テラーノベル
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「――アルケミカ・ルール?」
「はい、そんな名前にしてみました……!」
突然の固有名詞に、私はついついセミラミスさんに聞き返してしまった。
何の話かと言えば、以前グリゼルダが言い始めた、錬金術の魔法体系化の話だ。
最初に話が出てから数か月。
ついに今日、セミラミスさんから研究の報告を聞くことができたのだ。
……何だか最近、何もできていなかった気がするからね。
そんな中で、この報告は嬉しい限りだった。
「名前はそれっぽいですね!」
「良かったぁ……。
『錬金魔法』でも良かったのですが、そちらは全体の総称と言うことで……。
……アルケミカ・ルールは錬金魔法を使う際の、鍵となる法則……に、なります」
「ふむふむ。
数学の公式、みたいな感じですね。
錬金魔法のアルケミカ・ルール……っと」
「はい、理解が早くて助かります……!
こちらは一週間ほどで覚えて頂けると思うのですが――」
「おぉ! 思ったよりも早いですね!」
「……ただ、魔法自体は複雑な手順を踏む必要があって……。
覚えるものは少ないのですが、慣れが必要……かなと」
「慣れ、ですか……。
魔法って案外、使い慣れると、意識しながら魔法名を唱える――くらいに落ち着いちゃうんですよね」
「錬金魔法も、使い慣れたら短くなっていくと思いますよ……、多分」
「あはは、やってみないと分からなさそうですね。
ちなみに何かで例えて言うと、どれくらい大変そうですか?」
「例……? えぇっと……。
お行儀良く食事をとりながら、優雅に知恵の輪を外す感じ……でしょうか」
んん……?
…………ずいぶんと分かり難い例だな……。
「――ちなみに、その錬金魔法っていうのはどういうことができるんですか?
錬金術に魔法がどう絡むのか、とっても楽しみにしていたんですよ!」
結局のところ、グリゼルダからもセミラミスさんからも、『錬金術と魔法を組み合わせる』以上のことは、まだ何も聞いていなかった。
今までいろいろと妄想はしてきたものの、しっくりしたものが浮かんでこないのだ。
「比較的に相性が良いのが物理系――念動系の魔法と、水の魔法かなと思ったんです。
ですので、まずはそこを足掛かりにして研究を進めました……!」
「なるほど……!
……えっと、それで具体的には?」
「はわっ!? す、すいません……っ」
私の催促に、セミラミスさんは目をぐるぐるまわし始めてしまった。
「いえいえ、大丈夫ですから。
あ、きんつば食べます?」
「ありがとうございます……。
私、これが大好きで……」
……知ってます。
もう何回あげたことやら……。
きんつばを食べ終わる頃には、セミラミスさんも落ち着くことができたようだ。
「それで、どういう魔法なんですか?」
「はい、まずはイメージしやすい感じのをご用意しました。
名前は『アルケミカ・ポーションレイン』……と、言います」
「ポーションの……雨?」
「その通りです……!
どんなイメージを持たれましたか?」
「えぇー……?
ポーションを、空から降らせる……?」
「はい、大正解です……!!
その名の通り、基本的にはポーションを空から降らせる魔法です……!」
「おぉー……?
でもそれ、ポーションを降らせるんですね……」
「1回につき、ポーションは3本くらいあればいけるはずですよ……!」
「ああ、やっぱりアイテムを消費する感じなんですか。
2,419
#異世界転生
JokerX号
288
#主人公最強
杯雪乃
49
……ポーションもタダではありませんからね……」
「ででででも、ただ降らせるだけではないんです……!」
「おぉ……!?
……いや、降らせるだけ以外のイメージが全然湧かないんですけど、どういうことでしょう……?」
元々降らせるものがあったとしても、雨のように降らせるのは、それはそれでひとつの魔法だ。
その上で、さらに何かの効果がある……?
「魔法の法則を絡めることにより、除外処理を入れることができるんです……!」
「除外処理?」
「えっと、つまりですね……。
今回の魔法ですが……、味方と敵が混在しているときに使うと、全員が回復してしまいますよね……?
