本人には関係ございません。
vcrgtaの世界線 捏造と妄想
救急隊のエース視点 カプ要素なし
院長と水色運営さんの不思議な距離感。
作中、セリフは「いんちょー」、心情描写は「院長」と分けています。
「隙あらばしょぼすけのネガキャンをするらっだぁ」という切り抜き動画をうっすら元ネタにしてます。良ければ合わせてご覧ください。
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とある昼下がり。
怒涛の医療崩壊をなんとか乗り切り、ようやく病院前に帰ってきた時。
「は!??!俺のベンチ無くなってんだけど?!」
先にヘリから降りて、いそいそといつものベンチに向かっていた(他称)院長ことらっだぁさんの叫びが聞こえた。
「い、いんちょーー?!どうしたんですか〜」
「見てよとろさん〜俺のベンチが〜…」
慌てて駆け寄ると、院長は元々猫背な体で更に肩を落としていた。ぺしょと眉をハの字にした院長が指差す先には、何もない空間。
そこには院長が愛用する、変哲のない木製のベンチがあった筈で。
「ありゃ〜…バグですかねぇ…?」
とろろは事態を察して苦笑する。この世界では時々こう言ったことが起こるのだ。きっとその一種だろう。
「も〜〜〜〜…はぁ…」
特大のため息を吐いた院長は、白衣のポケットから徐にスマホを取り出し、どこかにかけ始めた。
数コール分の沈黙の後、繋がったのか院長が口を開いた。
「あ、もしもししょぼすけ?俺のベンチ消えてるから直して〜」
繋がって早々に院長が発した言葉に、思わず慌ててしまった。
“しょぼすけ”とは、紛れもなくこの世界の管理者の名前である。実際に会ったことはないが、とろろでも名前は知っている。
運営さんにそんなタメ口で良いんですか?!と白衣の裾を掴んで注意したくなるが、電話の邪魔になるのでぐっと抑える。
とろろが困惑してる間も、院長の電話は続く。
「は?寝起き?しりませ〜ん俺のベッドなんです〜」
子供の様に理不尽な言葉。いや、そこはちゃんとベッドで寝てください。
「そう、病院前。いつもんとこ、飛べるでしょ?」
「すぐ来てよ、は〜い」
カツアゲにも感じる一方的な応答がしばらく続いたが、ひと段落ついたらしい。
念押しの後に電話を切り、スマホを白衣のポケットに入れた院長が大きな伸びをする。
落ち着いたのを確認した後、院長に駆け寄る。
「いんちょー、さっきの電話って…」
「あ〜とろさん、いまからしょぼ…運営が来るから」
それは分かりましたけど、と言おうとしたその時、
院長のすぐ近くで火花が散る音がした。1人分程の高さがある激しい光に、驚いて院長の背中に隠れる。すぐに音と光が落ち着いたが、そこには1人の青年が立っていた。
明るい水色の髪、ラフな服装。院長よりやや若いだろうか、あくびを噛み殺している様子が寝起きであることを証明している。
「あ、きたきた。遅いぞしょぼすけ〜」
「これでもすぐ飛んだんだけど!?」
院長はひらひらと手を振って、当然のように小言を一つ。青年は負けじと言い返していたが、院長が無視したので諦めたみたいだ。
院長が呼んだ名前から、この人こそが運営さんなのだろうと結論づける。でもあの登場の仕方は派手すぎかもです。
「全く…らっだぁは人使い荒いんだから」
「は〜??バグ処理はお前の仕事だろって」
「はいはい…ここのベンチだよね?ちょっと待ってよ…」
気心の知れた友人同士の様な会話の後、青年は空中で何かを操作する仕草を見せた。
ぽかんとして何も出来ずに突っ立っていると、しばらくして突如病院横に見慣れたベンチがポンと現れた。
「よし、出来たよー」
青年は今度は幾分かはっきりした声で、院長に向かって話しかけた。
「さっすがしょぼえもん〜ちゅ♡」
「やめてマジで」
口角を引き攣らせて苦笑した青年が、ふととろろに気づいたのかこちらを見た。パチリ、と視線が合うと、彼は爽やかな笑みを浮かべた。
「救急隊の方も突然すみません、驚かせてしまいましたか?」
「え、いや!びっくりはしましたけど…
あっ、ベンチ直してくれてありがとうございます」
先程とは打って変わって柔らかな敬語だった。
戸惑いながらも慌ててお辞儀すると、院長が青年を見ながら心底呆れた様にため息を吐いた。
「あのさぁしょぼすけ、その俺以外に猫かぶんのやめな?」
「別に猫かぶってるわけじゃないけど?!これは運営としての対応。」
「じゃあ俺へのタメ口はなんだよ」
「それは素なだけ、てか敬語使ったら絶対らっだぁイジってくるじゃん」
「そりゃ笑うけど」
「笑うなよ」
ポンポンと掛け合われるテンポのいい会話に、思わず再度呆然とする。
「とろさん?どしたの?」という院長からの問いかけがなければ、猫麦の名に違わず宇宙に意識が飛び立っていただろう。
ハッとして2人に向き直り、恐る恐る疑問を問いかけた。
「あの…いんちょーと…運営さんはどういった関係なんですか…?」
「「……」」
2人は無言で顔を見合わせて、数秒固まる。思い出したように院長がうーんと唸る。
「…簡単に言うと俺の元あr「らっだぁ!??」
何かを言おうとした院長の口を慌てた様に青年が手で塞ぐ。もがっ!?と院長が仰け反ったが、青年は構わず院長の白衣の胸ぐらを掴んで小声で囁いていた。
「ちょ、らっだぁ??それは言わない約束じゃん」
「は〜??俺は事実を言ったまでですが〜?」
「友達とかでいいじゃん普通に!」
何か小声で言い合っているみたいだが、仲は良さそうである。いんちょーってあのパイナップルの記者さんとも仲良さげだったな…なんて思いながらその様子を見てた。
攻防がひと段落ついたのか、わざとらしい咳払いの後青年がこちらを向く。
「ゴホン、まあ俺とらっd…院長は友達かな」
「ほえ〜…なんか意外かもです、
いんちょーって不思議な繋がりがあるんですねえ」
運営と親密な関係性がある人なんて、この世界でも数えるほどだろう。
…院長の事、もっと知りたいかもです。
なんて思っていると、青年が別れを切り出してきた。
「じゃあ、俺そろそろ戻るわ」
「は〜い、ありがとね〜」
ひらひらと気だるげに手を振る院長。とろろも何か、と思った時、運営さんがにこりと笑いかけてくれた。
「救急隊の方も頑張ってくださいね」
「あ、はい!とろろもいんちょーと頑張ります!」
思わずシャキッと背筋を伸ばし、警察の様に敬礼する。
そんなとろろをみてにっこり笑った、運営さんは来た時と同じ火花に包まれて何処かに消えた。
「さてと、ベンチも戻ったし俺は一眠り…」
と院長があくびをしながらベンチに向かった途端、
ピコン
と聞き慣れた音。しかも何回も。
今度はとろろが院長と顔を見合わせて、同時に苦笑した。お互い無線を取り出し、慣れた手つきで合図をする。
「らだお向かいまーす」
「とろろ向かいます!」
院長の不思議な交友関係を聞き出せるのは、もう少し先になりそうかもです。
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調子に乗って2作目。これもプリからです。
前作に沢山の反応ありがとうございます、推し様達からのフォロバ…
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