ですか?」
「ヤバイ!!俺たけのこの里買って名字病院連れてかなきゃ!!」
「???なんで降谷さんが?」
「知るか!!ぼーっとしてたら生まれちゃうよ!!行くわ!!」
降谷スーツを肩にかけ走り出す。
「名字!」
「あ、降谷さん」
名字は普通に出てきて降谷はぽかん。
「え…陣痛は…?」
「当間隔なんですよ。その間隔が短くなったら分娩室です」
よっ、と名前は降谷の車に乗り込む。
「…なんだ…てっきりもう頭とか出てんのかと…」
「アハハさすがにそんなに早くないで…ンンアッ!!」
「ウワアアア!」
降谷も陣痛に悶える名前を見て発狂する。普通に怖い。なにこれ。
「はや…早く病院にっ…」
「は、あぁ!わかった!これたけのこ!!」
名前が唸りながらそれを食べるので、というか動物みたいにむさぼるので、降谷怖すぎてアクセルベタ踏み。
超特急で病院に着き、名前産婦人科に腰を丸めて行くので降谷が手をとる。
「…破水しました…風見名前です…」
唸るような名前に車イスが出てくる。
「子宮口見ます。こちらに…あ」
と看護師降谷を見る。
「【お父さん】はこちらへーー」
「お…あっ?」
「…旦那じゃありません……」
「はい?とにかくこちらへ!」
降谷意味不明のまま待合室に座る。
「(どうしよう……あ、風見に着いたって連絡しとかなきゃ…)」
ふと隣の椅子に座る、同じような状態の誰かと目が合い、何故かふたりで会釈する。
シャッ、とカーテンからふたり女性が出てくる。
「…助産師の大野です」
「二宮と申します」
「あっ…いつもありがとうございます…」
降谷よくわからないままお辞儀する。
「…失礼ですが…お父…様…?」
「いえ違います」
降谷即答ですぐ首を振る。手も振る。
「上司です。たまたま居合わせた」
「そうですよね」
助産師ほっとふたりで笑い合う。
「いつもとまったく別の方でしたので…」
「失礼ですが確認させていただきました…」
「本人は今向かってます」
恐らく爆走で。と降谷にっこりする。
助産師ふたりとも急に眉をひそめてまた顔を合わせる。
「何か…」
「上司さん、失礼ですがお子さんは?」
「いませんけど…」
「そうしたら説明しますと…子宮口が全開になり次第、すぐ分娩室でお産になりますーー」
「フゥアッ…!!」
とカーテン向こうから聞こえて降谷固まる。
「…現在6センチまで開いています」
「と言いますと?」
「…あともう少しで【全開】です」
「と言いますとぉっ!!?」
降谷のめり気味で聞く。
「…こ、今回はおふたりとも、立ち会い出産をご希望だったはずです」
「はい…ですので…今また見ますが、お父様が間に合うか…ギリギリのところになると予想しています…その場合は…」
「上司さん」
とカーテンの隙間から招かれ、降谷は病室に入る。
ベッドに乗った名前がううう…と言いながら降谷を見る。
「えちょ…大丈夫……」
「んなわけあるか…そう見えるか……」
はあっ、と荒い息遣いの名前が降谷を睨み付ける。
「はい。すみませんでした」
頭を下げる降谷に助産師フッ…と後ろを向き笑いをこらえる。
「風見さん、旦那さんもう少しかかりそうですかね?」
「降谷…」
「はい今すぐ電話しますしてます」
「もしもし!?」
「風見!!」
と降谷が泣きそうになる。
「出ちゃった!!?」
電話から風見のひっくり返った声にブッと助産師下を向く。
「まだだよ!だけどもう…」
降谷ふーふー息する名前を見る。
「もうギリギリだって!!どうすんの!!今どこよ!?」
「今ようやく霞ヶ関まで来ました!あと30…いや20分!」
「後20分くらい!」
と降谷叫び散らす。
助産師また名前の股を覗いた。頷き合うふたりに降谷も超絶不安になる。
「…もう全開です」
「風見ィィィ~~!!僕の子になっちゃうだろうがぁあ!!」
