テラーノベル
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子供は幸せになるべきだ。
ボランティアによく参加している人は
ごみ拾いをしているひとは
孤児を引き取った人は
みな、幸せになるべきなのだろう。
じゃあ
大切な人を守るために武器をもったひとは?
宗教の教えを守るために子供の輸血を断った親は?
ーーー虐待から身を守るために
親を殺した子供は?
いじめから逃れるために、終わらせるために
いじめっ子を殺した、いじめられっ子は?
ー ー ー2008年 6月。
梅雨のじっとりした空気を体に纏わせ、気分も下がる昼下がり。
私_____雨宮 天羽は教室でお昼ご飯を食べていた。と言っても友達と食べている訳ではなく、ひとりで。
教室の端ではなく、真ん中で。
くじ運は昔から無い方だ。ハズレくじを引くのは今に始まったことじゃない。
アイスの当たり棒なんて見た事ないし、商店街ガラガラくじでは毎回参加賞のティッシュ。
_____親ガチャ、という言葉が世の中にはあるけれど。それだって外れくじ。
唯一”当たり”と言えるものは、”整っている顔”として分類されている顔立ちだけ。
これすらあの最悪な親から受け継いでいると思うと吐き気が止まらないし、食欲もなくなるものだ。
なんて、どうせ食欲があったって無かったってろくなものは食べていない。
近隣のスーパーで30%引きになっていたスティックパンを口に含みながら教室前方に張り出されている時間割表を確認して。
午後の授業は体育がなくて安心した。
体育がある日は殆ど体力が持たないし、ジャージを脱ぐことができない。
皆が半袖短パンな夏だって、いつも長袖ジャージ。
理由は何だっていいだろう。きっと、みんな聞く気はないだろうし。話す相手もいないから。
ー ー ー
_____ねぇ、声かける?
誰に。
誰にって…ほら、雨宮さん。いつも1人だし
えー、でもさぁ。一人でいたいタイプかもだし?
あーね。まぁそこら辺よくわかんないよね〜
それに…声掛けたらさ。目つけられるじゃん
あー…
ーーー聞こえてないとでも思ってるのだろうか
結局、最初から話しかけるつもりなんて無いのだから
偽善ぶって話題にしなければいいのに
話題にして私は心配してますよってアピールして
_____いざって時はきっと、逃げるんだろう
(…まあ。対して好きでも嫌いでもないから
いいけど)
「雨宮ぁ。
雨宮!!」
(あ_____)
最悪な声が後ろから聞こえてくる。
ヒステリックで、高くて、気の強そうな声
__________塚本 真希
所謂クラスのトップで。お家はこの村の中でも特に有名で、代々ここら辺を仕切ってきた「塚本家」の一人娘。
「ねぇ聞いてんの?早く来なよ」
(あー)
(あーあ。)
また始まっちゃった
ー問題です。
私が年中長袖ジャージなのは
どうしてでしょう
紫外線に弱いから
寒がりだから
ーちがいます。
正解は。
①親が殴ってくるから
そのうえ
②塚本(含む取り巻き)が暴行を加えてくるから
どうしてここまで人のために生きないと行けないんだろう?
私の生活は”自分軸”じゃなくて、全部”他人軸”。
何のために生きてるんだろう。
(苦しい)
くるしい
くるしい
誰か
神様でも閻魔様でもなんでもいい。
水の中を永遠にもがくような
こんな苦しさから
誰か。いつか。
解放してください
誰か__________
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希咲羅
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コメント
2件
表現の仕方うまぁ!!✨すっげぇ感情移入したわ… なんかもう…泣きそう 後殺意半端ない…w
第2話、読み終わりました。冒頭の「幸せになるべき人は誰か」という問いから、天羽さんの日常へと潜り込む構成が引き込まれました。特に「親ガチャ外れ」と「長袖ジャージの理由」が二重の暴力を示しているのが痛いほど伝わってくる。塚本たちの会話が聞こえているのに「対して好きでも嫌いでもない」と距離を置く視点に、彼女の諦念と孤独がにじんでいて苦しかったです。水の中で藻掻くような感覚という比喩も、続きが気になります。