そういうときに、対象から敵を除外して、味方だけを回復させることができるんです……!」
「おぉ!?」
「今はまだ普通のポーションだけですが、もっと研究すれば、理屈的には他の薬でもいけるはずです……!」
「他の薬……ですか……。
ポーション以外には――何だろう?」
「例えば睡眠薬を降らせたら、凄いことになりませんか……?」
「うわっ、そういうことですか……!
……それ、本当に強いんじゃないですか?」
「はい、修得は難しいかと思いますが、頑張ってください……!!」
例えばその魔法を、呪星ランドルフあたりと戦ったときに覚えていたら、あっさり勝つことができたよね……?
人間は薬の力には抗えない。
だからこそ、この魔法を極めてしまえば、対人間においては圧倒的に有利になりそうだ。
「――ちなみに除外処理って、爆弾にも使えるんですか?」
もしも使えるなら、手元で爆弾を爆発させても、私はノ―ダメージになる。
爆弾を投げる必要すら無い。これは強い――……とは思ったんだけど。
「いえ、すいません……。
除外処理は、基本的には薬……ファーマシー錬金の分野限定となります」
「う、それは残念……。
つまり薬効だけの話ですか」
「はい。爆弾などになりますと、やはり物理法則から逃れられなくて……。
ここは少し頑張ってみたのですが……、お役に立てず、申し訳ございません……」
「いやいや! ここまで研究して頂いただけでも、とってもありがたいですよ!?」
「そう言って頂けると……。
それで、ですね。単純に諦めるのも悔しかったので、そこから……魔法を少し、派生させてみたんです」
「……派生?」
「物理法則から逃れられないなら、いっそそっちの方面に振りきってしまえ……と」
「は、はぁ……。
錬金術は、無限の可能性を秘めていますからね……」
「はい、まったくその通りでした……。
派生先がたくさんあるので、どこに進むべきか、かなり迷ってしまったのですが……」
「それで、そっちの方はどんな魔法なったんですか?」
「はい。手元の物質を、それ自体の力を分解することで、強力に射出する魔法……です。
これを防ぐのはなかなか難しい……と、思います……!」
「うーん……。銃みたいな感じなのかな……?」
「銃? ……ああ、知識としてはありますが、イメージ的にはそんな感じでしょうか」
「えぇ……。この世界にも銃ってあったんだ……」
「?
……そういうアイナ様こそ、そんなことまでご存知とはさすがです……」
「え? あぁー……。
そうですね、私はまぁ、何と言うか、直接は見たことが無いんですけど」
銃なんてテレビではよく観たけど、実物はさすがにね。
別に見たいと思ったことは無いし、むしろ見るだけでも何だか怖いし。
しかし私的には、こっちの世界にも銃があることの方が驚きだ。
今まで存在していたことも知らなかったけど、一部の人間が持つ――みたいな感じになっているのかな。
「……あ、ちなみになんですが……。
錬金魔法は、基本的にはアイナ様しか使えません……。
だから私がお教えできるのは最初くらいのもので、あとはご自身で研究して頂きたく……」
「え? 錬金術師なら使える――ってわけじゃないんですか?」
「他の魔法体系との兼ね合いで、錬金術の処理を一瞬で終わらせる必要があるんです……。
ですので、もしもレアスキル『工程省略<錬金術>』をレベル99で持っている方がいれば、使えるかもしれませんが……」
「な、なるほど……。
そういう前提条件があるんですね……」
……レアスキルのレベル99を前提にするなんて、これは本当に、私だけのオリジナルになりそうだ。
それにしても、私だけしか使えない魔法を、私が研究していく――
突然降って湧いてきた話だけど……『やり込み要素』みたいで、かなり面白いかもしれない……!!
コメント
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みぅです🤍 おお、ついに錬金魔法の体系化が進んでる…! 「アルケミカ・ルール」って名前、もうそれっぽくてかっこよすぎる。 ポーションを雨のように降らせて、さらに味方だけ回復とか、敵だけ眠らせるとか… 使い方次第でいくらでも化けそうなのが本当に面白い。 しかもアイナだけの専用魔法ってのが贅沢すぎる… これからどう育っていくのか、ワクワクしながら読ませてもらいました☺️