「落ち着いてくださいよ降谷さん!!なるか!!入れたのわたしなんだからわたしのが出るに決まってるでしょう!!」
頭を抱えてぐるぐるする降谷に助産師ふたりでもう吹き出す。
「はあっ、はあああ…裕也まだ…?」
「もう!もうすぐ来るから!ほら!」
降谷名前の耳にスマホをやった瞬間。
「もう出るのよぉぉ!!あなたァア!!出させてェエ!!我慢できないぃいアアーーーー!!」
「「「wwwwwwww」」」
3人とも口を必死に押さえて静かにする。
「駄目だ!もうっ…もうあと直線だから!頼む我慢しろ!!立ち会わせてくれ!!」
「風見さん、安全の為分娩室に移動します…」
「どうしようまじどうし…」
「降谷さんッ!」
名前また唸りながら車椅子に乗る。
「もう…もう出す!座ったら出すわ!立ち会う!?」
「ハアッ!?」
「だからあっ…あんた立ち会う!?せっかくいるんだ役に立てよ!」
「いやちょ…マフィアかさっきから!w」
吹き出しながら行く助産師が、笑いながら頷く。
「そうですね…もう本当にたぶんすぐ出ますので…よろしければ…」
「いやおかしいでしょ!?生まれてきた子と僕の見た目が全然違うでしょ!?」
助産師に押されながら降谷も走り出す。
「社会的に問題あるでしょう!?ねぇ!【そういう】目で赤ちゃん見られたら可哀想でしょうがぁあ!!」
「んぐっ…そう、ですね…」
「あなたも笑い堪えきれてないじゃない!ねぇ!?どうすんの!」
名前はまた唸りながら分娩台に乗る。助産師ふたりが慣れたようすで位置につくのを、降谷唖然としていたら誰か手袋をして入ってきた。
「医師の松本です。よろしくお願いします」
「ンッ」と名前はとにかく頷く。
「旦那様は奥さまの横にーー」
「えっちが…」
「こっち来い降谷ァ!!」
「ハァアイッーー!!」
降谷名前の頭側に移動し、名前が手を出すので訳わからず握る。
「え…?お父様じゃない…?」
助産師が耳打つと医師困惑した顔をする。
「お友達?ん?」
「「上司だぁあっ!!」」
助産師たちもう肩を揺らして笑う。
「風見…こうなったら見届けてやる…」
汗だくの降谷腕をまくり足を開いて力を入れて立つ。ネクタイを後ろに流す。
「はい、息吸ってー!」
何故か降谷も吸う。
「力んで!」
「うアアアアアア…!」
「うぐっ…」
降谷もぎゅっと目を閉じ唇を噛む。
「上司さん力まないでいいから!」
「「wwwwwww」」
助産師たち笑いが止まらない。
「…はい、風見名前の…はいっーー!」
カーテンから飛び込んできた風見に、名前何も言わずに手を伸ばす。
同じようにがしっと握り、頷いたが風見何故か降谷にも手を伸ばす。
「はんっ??」
「握って!」
「は?」
「いぃいから握ってください!!お願いします!!」
風見頭を振り乱す。
「アアアアアア出るーーーー!!」
「なん…っwwwなんでお前の手僕が握んだよ!!」
「いいから!!頼みますって!!安心するから!!お願い!!」
「ウォール教かよ!!」
分娩室医師まで笑いが止まらない。真ん中で悶える名前の前でふたりの男が手をがっしり握り合う。
「アニの辺りがいちばん面白かったですね進撃は…」
「先生」
助産師医師を睨みつける。
何故かここでかかっているジャズみたいな音楽が、意味不明さを助長させた。
「ああああハンジさぁぁあんっ……!!ありがとぉおおうっ…!!」
「「wwwwwwww」」
男ふたり唇を噛み締める。
「媒体が…」
「降谷さんそれは言わないで!!」
「ごめんなさい!!あぁ忘れて!!」
「んっw…すみません。もう1回いきますよー!もう頭出るからねー!来るからねー!」
「はあ、はあ…」
「吸ってー!」
3人大きく吸う。
「力んで!」
「んっぐ……」
「うっ…」
風見名前の横に顔を埋める。
「ウワアアア……!!!なんでそこから出んだよォオコラァア!!」
