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はろろーーーーんっ!☆皆のアイドル、ティリスちゃんだよ!☆
ドロワの里の代表として定例会に参加してるんだ☆なんで私な参加してるのかって?☆可愛いから!☆
というのは冗談で、毎回里長が一人参加する決まりなんだよねぇ。めんどいけど、決まりだから仕方ないっ!☆
アードにはたくさんの浮き島があって、それぞれに集落がある。集落の数だけ長が居るわけで、今回は私の番なんだよねぇ☆
正直定例会は退屈だからあんまり好きじゃないんだけど、今回はリーフ人の偉い人が議題を出してきた。もー、直ぐに帰れると思ったのにー!☆変な議題だったら許さないぞっ?☆
とか思ってたら、まさかのフェルちゃん案件だ。あのミドリムシ共、まぁだ古い習慣に拘ってるみたいだ。でも私は知ってるんだぞ。災いを招きなんて嘘っぱちだ。フェルちゃんみたいな外見で生まれた仲間を冷遇しまくって差別しまくったからだよ。
そりゃ謂われもないことを生まれた瞬間からされたら誰でもグレるって。あのミドリムシ共は全く理解してない。頭の中身アメーバなんじゃない? 知性が感じられない。
とか考えてたらご指名だ。もう、パトラウスったら私に面倒事を押し付けたな?
「んー、意見はあるけど良いの? パトラウス。私、今ちょぉぉっと機嫌が悪いよー?☆」
「でしょうな、足の動きがいつもより激しい」
うん、足バタバタさせてるしね。椅子が高すぎて足が届かないんだ。絶対わざとだよね? パトラウス。
「それでも聞くんだー?☆」
「無論、里長の意見は重要ですからな。政務局長として貴女にフリースト殿への返答を要請しますぞ、姉上」
パトラウスはティリスちゃんの弟でしたー!☆あっ、コネじゃないよ? ちゃんとパトラウスは実力で今の立場になったし、公私は分けるタイプだ。私もパトラウスの権力を頼ったことはないし。私心は国を滅ぼすからね。
「ただし、女王陛下の御前であることもお忘れなく」
「分かったよ☆」
返事をして私はミドリムシ……フリーストに顔を向ける。こいつ、相変わらず静かな顔と目をして内心を見せないようにしてる。油断ならない。でも、今回はうちの娘の案件だから遠慮しない。
「じゃあ……フリースト様?」
「何でしょう、ティリス殿」
「……自分達以外を認めないって言う傲慢から来る意味不明な伝統を今も守るのは勝手だけどさ、災い関係は大半が自業自得な上に全部を失って、それでも立ち上がって必死に前を向いて頑張ってる女の子を始末しろって?」
私は万感の想いを言葉に乗せて。
「普通に考えて頭大丈夫? 異常があるんじゃない? お医者さん呼ぼっか? あっ、もう手遅れかな。メンゴ☆」
思いっきり毒吐いてやった。見てよ、周りのミドリムシ共唖然としてる。フリーストは無表情のままだけど。これくらいじゃ揺るがないよね。
あっ、パトラウスが頭抱えてる。ごめんねー、お姉ちゃん身内には甘いんだー☆後で胃薬を進呈しよう。
「何やら誤解があるようだ。我らはこの楽園に災いが降り掛かるのを避けたいだけ。そこに私心は無い。あの娘の存在は、必ずや災いを招く」
「災いどころか幸運を招いてくれてるよ」
フェルちゃんが里で過ごした日々はまだ短いけど、それでもあの娘が優しくて頑張り屋さんなのは誰もが知ってる。
ミドリムシ共の妄言に従って排除するなんてあり得ない。
「しかし」
「そもそも、彼女を一族から追放したのはそっちでしょ。で、それを私達が受け入れた。そこで話は終わってるはずだよね? フェルちゃんを預かってる立場から言わせてもらうよ。口を挟むなミドリムシ。フェルちゃんはもううちの娘だ!」
おっと、ミドリムシ呼びは不味かったかな? リーフ人達が唖然としてるし、パトラウスも吐きそうな顔してる。
でも後悔はしない。うちの娘を殺そうなんて考えてる奴らに遠慮は無用だよねぇ?
「ティ、ティリス殿! 言葉が過ぎますぞ! これでは外交問題に!」
「ざっちゃんおだまりっ!」
「ざっ、ざっちゃん……」
慌てて立ち上がって抗議してくるザイガスを一喝して黙らせる。これでも千年以上生きてるんだ。この場ではセレスティナ女王陛下以外皆年下だし。ざっちゃん、ザイガスのおしめを換えたこともあるしね。
「ミドリムシとは手厳しいお言葉。どうやらパトラウス殿の姉君を不快にさせてしまったようだ。我等の不手際を心から謝罪しよう」
へぇ、動じないか。かといって諦めたようには見えないけど。
「しかしながら、我等の懸念もまた事実。誤解が生じたが、あの娘が居る限り必ず災いが起きる。こればかりは譲れませんな」
「口を挟むなって言ったんだけど、聞こえなかったの? 難聴? その歳で?」
「先日の検査では異常ありませんでしたな。ティリス殿、退いては下さらぬか。これはアードの未来のためなのだ」
「天涯孤独の女の子を犠牲にしなきゃいけない未来なんて要らない」
「どうあっても退いてくれぬと仰有るか」
「なに、やる気?」
上等だよ、マナ保有量じゃリーフ人には負けるけどこっちは百年間センチネルと派手にやり合ったんだ。負けるつもりはないっ!
『そこまでにしなさい』
突然頭の中に響いた声で止めたけど。パトラウスを筆頭に皆最奥のベールに向かってひれ伏してる。もちろんミドリムシ……リーフ人や私もだ。
「我が姉に代わりまして無作法をお詫び申し上げます、女王陛下」
パトラウスが謝罪した。あちゃー、やり過ぎたかぁ。ごめんね、パトラウス。
『少女フェラルーシアの件、双方の意見に相違がありました。彼女は全てを失いながらも前に歩もうと言う姿勢を見せています。ならば、救いを与えねばなりません』
「はっ」
『フリースト殿の懸念も理解しますが、私は彼女を、彼女達を信じたく思います』
「女王陛下の御心のままに」
『フェラルーシアの処遇はドロワの里に一任します。宜しいですね?ティリス』
「御英断、感謝申し上げます」
よしっ!不手際はあったけど女王陛下の裁可を得られた!☆
これでこの件に口出しは誰も出来ない!
「しかしながら、セレスティナ女王陛下!」
「フリースト殿、お控えあれ」
「しかしっ!」
「リーフのためにならぬ、お控えあれ」
「……無作法をお許しくだされ」
おっと、ようやくミドリムシの表情を崩せたぞ。滅茶苦茶悔しそうだね。でも、絶対に諦めていないはず。
ティナが帰ってきたらそれとなく伝えないとね。