「そこに入れたんだ!!何処ならいいんだよ!?」
「「(そこに入れた……wwww)」」
助産師アハハ……ともう声を出す。
「脇とかよぉおっ……!!!」
「仏陀じゃないんだよ!!そんな神々しく産まなくていいから!!普通に産め!!」
「ふんぐっ…wwwwwwww」
降谷もう肩震わす。
※仏様はお母さんの脇からぽろんと産まれたそうです。諸説有。
「ちょっと大きいねー!もう最後だよ!頑張って!友達もいるからねー!」
「ああっ…死ぬ…あなた…ごめんなさい…」
名前朦朧とし始める。
「たけのこの里食ったんだろぉおっ!?出来るから!お前には出来るから…!逝くな!!出せ!!!」
風見泣きながら首を振る。助産師も笑いで涙浮かべながら必死。
「僕は上司だってばーー!!そこはちゃんとしてぇえ!!社会的立場だからァア!」
降谷天井に向かい叫ぶ。
もうぐちゃぐちゃの分娩室の声が聞こえるのか、廊下からも笑い声がする。
「くるよー!吸ってー!」
3人また最大に息する。
「力んで!」
全員渾身の力を振り絞り叫ぶ。
「「「アアアアアア!!」」」
「ふぁ…ほぎゃあ…!ほぎゃあ…!」
「出たよー!!元気な男の子だ!!」
ガクッと降谷床に手をつく。
「でっ…はぁ…クソ…何だよこれぇ……」
何故か廊下からも拍手喝采。
「名前!!」
「あぁ…」
風見は名前に頬擦りする。タオルにまかれた小さな命が、名前に手渡される。
「23時9分。3188gの男の子です!おめでとうございます!」
「ありがとうございます…ありがとうございます…!」
風見泣きながら何度も頭を下げる。
「大丈夫ですか?」
助産師たちが降谷の手を引っ張り立たせる。
「…すみません…これ普通ですか…?」
「ンブッ…w」
助産師たち後ろ向き、肩震わす。
「病室へは本来感染予防の為お母さんとお父さんだけなのですが。どうぞ…」
「降谷さん!」
風見に飛び付かれて降谷目をテンにする。
「ありがとうございました…!本当に…本当に…!」
「おぉ…よかったよ…」
背中を叩き、降谷はぐったり答える。
「あなた…降谷さん…」
名前はぼうっとした目を向ける。
「…ありがとう…わたしもうからだがバラバラになった気分……もう寝るから帰っていいわ…たけのこの里…もう箱買いでアマゾンして…」
そのまま押されていくベッドに、ふたりの男は我に返り離れたが、顔を見たらもう笑うしかなかった。
「…それはすごい【ドラマ】になりましたね」
話を聞いた公安部のやつらが皆くっくっと笑う。
「…あの冷静な風見刑事が…手ぇ握ってって…」
くすくす笑う鈴木。
「カメラ回してたらめちゃくちゃですよたぶん。なんかのテレビで賞とれそう」
「いやまじで…何が凄かったかって名字よ…テロリストもたじろぐよアレ…なんかリラックスミュージックみたいなのかかってたけどさ、僕の頭ん中はエミネムよ。超ヘビー…」
ははは…と刑事らは肩を叩きあって笑う。
「お。噂をすれば…」
風見の姿に皆が拍手で迎える。
「おめでとう!」
「おめでとうございます!風見刑事!」
「あぁ…ありがとう…」
「今日くらい休めば?」
降谷思った。僕が休みたいと。
「いえ…今日は授乳の練習とシャワー浴びるとのことだったので、わたしが行っても仕方ないので」
「…これから僕きのこ派になるわたぶん。見る度に力みそう…」
「降谷さんには本当に迷惑かけて申し訳ありません」
「いや。母子ともに健康ならいいよ。よかったな。改めて風見パパの誕生だ」
部内はまた拍手に包まれる。
風見は恥ずかしそうに、何度もお辞儀してーーデスクに名前と次男の写真を長男の横に立てた。
…世界中すべての妊婦さんへ。
無事に産まれるよう、心から祈りを込めて……。
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